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『ケルベロスの肖像』 [海堂尊]

ケルベロスの肖像

ケルベロスの肖像

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2012/07/06
  • メディア: 単行本
内容紹介
『このミステリーがすごい! 』大賞を受賞した、ベストセラー『チーム・バチスタの栄光』から続く、田口&白鳥シリーズ最終巻! 大人気メディカル・エンターテインメント、いよいよ完結です! 「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」――東城大学病院に送られてきた脅迫状。高階病院長は、院内の厄介事を一手に引き受ける愚痴外来の田口医師に、犯人を突き止めるよう依頼した。厚生労働省のロジカル・モンスター白鳥の部下、姫宮からのアドバイスによって、調査を開始する田口。警察、医療事故被害者の会、内科学会、法医学会など、様々な人間の思惑が交錯するなか、Ai(エーアイ)センター設立の日、何かが起きる!?
先週末、ようやく時間がとれてコミセン図書室に本を返却しに行くことができた。ついでに小説を1冊ぐらいは借りようと考え、書架を物色していて海堂尊の『ケルベロスの肖像』を発見。今がチャンスとばかりに即決で借りた。海堂尊&宝島社のタッグチームの中心は「田口&白鳥」のコンビだが、今回はその完結編と銘打たれている。従って、これまでの海堂作品が描いてきた過去から未来に至る様々な出来事の時間軸と、同時多発的に各地で起きている出来事を散りばめる空間軸とを交差させたポイントで、桜宮市の東城大学医学部付属病院を描き、医学部付属病院の経営破綻と高階病院長の退任を以て1つの区切りにしようという著者と宝島社の意図がよく見える。良い方を変えるなら、桜宮サーガの作品間のつじつまをうまく合わせるために用意された作品ということになる。

アマゾンや読書メーターの読者感想を読んでいると、本書はかなり不評なので驚いた。でも、実際に読んでみると、そんなにひどい作品だとは思えない。完結編というだけあって、過去の海堂作品に登場した人物が沢山登場し、それらを読んだことがある人間は多少なりともケーキ・バイキング的な嬉しさは禁じようがない。相変わらず乱暴な展開、人を小馬鹿にしたキザなセリフが目につくが、だからといって、僕にはここまでの作品など書けない。つじつま合わせもここまでやれたら立派だ。とはいえ、最低限、『ブラックペアン1988』と『螺鈿迷宮』あたりは事前に読んでおかないと、本書の大きな流れは捉えづらいだろう。

高階院長は当日急に田口先生をつかまえて桜宮からはるばる羽田空港まで東堂先生を迎えに行っている一方、その東堂先生が手土産に持ち込んだ「リヴァイアサン」は、大牧空港(愛知県の小牧空港かと)に到着し、そこから名古屋から桜宮まで延びる「桜宮バイパス」というのに乗って、戦車部隊によって桜宮に運ばれたとなっている。この距離感がイマイチよくわからない。厚労省の白鳥クンは精彩欠いてたね。普通ここまで出来の悪い部下を抱えたらクビにすることを考えた方がいいが、それができないのはそれが一応お役所だからということか。(それにしても、この部下はひどい。)田口先生には「俺」よりも「私」の一人称の方が合っている気がした。

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