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『あすなろ三三七拍子』 [重松清]

あすなろ三三七拍子

あすなろ三三七拍子

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2010/03/13
  • メディア: 単行本
内容紹介
藤巻大介45歳、あすなろ大学応援団長出向を命ず―
存続危機の応援団を「合言葉は押忍!」でオジサン達が復活させる、抱腹絶倒・落涙必至の快作長編。
ここのところ夜の予定が立て込み、1つ予定を片付けてから21時過ぎに飲み会に遅れて合流という日が二晩連続した。今日(14日)も近々インドに赴任する予定の同じ職場の元同僚と待ち合わせ、3時間ほどインドでの仕事や職場の話をした。そんなわけで14日分の記事は書き上げることもままならず、1日お休みをさせていただいた。

もう1つの大きな理由は、422頁もある重松清の長編を読んでいたからだ。あり得ない状況設定なのだが、重松作品としてはかなり珍しい大学生の学生生活が描かれており(主人公・藤巻大介を「学生」と呼べるかどうかは悩ましいが)、それがとても新鮮だった。舞台が応援団だというのも意外感がある。トーンは『定年ゴジラ』や『希望ヶ丘の人びと』、『青春夜明け前』等に近いと思う。笑いあり、涙あり、感動ありの長編で、かなり楽しませてもらえる。

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『きみ去りしのち』 [重松清]

きみ去りしのち

きみ去りしのち

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
どれだけ歩きつづければ、別れを受け容れられるのだろう。幼い息子を喪った父、“その日”を前にした母に寄り添う少女。―生と死がこだまする、ふたりの巡礼の旅。再生への祈りをこめて描かれた傑作長編小説。
う~~~~~ん。どうなんだろうか。評価微妙な作品。

愛する家族を病気で突然亡くすとか、交通事故で亡くすとか、癌のような時間をかけて進行する病気で亡くすとか、身近でそういうことを経験していないと感情移入がしにくい作品だなという印象だ。「死」をモチーフにした重松作品は泣かせるものが多いと言われるし、これを読んで泣いたという人もアマゾンの書評を読んだらいらっしゃるようであるが、僕は全く何も感じなかった。「重松清限界効用逓減の法則」かな!?

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『ステップ』 [重松清]

ステップ

ステップ

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
結婚3年目、妻が逝った。のこされた僕らの、新しい生活―泣いて笑って、少しずつ前へ。一緒に成長する「パパと娘」を、季節のうつろいとともに描きます。美紀は、どんどん大きくなる。
妻を亡くしたパパと2歳で残された娘という状況設定的に、発売当初から食指が伸びなかった重松作品なのだが、僕が時々読ませていただいているノリさんのブログで、ノリさんが本書を評価されているのを知り、帰国したら仕事が忙しくなる前に読んでみようと考えた。実際に読むのにかかったのはわずか1日。期待に違わぬ作品だと思う。いや、最近の重松作品のラインナップ的にもかなり秀作の部類に入る。とてもいい作品だ。

ノリさんが本書の収録短編の中でも「バトン」について強調しておられたが、同世代でもオヤジの方である僕にとっては「サンタ・グランパ」が身にしみた。作品中、社内の権力抗争に敗れて引退を余儀なくされた義父が健一を銀座の料亭に連れ出して愚痴るシーンがあるが、この辺りを読んでいて既に瞼が熱くなってきた。

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『ニッポンの単身赴任』 [重松清]

ニッポンの単身赴任 (講談社文庫)

ニッポンの単身赴任 (講談社文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/10/14
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
転勤族の息子だったシゲマツが、北海道から上海、南極まで、単身赴任の仲間20人をルポルタージュ。「単身赴任について考えることは、そのひとにとっての幸せのかたちを探ること」と言う著者が、彼らを訪ね歩いた結果、見えてきた「仕事」と「家族」と「自分」の新しい関係とは。

離任まで残り1ヶ月を切り、自宅に積読状態になっている蔵書の読み込みを急いでいるところだ。日本に持って帰る本についてはだいたい決めているが、インドに残していきたい本について、読んでないものをなるべく減らしておきたいという気持ちからだ。ご存知の通り、僕は重松清作品を相当に読み込んでいるが、1冊だけ未だ着手してない重松作品の蔵書があった。それが本書である。

