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『俺たちの箱根駅伝』(上)(下) [池井戸潤]

俺たちの箱根駅伝 上 (文春e-book)

俺たちの箱根駅伝 上 (文春e-book)

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2024/04/12
  • メディア: Kindle版
俺たちの箱根駅伝 下 (文春e-book)

俺たちの箱根駅伝 下 (文春e-book)

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2024/04/12
  • メディア: Kindle版
内容紹介
池井戸潤の最新長編の舞台は、「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。若人たちの熱き戦いが、いま始まる!

古豪・明誠学院大学陸上競技部。箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか?
一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。「不可能」と言われた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。
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5月に入って生活環境がまた激変し、今は新潟県長岡市に生活の拠点を移している。ただ、1月から受講開始しているディプロマプログラムのローカルセッションが週末に横浜であるので、平日は長岡で過ごし、週末は東京の自宅に戻ってローカルセッションに備える二重生活が、これからも1~2カ月は続く見込みだ。

このプログラムが佳境に入っているため、SSブログもnoteも更新がなかなかできないでいる。ブログ記事を書いている時間は演習課題の取組みに充てるべきだとの自覚があるし、SSブログに至っては、そもそもアウトプットに必要なインプット―――つまり読書に充てる時間が覚束ない。

唯一の救いは長岡~東京・横浜間の移動だ。たいていの場合はすぐに寝落ちしてしまうため、バスの中で5時間近く読書を集中して続けるのは難しいが、正直高速バスの車内では睡眠か読書以外できることがないため、結構読書は進む。

ましてや読み始めたら止められない池井戸潤の小説である。今回は、上巻は東京から長岡に戻るバスの車中で読み始めて下車後同日夜に読了し、下巻については翌週末に持ち越すことができず、続きが読みたいと平日に睡眠時間を削って読んでしまった。個人的には上述の原則を破った形になり、罪悪感もあった。でも、そこは次の長距離バスの車内では演習課題と直結するテーマの本を読んで、次回以降紹介するということで、お赦し下さい。

さて、本作品だが、関東学生連合加盟大学の混成チームが本選で番狂わせを起こすという話の流れは堂場瞬一『チーム』と通じるところがあって、読み始めの時点からデジャブ感が非常に強かった。箱根駅伝は誰もが一目置く必殺のコンテンツで、読者が読みたいと思うテーマというのでは申し分ない。

実際面白かったのだが、今回の作品で、この波乱が起きるには、①学連チーム監督の采配と選手との適合性、②荒れた気象条件、③学連チームのチームとしての一体感の醸成、④他の有力校の抱える不安要素―――等々の要素が重ならないと難しいだろうなというのが正直な感想だった。

『チーム』のレビュー記事の中で、僕は「学連選抜は、箱根の予選会が終わってから選手が選抜されるので、準備期間は2ヵ月しかなく、千葉での2泊3日の合宿を除くと全体練習は2日しかない。全員が顔を合わせるのが都合5日しかない寄せ集めチームに一体感が生まれるかどうかはかなり大きな賭けになるだろう」と書いた。

今回の池井戸作品を読まれた方はご記憶だろうが、本作品での学連選抜チームは、都合5日どころか、本選まで毎週末合同練習会を開いている。

ただ、波乱が起きれば確かに読者はワクワクするし、そういう作品が求められていると思う。池井戸潤さんがこれを描いて何を伝えたかったのかといえば、やはり今の学連選抜のあり方への問題提起なのではないかと思う。最初から勝負の土俵に立たせてもらえないチームの本選出走は残念なことであり、中にはモチベーションが上がらない中で思い出作りで走って区間下位でお茶を濁して良しとする選手もいないとも限らない。そこは、関東学連や運営関係者はもう一度考えてみるべきだし、選ばれた選手や監督・コーチも意識を統一すべきだ。

さて、『チーム』との比較でもう1つ違うのは、箱根駅伝をテレビ中継する放送局の舞台裏でのドラマを同時並行で見せていることだと思う。箱根駅伝のテレビ中継を見ながら、CMを入れるタイミングや、定点カメラの位置取り、中継車実況解説の他にスタジオ実況解説が別途必要な理由等々、考える瞬間はそれほど多くないが、箱根駅伝をテレビ観戦する際に、発送する選手たちが繰り広げる熱き走りの他に、別の見方もあるのだと気付かされた。

タグ:駅伝 箱根
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