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『直島から瀬戸内国際芸術祭へ』『ひらく美術』 [仕事の小ネタ]

直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた

直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた

  • 作者: 福武總一郎、北川フラム
  • 出版社/メーカー: 現代企画室
  • 発売日: 2016/10/20
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
瀬戸内アート本の決定版!「アートによる地域づくり」を切り拓いてきた福武總一郎(プロデューサー)+北川フラム(ディレクター)初の共著、ついに刊行!

秋元雄史『直島誕生』以来の直島、瀬戸内国際芸術祭関連の書籍である。秋元氏は2006年にベネッセ福武聰一郎会長と袂を分かち、ベネッセを去っている。『直島誕生』は本当に直島が現代アートで復興するまでの経過についてしか描かれていない。それはそれで非常に貴重なナラティブだと思うが、そこで制作されたアート作品について写真すら挿入されていないし、瀬戸内国際芸術祭の今につながるまでには欠けている情報もある。『直島誕生』を読むと、「直島以後」も知りたくなる。

秋元氏がベネッセを去るきっかけとなったのは、直島を到達点として見ていた秋元氏と、直島の経験を近隣の讃岐水道の島々にも拡げていきたいと主張した福武会長との路線の違いであった(と秋元氏は語っている)。秋元氏はベネッセのアート振興部門の事務方の人だったから、会長が言ったことは白を黒とでも言わねばならず、かなり疲弊させられたということもあったのだろう。ベネッセアートサイト直島に至るまでの経緯を描いた文書では、野中郁次郎・廣瀬文乃・平田透『実践ソーシャル・イノベーション』にしても、福武總一郎・北川フラム『直島から瀬戸内国際芸術祭へ』にしても、秋元氏の功績については全く言及されていない。社員という位置付けだったからなのだろうが、福武氏の卓越したビジョンだけが述べられている。

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