小説ではないため後回しにしていたのだが、僕の単身赴任生活も残り1ヶ月を切ったので、そろそろ総括してもいい頃かなと思ったので読んでみることにした。ルポなのでまあ単身赴任生活のあり方はいろいろあっていいのではないかとは思ったけれど、取材対象をどうやって決めていたのかはちょっと興味があった。半年程度の単身赴任も事例に含めても、説得力としてどうなのかなと正直言って思ったけれと。

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『再会』 [重松清]

再会

再会

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/10/23
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
子供の頃、勇気はみんなから称えられ、努力は必ず報われた。だけど、おとなになったいまは?初恋の少女、ちょっとさえないヒーロー、親戚中の鼻つまみ者だった酔っぱらいのおじさん…なつかしい人との再会が教えてくれた、気づかなかった幸せの数々。「勝ち負け」だけじゃ量れない、生きることの豊かさを伝える全6編。
年始のこの時期、地方出身の僕にとっては同窓会のシーズンだということだ。高校の剣道部のOB会は、稽古も含めて毎年正月休みに必ず行なわれている。古い友人と故郷で会うのもお盆か正月に限定される。毎年恒例というわけではないし、特に小中学校関係の同窓会などは本来なら僕が幹事をやってなければいけない立場だろうから、その僕が故郷を離れて不定期にしか帰省もしていない以上、昔のクラスメートが集まる機会すら作れていないのが現状だ。いや、元々高校卒業しても地元に残り、地元で就職して地元で結婚して、そして家庭も地元で築いたという人であれば、日常生活の中でそういう人同士何度か出くわす機会はあるのかもしれない。昔のクラスメートの間で思いもよらぬ組合せで結婚してましたというケースもあるかもしれない。

地域の高齢化が進んでいても、両親が健在であるうちは、その親同士の交流の中で、僕のクラスメートだったあいつは今どうしているかといった情報は意外と入ってくる。ややもすると、僕と両親のコミュニケーションよりも、僕のクラスメートと両親、特に母との間のコミュニケーションの方が頻繁に取られていたりすることある。この時期改めて両親が故郷で健在であることのありがたみをかみしめる。

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『十字架』 [重松清]

十字架

十字架

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/12/15
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。中学2年でいじめを苦に自殺したあいつ。遺書には四人の同級生の名前が書かれていた―。背負った重荷をどう受け止めて生きればよいのだろう?悩み、迷い、傷つきながら手探りで進んだ二十年間の物語。
新年の初読書は重松清から――。

この年末年始、僕の職場は中1日の営業日を挟んで4連休と5連休という大型の休日が続いている。その間僕のようにデリーに居残った日本人の駐在員で大晦日は酒盛りをやり、カウントダウン@デリーで盛り上がったが、開けて元日は日本に残してきた家族や実家の両親に電話をする日であり、大人しく自宅で過ごした。二日酔いでちょっと頭が痛かったし、寒さが身にしみてまたちょっと風邪ひくかもという兆候もあったし…。

そこで、年末にアマゾンで入手してあった重松清最新刊を読むことにした。

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『青春夜明け前』 [重松清]

青春夜明け前 (講談社文庫)

青春夜明け前 (講談社文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/12
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
10代、男子。愛おしくおバカな季節。何かというとボッキしてばかりいたあの頃の僕たちは、勘違い全開のエロ話と「同盟」「条約」「宣戦布告」という言葉が好きだった。そして何より「親友」という言葉が大好きだった。男子の、男子による、男子のための(女子も歓迎!)、きらめく7編の物語。

久々の重松作品。大いに笑えた。爆笑しながら読める作品もたまにはいい。ストレスを忘れさせてくれる。その一方で、この作品、著者と完全同世代の僕ら40代半ばのオヤジはともかくとして、一体他にはどのような読者層を狙って書かれたのかとふと疑問に思った。

本書の帯にはこう書かれている。
妻よ、娘たちよ、そして、あの頃好きだったカノジョたちよ。
これが男子だ!
そうか、自分の妻には読ませていい作品なのだ。そして自分の娘、う~ん、娘が20代後半になったらまあ読ませてもいいかもしれないが、今10歳の娘にこれを読ませると多分オヤジは嫌われるだろうし、これから中高校生時代を迎えるうちの長男も軽蔑の対象となるだろう。その長男、高校生になったら読ませてもいいかもしれないと思う。あと4年、僕がこの本をずっと所有していたとしたら、その時には息子に引き継ごう。

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『あの歌がきこえる』 [重松清]

あの歌がきこえる (新潮文庫 し 43-14)

