『あしたの君へ』 [読書日記]
内容紹介【N市立図書館】
裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用された望月大地。だが、採用されてから任官するまでの二年間――養成課程研修のあいだ、修習生は家庭調査官補・通称“カンポちゃん”と呼ばれる。試験に合格した二人の同期とともに、九州の県庁所在地にある福森家裁に配属された大地は、当初は関係書類の記載や整理を主に行っていたが、今回、はじめて実際の少年事件を扱うことになっていた。窃盗を犯した少女。ストーカー事案で逮捕された高校生。一見幸せそうに見えた夫婦。親権を争う父と母のどちらに着いていっていいのかわからない少年。心を開かない相談者たちを相手に、彼は真実に辿り着き、手を差し伸べることができるのか――。彼らの未来のため、悩み、成長する「カンポちゃん」の物語。
過去に柚月裕子の作品は読んだような記憶があるのだが、どの本かは思い出せなかった。初めての作家ではないと思っていたのと、図書館所蔵の単行本の装丁がちょっと良かったので、借りてみることにした。また、最近NHKの朝ドラ「虎に翼」の舞台となっている家庭裁判所の日常のお話なので、朝ドラの世界を知る意味でもいい作品かなと思う。
朝ドラでも取り上げられていたが、元々家庭裁判所は少年審判所と家事審判所が統合されてできた。家事事件と少年問題は地続きだと言われていて、ドラマでもそんなケースが紹介されている。先々週は戦争孤児の問題、先週は遺産相続の問題が中心テーマとして取り上げられていた。これを見ながら、少年問題と家事事件をいずれも取り上げるのが家裁だというのは理解できるようになった。
本作品は5つの短編から成るが、前半の2編は主に少年犯罪で、中1編の後半ぐらいからそれ以降は、離婚調停とその背景にある各々の家庭の事情が取り上げられる。家裁調査官として採用されたばかりの調査官補を主人公に、家裁の中でも少年事件担当から家事事件担当への配置換えも行われる。そうした中で遭遇する様々な事案が描かれる。
これ読んでいると、家裁調査官が事件の背景をよりよく知るために外を歩き回る姿がよく描かれている。本作品を今読むと、朝ドラの世界もよりよく理解できるようになれるだろう。いいタイミングでいい作品に出会うことができた。
『負け逃げ』 [読書日記]
内容紹介【N市立図書館】
逃げたい、逃げなきゃ。でも、どこへ? 野口は、この村いちばんのヤリマンだ。けれど僕は、野口とセックスしたことがない―― 大型スーパーと国道沿いのラブホが夜を照らす小さな町で、息苦しさを抱えて暮らす高校生と大人たち。もはや人生詰んでるけど、この外でならば、なんとかなる、かも、しれない。あきらめと若さが交差する、疾走感に満ちたデビュー作。
引越し先の長岡で、ようやく公立図書館の利用者カードを作ることができた。東京の感覚でいたら閉館時刻が19時というのが早すぎて、しかも職場を出られるのが18時30分頃なので、どうしても平日の利用が難しく、なかなか図書館に行くことができなかった。なんとか時間を作ってようやく行ったら、利用者カードを作るには、市内で勤務していることを証明する勤務先の社員証ではダメで、現住所を示す書類の提示が必要だと言われた。公共料金の領収書でも、宅配便の送り状でもなんでもいいという。住民票を長岡に移していない僕には利用がしづらい図書館である。
4週連続で東京に戻っていた5月が終わり、6月の第2週から週末も長岡にとどまっている。週末にいられるようになったので、ようやくゆっくりと図書館に出かけて、利用者カードを作って本を借りることができた。まだ小説の棚がどのあたりなのか、土地勘もなかったので、誰かが返却したばかりで書架に戻されていない蔵書の中から、手頃なものを借りることにした。
今回ご紹介するのもそんな1冊である。初めての作家だが、そもそもがデビュー作らしい。プロフィール欄の好きな作家に重松清と窪美澄を挙げておられる。読んだ感想を言わせてもらえば、重松清というよりも窪美澄寄りの作風だなと思う。窪美澄はそれほど読んでいないが、主人公は若い女性で、しかもそのダークサイドの方をえぐり出すような作風で、読んでいてあまりいい印象を受けない。重松清はというと、たぶん舞台設定として地方の高校あたりを取り上げた作品は重松には多い気がするが、それほど重苦しい、S●Xが絡むような作品は重松はあまり書かないし…(例外もあるが)。
『笑う森』 [読書日記]
内容紹介【購入】
5歳の男児が神森で行方不明になった。同じ一週間、4人の男女も森に迷い込んでいた。拭えない罪を背負う彼らの真実と贖罪。
このブログの記事でもたびたび示唆している通り、僕は5月初旬に東京から長岡に生活拠点を移した。ただ、それ以前から始まっていた研修の実習が毎週末横浜で行われており、これに出るために5月は毎週末東京に戻り、長距離バスで横浜通いを続けた。こうソーシャルメディア上で書いていれば、本作品で出てくる拓馬のような「特定のプロ」だったら、僕の素性は一発でわかるに違いない(笑)。
幸い、横浜通いは先週で終了したので、週末の深夜バスで僕の姿を見かけることはもうあまりないと思う。今となっては笑い話で済ませられるが、横浜通いをしていた頃は、アサインメントをクリアするのに追いまくられて精神的に相当追い詰められていた。加えて、ふだん睡眠時間を削って深夜まで机にへばりついて作業していたので足腰が弱くなってもいたので、いつエコノミークラス症候群になるか心配でたまらなかった。そのくせ、5月で職場が切り替わったので、新しい健康保険証が手元に届いたのは5月20日過ぎだった。よく無事で過ごせたと思う。
