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ブータン人が見た日本の離島 [持続可能な開発]

人の移動を反転させ、持続可能な地域経済を作る
Reversing the tide of migration and securing a sustainable local economy
Kuensel、2017年12月9日、Melam Chozang(Centre for Bhutan Studies & GNH)
http://www.kuenselonline.com/reversing-the-tide-of-migration-and-securing-a-sustainable-local-economy/

地域活性化で人口移動に対抗する
Countering rural urban migration through regional revitalisation
Kuensel、2017年9月19日、 Krishna Subba(JICAブータン事務所)
http://www.kuenselonline.com/countering-rural-urban-migration-through-regional-revitalisation/

先週、クエンセルに、島根県海士町を訪れたブータン人の寄稿が載った。JICAの研修で11月にこの隠岐の離島に行った13人のブータン人の一人、CBSの研究員が書かれたものだ。このコラムでも言及があるように、海士町を訪れたブータン人のグループは今年に入って3つあり、5月に訪れた別のグループに同行していたJICA事務所のスタッフも、9月に別の寄稿で海士町を取り上げている。

いずれの寄稿も、海士町を見て、離島と内陸国という違いはあっても、地方からの人口流出という課題に直面しているという点では同じで、若者が憧れる都会の生活からは遠く離れた地方の農村地帯で、どうしたら若年層人口の確保が可能なのか、海士町訪問から得られる示唆はそれなりに大きいだろう。以上はJICAのプログラムで海士町に行った人々によるブータンでの寄稿になるが、海士町の人々にとってもブータンは興味津々で、毎年隠岐島前高校の生徒さんがブータンを訪問し、その見学結果の報告も兼ねて、町ではブータンの勉強会のようなものが開かれていると聞く。

JICA事務所のスタッフが書いた方の記事ではそこまで明確には書かれていないが、CSBの研究員が最近書いたコラムを読むと、彼が見た海士町の成功要因が書かれている。ひと言で言ってしまうと「町長のリーダーシップ」ということらしい。以前読んだ野中郁次郎・広瀬文乃・平田透著『実践ソーシャルイノベーション』の中に海士町のケースが含まれていて、僕はそれで海士町のことを知ったのだが、これに基づくと確かに「暗黙知と形式知の相互変換を起こし、これを実践に基づく知としてまとめていけるリーダーがいること」とは書かれているのだが、僕の記憶が正しければ、こういう実践知リーダーは複数いたんじゃなかっただろうか。「町長がしっかりしていて適切な施策を講じていけば地域は活性化される」というのは、ちょっと短絡的かなという気がする。

そもそも、この本の海士町について書かれているチャプターだけでも、英文のペーパーになっていて、ウェブ上でも閲覧可能であれば、そういう点をブータンの政策立案者にも正しく知ってもらうよい手立てになると思うが、短期間の視察型研修だけでは、今目の前で起こっていることにばかり目が行き、何がどうしてどうなっていったから今の事象につながっているのかというところの洞察が弱くなってしまうのは致し方ないかもしれない。「海士町、すごい」という感想だけで終わらないようにしないと!

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