『和僑』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)【購入(キンドル)】
宮城県緑原町に老人定住型施設「プラチナタウン」が開設され四年。町は活気を取り戻し居住者は増えた。だが、町長の山崎は不安を覚えていた。いずれ高齢者人口も減り、町は廃れてしまう―。山崎は、役場の工藤とともに緑原の食材を海外に広め、農畜産業の活性化を図ろうとする。だが、日本の味を浸透させる案が浮かばず…。新たな視点で日本の未来を考える注目作!
『プラチナタウン』の続編だということで、10年前に前作を読んでいた者としては、続編を読まないわけにはいかない。前作を読んだ当時も、これって一時的には効果があるけれども根本的な課題解決にはならないだろうなとは予想はしていた。いくら元気な高齢者を外から集めてきて需要を創出したからといって、その高齢者が20年もしたらどんどん鬼籍に入るし、国はこういう成功事例にはすぐに飛びついて、こういう事例を全国各地で増やそうと奨励するから、必ず競争が起きる。
ただでも縮小していくパイを増えていくプレイヤーが争奪するという構図で、絶対サステナブルじゃない。そういう感覚は、ちょっと人口学をかじって冷静に見ている者ならわかるのだが、今が良ければそれでよいと思っていそうな地元の住民にとっては、なかなか理解してもらいづらい。
次期町長選挙も絡んでくるので、細かいところでのストーリーの展開には読めないところもあったが、冒頭の紹介文にもあるような方向で、一応落ち着いていく。エンディングは予想通りだが、予想通りであったとしても読後感はまずまずだった。