さて、深夜のバスの車中では社内消灯で当然読書などはできないが、待ち時間でなら読書はできる。そのため、手が寂しいと感じた時は図書館で文庫小説を借りるか書店で新刊小説を購入してそれを旅のお供に携行するようなことも何度か行った。
荻原浩さんの新作を知ったのは、横浜通いの最後の週末だった。ふだんと違って金曜日には現地入りして実習を受けた後、週末を挟んで月曜日にも補習があったので、土日は東京の自宅で過ごした。
土曜の朝に自宅でグダグダしている状況なんて、本当に久しぶりだ。ゆっくり起きたわけではなかったが、早々に朝食を済ませてテレビで『王様のブランチ』を観た。そこで紹介されていたのが本作品で、しかも荻原さんへのインタビュー付きだった。
この5カ月間、そういう世の中の動き全般に疎かったので、全然知らなかった。ただ、わりと荻原作品は読んでいる方だったし、面白そうだったので、これも何かの縁だと思い、自宅周辺の書店で探してみて、なかったので週明けに横浜の有隣堂で見つけて1冊購入。読み始めたのは数日後であった。
再々読『SFを実現する』 [仕事の小ネタ]
SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書 2265)
- 作者: 田中 浩也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/05/16
- メディア: 新書
今年1月から受講していたデジタルものづくりのグローバル人材養成プログラムも、先週、卒業製作のプレゼンが終わり、卒業に向けて残るハードルは、毎週出される演習課題のうち問題未解決で放置していたものへの対応と、卒業製作のプロセスの文章化を、今月末までに片付けることの2つになった。作業期限はあるものの、卒業製作自体をプレゼン当日までに用意するのに比べたらなんとかなりそうなので、プレゼンを終えた先週末は、この研修のことを考えず、もっぱらリフレッシュに努めた。
本書の著者も、このプログラムが2009年に始まってかなり初期の段階で受講されている。本書にはその話は出てこないが、別の著書の中でその時のご経験を詳述しておられる。時系列的には、その経験についてご紹介された後で本書を書かれている。いわば、その受講経験を今後どう「拡張」していくかについての著者の私見が語られている本なので、今の段階でもう一度読み直してみようかと考えた。
ちなみに、SSブログで本書を紹介するのはこれが三度目だ。
1回目は刊行直後の2014年6月。刊行はその1カ月前で、青年海外協力隊員のご尽力で、フィリピンに初めてのファブラボができ、その開業に合わせて第1回ファブラボ・アジアネットワーク会合(FAN)が同国で開催されたタイミングだ。日本で「ファブラボ」がいちばん盛り上がっていた2013~14年のある意味クライマックス的タイミングで本書は出ている。たぶんにご祝儀の側面もあったと思う。
https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2014-06-28-1
ちなみに、今年5月は、そのフィリピンのファブラボ第1号ができてちょうど10年の節目を迎えた。フィリピンではその後ファブラボの数が32に増え(今年3月時点でカウント)、今後53にまで増えると見込まれている。そのきっかけを作ったのが日本人の協力隊員だというのは、とても誇らしいことだ。また、FANの方はその後も隔年ペースで開催されていて、今年10月にはオーストラリアで、2年後の2026年にはマレーシアでの開催が決まっている。
2回目は、僕が最初のブータン駐在を終えて帰って来て、何カ所かから「帰国報告」を求められていた2019年11月に、その準備も兼ねた文献調査という位置付けで読んだ。当時の僕にとっては「ファブラボ」はブータンでの活動の中のほんの一部でしかなかったので、帰国報告の中でそれだけを特出しして話すというわけにはいかなかった。かと言って、短いプレゼンの中で「ファブラボ」をちゃんと説明しきるのも難しかったので、「あとはこれを読んで…」と本書に誘導するようにしたかったのである。
https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2019-12-07
『十の輪をくぐる』 [読書日記]
内容紹介【コミセン図書室】
認知症の母が呟いた家族の「秘密」とは。
スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は……東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。51年前。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて──。1964年と2020年、二つの東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作。いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめによる圧巻の大河小説!!
