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『きみ去りしのち』 [重松清]

きみ去りしのち

きみ去りしのち

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
どれだけ歩きつづければ、別れを受け容れられるのだろう。幼い息子を喪った父、“その日”を前にした母に寄り添う少女。―生と死がこだまする、ふたりの巡礼の旅。再生への祈りをこめて描かれた傑作長編小説。
う~~~~~ん。どうなんだろうか。評価微妙な作品。

愛する家族を病気で突然亡くすとか、交通事故で亡くすとか、癌のような時間をかけて進行する病気で亡くすとか、身近でそういうことを経験していないと感情移入がしにくい作品だなという印象だ。「死」をモチーフにした重松作品は泣かせるものが多いと言われるし、これを読んで泣いたという人もアマゾンの書評を読んだらいらっしゃるようであるが、僕は全く何も感じなかった。「重松清限界効用逓減の法則」かな!?

先ず、主人公セキネと、別れた妻との間に生まれて妻に育てられた娘・明日香が、なんで2人で日本国内こんなに旅しなければいけないのかが全く理解できなかった。この作品、セキネの会社との関係が全く描かれていない。幼い息子を亡くした彼に対してこんなに寛大な会社があるのだろうか、よくわからない。

まあこんなに旅した理由はセキネと離婚した元妻・美恵子が全国各地のNPOに顔を出し、活動に首を突っ込んでいたからなのだが、そんな全国ボランティアツアーのようなことをやってる元妻には全く賛同できなかった。そりゃあそれを通じて全国に知人ができるというのはわからぬでもないが、こういう地に足の付いていない「自分探し」を40代になってまでやっているのはどうなのだろうか。自分が暮らす地域の活動に浸かるのでもいいではないか。

そして最後に再婚相手の洋子との関係。結局セキネと洋子の関係は修復に至ったのかどうか、これもよくわからなかった。同じベッドで自分の隣りで夫が寝息を立てているだけでもイラつき、むしろ夫が旅に出てくれていた方がいいとすら思っているという妻と、夫セキネとの関係は結局「離婚」という選択肢に至ったのか、それとも別の結論が出たのか、よくわからない。

本書を読んで感動した人も現にいるわけだからこんな言い方をすると大変失礼だと思うが、こういうふうに「死」を扱って軽々に作品を書いて欲しくないなという感想を持った。(重松さん、ゴメンナサイ!)
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