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『サステナブルツーリズム』 [持続可能な開発]

サステナブルツーリズムー地球の持続可能性の視点から

サステナブルツーリズムー地球の持続可能性の視点から

  • 作者: 藤稿 亜矢子
  • 出版社/メーカー: 晃洋書房
  • 発売日: 2018/06/10
  • メディア: 単行本
内容紹介
世界で急速に拡大化する観光産業に、今何が求められているかーーー。
「地球環境の持続可能性」について考えることは、現在および将来の観光のために避けて通れない課題である。必要不可欠なグリーン施策や多くの実例も紹介しつつ、有限な地球で求められるサステナブルツーリズムの本質を学ぶ。

これは僕が読書メーター上でフォローしている読書家の方が薦めておられるのを見て、帰国したら図書館で借りて読んでみようと思っていた本である。曰く、「これからの観光業を目指す人のための教科書。持続的な観光がなぜ必要か、どんな観光が求められるのか、どのような観光のことをいうのか、丁寧に整理する」と紹介しておられる。実際、非常に丁寧に書かれており、しかもSDGsの議論の中でのツーリズムの位置付けもしっかり踏まえて描かれている。

読み始めるにあたっての僕の問題意識は、「エコツーリズム」と「サステナブルツーリズム」は、どこがどう違うのかという点だった。少し前まで僕がいたブータンでは、日本のNGOの方がJICAの草の根技術協力事業で、「コミュニティに基づくサステナブルツーリズム(CBST)」という概念に基づくプロジェクトを実施されていた。実際CBSTを冠としたFacebookのページもあり、今でもたまに更新されているが、2018年1月にプロジェクトを終了してから、「CBST」という言葉を聞く機会が激減した。

それに代わって出てきたのが、「エコツーリズム」という言葉である。

エコツーリズムという名前で、JICAの草の根技術協力事業が入っていたハ県も対象として、地域の能力開発に取り組むということになっている。ファンディングはUNDP。「エコツーリズム」という言葉はICIMOD(国際総合山岳開発センター)もよく使っていたから、このままだとCBSTという言葉はエコツーリズムに置き換わっていくだろう。ブータン政府はその時にお金を出してくれるドナーの言うことは聞く。ハ県にとっても、どこであろうと今カネを出してくれるところがありがたいとなる。

先のNGOのプロジェクトは2018年1月に終了したが、終了後、JICAがその成果を引き継いで、「CBST」の概念普及をもっと後押ししていたら、今とは違った状況になっていたかもしれない。もっとも、プロジェクト終了前に、この実施団体が「CBST」の概念普及に積極的に取り組んでいたかといえばそうでもなく、JICAにそれが引き継がれなかったのにも、何かの事情があったのかもしれない。

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