先週、恒例の週末帰京を行った際、時間があったのでコミセン図書室で本を3冊借りた。その時は6月8日の週末も東京に戻るつもりでいたので、貸出期間2週間なら3冊読めると見込んだのだが、その帰京が不要となったため、どうしてもこの週末に返却してしまう必要が生じた。このため、コミセン図書室で借りた3冊どころか、市立図書館で借りた4冊も軒並み返却を今週中に済ませる必要が出て来て、僕は先週末に新潟に持って帰った本を、全部今回東京に持ち帰った。実際のところ、読み終えることができたのは2冊のみ。市立図書館で借りた4冊のうち、2冊は参考書なのでまあいいとして、5冊を1週間で返却しなければいけなくなった。結局読めたのはうち2冊のみ。残る3冊は泣く泣く返却した。
本作品は作家も初めてだし、あまり期待もせずに借りた。借りた理由は、主人公・泰介が僕自身の年齢と近く、かつ母・万津子の年齢もうちの母と近いと感じたからだ。万津子は51年前に尾張一宮の紡績工場に集団就職で来て勤めていたが、うちの母もお隣りの岐阜の紡績工場に勤めていた。中卒か高卒かの違いはあるが、登場人物の設定としてちょっと共感するところがあったのだと思う。
ただ、泰介の自己中心の傍若無人ぶりは、読んでいて嫌悪感がひどすぎてつらかった。3歳の頃の泰介も、58歳の現在の泰介も、どちらもそんな調子で、本編を通じてあまりいいキャラクターとしては描かれていない。「落ち着きがない」「人の話を聞かない」「言い出したら聞かない」等は僕も小さい頃には言われたことがあったが、普通は大人になっていけば気付くだろう。そこを還暦近くまで気付くこともなく過ごしてきてしまい、家族や職場の同僚を困惑させている姿は正直引く。
そういう、読みづらさをある程度覚悟して読む必要はあると思う。
それを差し引けば、読んでよかったと思える作品だった。自分の母の紡績工場での生活とか、たぶんそうだったんだろうというのが垣間見えた気もしたし、自分自身の子どもの頃ってこうやって毎日近所の子どもたちと連れ立って遊んでいたんだよなっというのを思い出すいい機会にもなった。
再読『チーム』 [読書日記]
箱根駅伝の出場を逃した大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツといわれる駅伝で、いわば“敗者の寄せ集め”の選抜メンバーは、何のために襷をつなぐのか。東京~箱根間往復217.9kmの勝負の行方は――選手たちの葛藤と激走を描ききったスポーツ小説の金字塔。【MT市立図書館】
池井戸潤の新作『俺たちの箱根駅伝』を読んだ後、デジャブ感が強かったので、同じく学連選抜チームの激闘を扱った堂場瞬一『チーム』を再読することにした。なお、本作品は2011年1月に一度読んでいる。学連選抜を主題としてとり上げる作品は『チーム』で1つの形が作られてしまったので、池井戸氏の最新作を知った時も、ちょっと二番煎じかなという危惧はしたし、どこで『チーム』との差別化を図るのかで頭をひねったのかも見どころではあった気がする。
『俺たちの箱根駅伝』をご紹介した際、「この波乱が起きるには、①学連チーム監督の采配と選手との適合性、②荒れた気象条件、③学連チームのチームとしての一体感の醸成、④他の有力校の抱える不安要素―――等々の要素が重ならないと難しい」と書いた。
『チーム』の方は、4位どころか優勝争いを描いているので、『俺たちの箱根駅伝』以上にハードルが高いが、『チーム』にも同じ要素はあったように思う。山上りや山下りのコースに適性がある選手が予選会敗退チームにいるかどうかはやはり大きな要素だろう。いずれの話でも、ブレーキになる区間もある。それはストーリー展開上必要不可欠な波乱だと言える。
『ケアとアートの教室』 [仕事の小ネタ]
内容紹介【購入】
藝大で福祉? 東京藝術大学学生と社会人がともに学んだ「アート×福祉」プロジェクトの記録介護、障害、貧困、LGBTQ+、そしてアート。様々な分野で活躍する人々と、東京藝術大学 Diversity on the Arts プロジェクト(通称DOOR)の受講生がともに学び、考える。そこから見えてきたのは、福祉と芸術が「人間とは何かを問う」という点でつながっているということ。ケアとアートの境界を行く17項!。