あの歌がきこえる (新潮文庫 し 43-14)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/06/27
  • メディア: 文庫
意地っ張りだけどマジメなシュウ、お調子者で優しいヤスオ、クールで苦労人のコウジは、中学からの友だち同士。コウジの母親が家出したときも、シュウがカノジョに振られたときも、互いの道を歩きはじめた卒業の日にも、三人の胸にはいつも、同じメロディーが響いていた。サザン、RC、かぐや姫、ジョン・レノン……色あせない名曲たちに託し、カッコ悪くも懐かしい日々を描く青春小説

人間、人生の折り返しを過ぎて老いを意識し始める頃から、なんだか無性に昔のことが懐かしく思えてくる。特に中学校から高校、さらには大学時代のことである。以前、奥田英朗著『東京物語』がツボにはまってしまい、その頃の思い出を題材にブログの記事を書いたことがあるが、僕達と同じ世代の作家がこの頃のことを描いた作品というのはどうにも捨て難いものがあり、つい手にしてしまう。ましてや本日紹介する1冊は、僕と同い年の重松清の新刊本である。

物語は12編の短編から成るが、そこで常に登場するのは主人公のシュウと、親友であるヤスオとコウジの3人である。同じ町にある進学校に揃って進めるという状況はともかくとして、シュウのような真面目男は中学・高校時代には必ずいたし、フォークギターにはまって卒業式の季節になるとやたらと目立っていたヤスオのような奴も必ずいたし、コウジのように家庭に特殊な事情を抱えている奴も必ずいた。そして、早ければ中学校卒業、遅くても高校卒業と同時に、同じ学校の同級生は全く違う道を歩み始めるのである。シュウは早稲田に合格して上京、ヤスオは三流大学ばかりを受験して博多の大学への進学を選び、コウジは一足先に社会人となり広島での生活をスタートさせる。そしてこの12編の短編をそれぞれ彩るのがその時々に彼らが耳にし、口にした歌の数々である。 

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『かあちゃん』 [重松清]

かあちゃん

かあちゃん

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
「お母ちゃんな…笑い方、忘れてしもうた」親友をいじめた。誰からも助けてもらえなかったあいつは、自殺を図り、学校を去った。残された僕たちは、それぞれの罪を背負い、罰を受けて、一人の年老いた「かあちゃん」に出会った―。母が子どもに教えてくれたこと、子どもが母に伝えたかったことを描く、感動の最新長編。

久しぶりに重松作品を取り上げてみたい。この本、僕は実家で病床に臥しながら読んだ。

静養目的の一時帰国の筈なのに、いろいろと行事を盛り込み過ぎ、そこに末っ子の風邪と親知らずを抜いた痛みが直撃し、僕は昨夜には38度の熱を出した。今日16日は熱は36度台に下がったが、未だ頭がふらつき、知人を頼って今日見学させていただくことになっていた特養ホーム、老健施設の訪問は中止することにした。変なウィルスをお年寄りに移してはいけないし。

だからこの400頁を超える短編集、結局1日がかりで全て読み切ってしまった。

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『希望ヶ丘の人びと』 [重松清]

希望ヶ丘の人びと

希望ヶ丘の人びと

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/01/16
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
いじめ、学級崩壊、モンスター・ペアレント、家族の死…。70年代初めに開発された街・希望ヶ丘…そこは、2年前にガンで逝った妻のふるさとだった…。亡き妻の思い出のニュータウンに暮らす父子を描く感動長編。
先週金曜日から日曜日にかけて、ネルー大学で日本研究の国際学会があった。僕は結局休日出勤までしたからこの学会は覗くことすらしてないのだが、「日本語研究」ではなく「日本研究」で、提出論文約40編の大半が日本研究に関するもので、中には政治分析を扱ったものもあったらしいから、僕も事前に知っていれば日本の高齢化を題材にして何らかのペーパーを書けたかなと少しばかり後悔している。無論開催を知った経緯からしても日本語教育と何らか関連付けて考えた方がいいんだろうけど…。

そう考えると、ここまで重松作品を35冊以上を読破してきた僕としては、それらの作品をレビューして、表現方法とか登場人物、取り上げるテーマの推移といったことを分析してみると、プチ・リサーチペーパーが書けるかもしれない(笑)。僕がインドに来てから仕入れた重松作品は日本学科を持っている大学の図書館にでも寄贈できないかなと考えている。テーマとしては難しいものを扱っていても、表現方法は意外とシンプルでわかりやすいので読本として適しているだろうし、現代の日本社会を知ってもらうには結構いいコンテンツとなるに違いない。

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