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『ナニワ・モンスター』 [海堂尊]


大阪府知事と大阪市長のダブル首長選投票日を前に、なんとなく読もうと思った海堂尊作品。なんとなく、登場している村雨府知事というのが橋本さんとダブり、そこで述べられている村雨知事の政策目標も、橋本さんと似ているのではないかという気もしてしまう。

ナニワ・モンスター

ナニワ・モンスター

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/04/21
  • メディア: 単行本
内容紹介
関西最大の都市・浪速で新型インフルエンザ「キャメル」が 発生した。経済封鎖による壊滅的打撃、やがて仄見える巨大な 陰謀。ナニワの風雲児・村雨府知事は、危機を打開できるのか? 村雨が目論む、この国を破滅から救うための秘策とは――。  近未来を透視するメディカル・サスペンス!

前半は面白かったです。海堂作品といったら、すぐにAI(エー・アイ)の話になるので、感染症のパンデミックとか、町医者や医師会とか、今まで著者が扱ってこなかった領域に踏み込んでいて、きっと面白い話になっていくだろうなという期待をしてしまった。

また、警察庁の斑鳩さんが暗躍するところなども、まあ良かった。テレビで『アリアドネの弾丸』を見ていたので、こういう斑鳩さんの暗躍ぶりを見ていると、読んでいても高橋克典のイメージがダブって、斑鳩登場の場面は想像しやすかったし。ここまでの悪役振りで斑鳩さんが登場した作品は珍しいのではないかと思う。

ただ、厚生労働省の白鳥さんがチョイ役で登場したあたりから、話がなんだかまたAIに向かって急展開し始めた。白鳥さんが厚労省の食堂で浪速大のAI導入を話題にしているのをすぐ後ろで斑鳩さんが聞いていたなんて状況、あり得るのだろうか。そもそも斑鳩さんと白鳥さんは対立関係にあるわけだし、面識がないわけでは決してないだろう。斑鳩さんが近くにいるということも知らずにペラペラと「AI」を白鳥さんが口にするなどという状況が考えにくい。

それと、僕はどうしても彦根新吾というキャラクターが好きになれないのです。「大ぼら吹き」で大言壮語を吐きまくるという点もそうだし、何かともったいつけて本題に入らない、闇の部分が多過ぎるキャラクター。海堂作品には必ずそういう、相手の知的水準にチャレンジするようにネタを小出しにするキザなキャラクターが登場するが、その中でもずば抜けて気に入らないのが彦根クン。学生時代に雀荘で速見のカモにされていた彼が、いつどのようにして大ぼら吹きに変身していったのか、著者はちゃんと描いて欲しいと思う。

それと、村雨知事がいつどのようにして桜宮と接点があったのかも、結局のところ語られていなかったように思う。村雨知事に限らず、ちょっと登場人物を広げすぎて、生かし切れていなかったのが気になった。

なんだか、海堂尊さんが喜びそうな報道が英国から飛び込んできているみたいですね。
タグ:海堂尊
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