3月まで在籍していた会社への通勤途中で使っていたターミナル駅から、自宅に歩いて帰る途中の繁華街のはずれに、ブックカフェができた。飲み物の単価が高いので、カフェとして利用したことはないが、品揃えには特徴があり、駅周辺の大衆向けと書店だとなかなか扱わないようなテーマの、専門書と一般書の境界領域にある本を選んで置いてある。在庫をこんなに抱えて売れるのだろうかと首を傾げたくなるが、この手のブックカフェは増えてきているのだろうか。
何はともあれ冷やかし半分で初めて入店した際、面白そうだなと思って購入したのがこの1冊。その頃受講開始していて、今も受講中のグローバルディプロマコースを修了できたら、その先に取り組みたいと考えていたのが修得したスキルを福祉の分野で生かしたいと思っている。今は未だ講座を無事修了できるかどうかの当落線上で大苦戦を強いられていて、具体的に大きな行動につなげることは難しいが、それでも小さな布石はいくつか打ってきていて、修了したら何から始めるかはクリアにはなっている。
購入後は、この講座の課題で毎週追いまくられる生活が本格化したため、講座と直接関係のない領域の読書は後回しにせざるを得なかった。講座との関連性が強く、かつ自分自身が弱いと自覚している領域の本を読むことが増え、他領域の本や小説などはあまり読むことができなくなってきた。それはこの3カ月ほどのブログの更新頻度の低下や紹介図書の偏りなどでご覧いただけると思う。
それで後回しにしていた本書だったが、生活拠点を長岡に移した際、今がその時だと思って最初に読むことにした。理由は、本書で登場する東京藝大と同じアート分野の専門大学で働くことになったからだ。
『基礎からわかる「Bluetooth」』 [仕事の小ネタ]
基礎からわかる「Bluetooth」 [第3版] (I/O BOOKS)
- 作者: 瀧本 往人
- 出版社/メーカー: 工学社
- 発売日: 2021/09/25
- メディア: 単行本
内容紹介【MT市立図書館】
「Bluetooth」は、近距離にあるデジタル機器やツールをつなぐ無線規格ですが、「スマホ」や「タブレット」などにも搭載され、「イヤホン」や「キーボード」とつないでいます。さらに、低電力で通信が可能な「BLE」(Bluetooth Low Energy)が、スマホなど端末同士での通信や、近付くとスマホに直接情報を届ける「Beacon」(ビーコン)、「ウェアラブル端末」との通信手段として使われ、今後一層の普及が見込まれます。「Bluetooth」の「仕組み」から「各規格との違い」まで、詳細に解説。※前回の「増補版」出版から、バージョン「5.1」~「5.3」が登場し、さまざまな改良が加わり、新技術に対応しました。本書はその新仕様についての解説を追加し、全体の内容を現在の事情に即したものに改めたものです。
本書は、近所の市立図書館で二度借りた。一度読んだだけでは何が書かれているのか理解することができず、実際にIOTデバイスをスマホとBluetoothで接続するようなプログラムを書いてデバイスに書き込んで動かしてみる体験を経た上で、もう一度借りて読み直してみた。
Arduino IDEでサンプルスケッチを物色した際、「UART」「Advertize」「Service」など、定義がよくわからない言葉が連発し、どのサンプルを使えばいいのか理解するのが難しかった。「Central」と「Peripheral」という言葉も、デバイス側かスマホ側かどちらがどちらなのか、頭の中がグチャグチャになってしまった。
さらに、僕が知りたかったのは、単なる接続のOn/Offだけのプロトコルがあるのかどうかというのと、仮にデバイス側で電池節約のためにディープスリープモードに移行させたら、Bluetoothのペアリングは解除されてしまうのかどうか、もしそうなら、ペアリングが自動切断されないでもデバイス側でディープスリープモードに入る方法はないのかという点だったが、
