日本より速いアジアの高齢化 [少子高齢化]
国連人口基金(UNFPA)が10月に『世界人口白書2011年版』を発表したのを受け、このところ、世界人口が70億人に到達したという報道がマスメディアを賑わせている。曰く、世界人口は2050年に93億人に到達し、今世紀末には100億人を突破する、曰く、現在12億1千万人で中国に次いで世界第2位のインドの人口は、2050年には15億人を突破し、第1位に躍り出るとか。
インドに特化した記事はいずれ別の機会に紹介したいと思うが、人口増加が著しいのは、①たくさん生まれて寿命も延びる「多産少死」と、②生まれる数も亡くなる数も少ない「少産少死」が世界全体で見た場合に同時に起きているからである。「多産少死」の国々では、医療の進歩で死亡率が下がり、農業の発展で食料も確保でき、産業の発展で生活レベルが向上してきたが、人口が増え過ぎて、食料やエネルギーの不足、環境への負荷増加、雇用機会の確保といった問題が起きている。一方、人口の伸びが緩やかになった「少産少死」となる国々では、高齢者の割合が増えて、社会保障に充てられる資金や若い労働力人口の不足が懸念されている。白書は、こうした状況を受け、移民の増大や資源不足といった問題が生じるとも警告している。
UNFPAの発表とタイミングを同じくして、総務省は10月26日に、2010年10月実施の国勢調査確定値を発表し、2010年の日本人の人口が1億2535万8854人になったと述べた。2005年の国勢調査結果からは37万人の減少だという。高齢化の進行にも拍車がかかり、65歳以上人口は前回から357万4千人増えて2924万6千人、高齢化率は23.0%になったという。2位のドイツ、イタリアは20.4%だが、1位日本との差はかえって開いた。
ちょうどそのようなタイミングで、三鷹国際交流協会(MISHOP)は、標題のタイトルの国際理解講座を10月22日(土)に開催した。講師は日本総研の大泉啓一郎さん。いつものように、会場は三鷹駅前コミセンである。
大泉さんの著者を度々このブログでも紹介させていただいている通り、僕は大泉さんと面識があるため、今回の講座の企画については、今年4月頃から大泉さんと連絡を取り、10月に開催しようということで準備を進めてきた。近隣の書店にPOP広告を置かせてもらい、大泉さんの著書の販促と抱き合わせのイベント広報を試みたり、9月に開催された三鷹国際交流フェスティバルでイベント紹介をやったり、果ては三鷹駅前のお店の幾つかにポスターを貼らせてもらうようなお願いまでした。さらには最後の悪あがきで、当日別の目的でコミセンを訪れた来場者を入口でつかまえてイベント案内をするようなことまで、MISHOP関係者の方にお願いした。
その甲斐あったか、講座に出席下さった方の数は49人にのぼり、なんとか格好がつく形にはなったと思う。個人的には、これだけやっても49人という実績には納得いかないものもある。中国や韓国の高齢化についても言及されたので、本来ならMISHOPの活動に何らかの形で関わっている外国人の方々にも来て欲しかったが、1人もいなかったのが残念だ。(まあ、MISHOPがそのHP上でイベント案内をしたのが日本語サイトだけだったので、イベント開催自体を知らなかった外国人居住者も相当いたのではないかと思うが。)それと、参加者の年齢構成的にもシニアの方が非常に多く、若者が少なかったのも残念。そういう広報の仕方ができていなかったのかもしれないと反省もする。
僕自身は大泉さんの著者を熟読していたので、講演内容自体にはさほど目新しいものがなかった。くしくも、10月24日(月)の日本経済新聞にも「世界 忍び寄る高齢化」という記事が掲載され、大泉さんがコメントを残している。その記事の切り抜きを添付しておくので、画像クリックして拡大して読んでいただけると幸いである。
最近の国際理解講座では、質疑応答に相当な時間をかけ、講師と参加者のインタラクションを多くした。その結果として、今回も、「じゃあ三鷹のシニア市民に何ができるのか」という具体的な問いへの答えらしきものが出てきたりして、なかなかよかった。「シニアSOHO普及サロン三鷹」のような取組みは、うまく情報整理して英語で発信できたら、アジアの多くの国々の都市に住むシニア市民にも参考になるし、アジアのシニア市民間の経験交流のきっかけにもなると思う。(SOHOサロンだけではない、僕が知らないだけかもしれないが。)
活発な議論が展開されている光景を見守りながら、普段からよく勉強しておられるシニア市民が多く参加して活発に挙手されている一方で、若い人が少ないのにはひっかかりも感じた。このところ国際理解講座は、集客力がありトークの上手い講師を招聘してそれなりにレベルの高いことをやっているが、それでかえって若い人が初参加しづらい雰囲気を醸し出してしまっているのではないかと気になった。全体にレベルを落とせと言うつもりはないが、高校・大学生とか小中学生とかいった年齢層でターゲットを区切って、バラエティに富んだテーマを扱っていけたらいいのにと思うのだが、それをやるには今のメンバーの高齢化が著しい国際理解委員会が企画運営するのは相当に難しい。MISHOPも正念場だ。
コメント 0