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ジャージは体育の時間だけ [ブータン]

ジャージはHPEの授業の間だけ
Tracksuits only for health and physical education class
Kuensel、2017年12月21日、Yangchen C Rinzin記者
http://www.kuenselonline.com/tracksuits-only-for-health-and-physical-education-class/

【ポイント】
教育省は、11月16日付けで、学校における生徒のドレスコードに関する通達を出した。その中で、懸案だったスクールジャージの着用に関して、保健体育(HPE)の授業の時間のみ認めるとの方針を明らかにした。これは、先に行われたペマガツェル県の決定を全国展開するもので、民族衣装着用を慫慂する文化伝統維持保全の動きの一環と捉えられている。

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―――こう言われちゃうと、それはそうなんですけどね…。でも、こんな考えもある。

第1に、今の学校はよくて二時間目と三時間目の間に休み時間があるが、そもそも授業と授業の間に休み時間が設けられている学校も相当多い。そして、授業時間は40分ないしは45分である。そうすると、屋外で行われるHPEの授業は、着替えにかける時間のロスを考えると、正味30分程度しかない。こういう政策を決定している人たちは、この決定がHPEの授業そのものに及ぼす影響をしっかり考慮しているのだろうか。

第2に、民族衣装姿でいることは、新しいゴ、キラを買えない貧困世帯の子どもと、古くなれば新しい制服を買ってもらえる一般世帯の子どもとの格差を際立たせることにもなる。実際、貧困世帯の子どもは、擦り切れ、ボロボロになった制服を着ているのでよくわかるのだと聞いた。一律で学校から支給されるスクールジャージにより、貧困世帯の子どものスティグマを抑制できるので、子どもは喜んで着用していたらしい。こういう政策を決定している人たちは、貧困世帯の子どものスティグマをどの程度考慮したのだろうか。

そもそもジャージの支給されていない学校も地方に行けば多く、民族衣装姿でHPEの授業が屋外で行われているそうである。胸のエンブレムの製作や背中のプリンティングも、ジャージそのものもブータン国内では調達できないので、ジャージを発注しても納品までかなりの時間がかかると言われている。

こんな通達を出さなければならないのなら、なぜ1クラス週1回程度のHPEのためにジャージを導入したのか(輸入を増やすだけなのに)、ジャージ着用しなければ運動に支障が出るようなHPEカリキュラムをなぜ導入したのか(伝統文化を慫慂するなら、アーチェリーやダーツ、舞踊でもいいのに)等、首を傾げるところが多い。

タグ:HPE 教育
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