そういうのに、ドンピシャで答えをくれる本ではない。上で挙げたような言葉は知ってて当たり前のように解説されているので、これで「基礎からわかる」はないんじゃないかなと苦笑したくなった。勿論、著者の定義的には「基礎」の範疇に入るとおぼしき記述はそこここに見られるけれども。
『ラズパイPico完全ガイド』 [仕事の小ネタ]
内容紹介【購入】
「スマホでコントロールできるリモコンカー」「室内の快適さや換気の目安を表示する装置」「暗くなったら自動で点灯するキーボードライト」…etc。
注目のマイコンボード「Raspberry Pi Pico」と各種電子パーツを組み合わせれば、個人でもこうした高度な制御を伴う電子工作の作品を生み出すことが可能です。マイコンボードに初めて触れる初心者から、さまざまな電子パーツの動かし方や実用工作の方法論などをまとめて知りたい中級者以上の人まで、Raspberry Pi Picoを使った電子工作の知識を余すところなく収録しています。
購入後、4月に一度通読して、読書メーター上は「読了」したことになっている本である。ただ、読了したから終わりというのではなく、通読して何がどのへんに書かれているのかを把握した後は、常にレファレンスブックとして必要な箇所を探して読み直している。
そういう意味で、紹介するタイミングがなかなかつかめずにいたのだが、5月はSSブログの読書日記の更新頻度が著しく低いので、このタイミングでのご紹介でもいいかもと判断し、掲載に踏み切った。
さらに言えば、この著者である福田和宏氏は、今月下旬、『ラズパイ5完全ガイド』という姉妹本を刊行予定らしい。目下のところ、今すぐにラズパイ5に挑戦する予定はないので、新刊の方は買うつもりはないのだが、応援も兼ねてPicoとPico Wの完全ガイドの方を紹介させてもらいたい。
『俺たちの箱根駅伝』(上)(下) [池井戸潤]
内容紹介【購入】
池井戸潤の最新長編の舞台は、「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。若人たちの熱き戦いが、いま始まる!
古豪・明誠学院大学陸上競技部。箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか?
一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。「不可能」と言われた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。
5月に入って生活環境がまた激変し、今は新潟県長岡市に生活の拠点を移している。ただ、1月から受講開始しているディプロマプログラムのローカルセッションが週末に横浜であるので、平日は長岡で過ごし、週末は東京の自宅に戻ってローカルセッションに備える二重生活が、これからも1~2カ月は続く見込みだ。
このプログラムが佳境に入っているため、SSブログもnoteも更新がなかなかできないでいる。ブログ記事を書いている時間は演習課題の取組みに充てるべきだとの自覚があるし、SSブログに至っては、そもそもアウトプットに必要なインプット―――つまり読書に充てる時間が覚束ない。
唯一の救いは長岡~東京・横浜間の移動だ。たいていの場合はすぐに寝落ちしてしまうため、バスの中で5時間近く読書を集中して続けるのは難しいが、正直高速バスの車内では睡眠か読書以外できることがないため、結構読書は進む。
ましてや読み始めたら止められない池井戸潤の小説である。今回は、上巻は東京から長岡に戻るバスの車中で読み始めて下車後同日夜に読了し、下巻については翌週末に持ち越すことができず、続きが読みたいと平日に睡眠時間を削って読んでしまった。個人的には上述の原則を破った形になり、罪悪感もあった。でも、そこは次の長距離バスの車内では演習課題と直結するテーマの本を読んで、次回以降紹介するということで、お赦し下さい。