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橋開通の後に考えるべきこと [ブータン]

日本の無償資金協力で建設が進められてきた東西ハイウェイのチュゾムサ、ニカチュ、ザラムチュの3橋が全て完成し、28日に最後のチュゾムサ橋が、在ニューデリー日本大使館の平松大使の手により、ブータン政府に引き渡された。翌29日のクエンセルはチュゾムサ橋にまつわる記事が多かった。

◇◇◇◇

チュゾムサ橋、通行可能に
Chuzomsa bridge opens to traffic
Kuensel、2018年6月29日、Phurpa Lhamo記者(ワンデュポダン)
http://www.kuenselonline.com/chuzomsa-bridge-opens-to-traffic/

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二国間をつなぐ橋
Bridging Japan – Bhutan relations
Kuensel、2018年6月29日、Kota Wakabayashi(JICAブータン事務所)
http://www.kuenselonline.com/bridging-japan-bhutan-relations/

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短期間で米の自給率は上げられるか? [ブータン]

ブータンの米自給率は47%
Bhutan is 47 percent self-sufficient in rice
Kuensel、2018年6月13日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-is-47-percent-self-sufficient-in-rice/

【ポイント】
フィリピンの国際稲作研究所(IRRI)の専門家がブータンを訪問。南アジア地域において高まる主食穀物需要を、バングラデシュ、ネパール、ブータン3カ国でどう満たしていくのかを話し合う会合がティンプーで開かれた。

この中で、ブータンについては、耕作可能面積の28%が稲作に充てられている割に、米の自給率がわずか47%しかないことが指摘された。米自給率が低い理由の1つは、生産基盤の弱さであり、森林面積が大きいことと、野生動物による作物被害が稲作を困難にしている。もう1つの理由は、稲作に対するインセンティブが少ないことで、湿地は他の目的に作付転換されたり、宅地化されたりして、稲の作付面積が減っていることが指摘される。

米はブータン人の1日あたりのエネルギー摂取量の53%を占める。現状の稲の作付面積は5万3055エーカーで、米生産高は8万5090トン。土地生産性は1エーカーあたり1.68トンの計算。

IRRIの専門家によると、南アジア地域では全世界の米生産の31%、小麦生産の18%を占める。地域の食料安全保障を考える上で、米は最も重要な作物だという。高まる世界の食料需要に応えるためには、2035年までに米の生産を35%増加させることが求められるが、南アジア地域では、2050年までに20~26.8億人と予想される域内人口の増加に見合うために、食料生産は倍増させることが必要になるという。

しかし、米生産の倍増には課題もある。多収量品種の導入や灌漑施設の整備、適切な水管理、土壌肥沃度の改善・管理、病害虫管理等である。

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『あの素晴らしい曲をもう一度』 [読書日記]

あの素晴しい曲をもう一度―フォークからJポップまで (新潮新書)

あの素晴しい曲をもう一度―フォークからJポップまで (新潮新書)

  • 作者: 富澤 一誠
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/01
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
誰もが口ずさむ名曲には、意外なドラマや秘話が詰まっている。最初は300枚しかプレスされなかった「帰って来たヨッパライ」、原題は「王手」だった「関白宣言」。軟弱者扱いされた井上陽水、奇異で異質な存在だったユーミン―。フォークからJポップまで、現場で見つめ続けてきた筆者が綴る五十年史。読むだけでメロディーが浮かぶ「名曲ガイド50」付き。

この週末は仕事上スタンバイを強いられる時間帯があったので、待ち時間にちょっと読もうと思い、手ごろな新書のキンドル版をダウンロードすることにした。6月はいろいろ忙しかったのでちょっとお休みしていたのですっかり指の皮が軟らかくなってしまったが、昔買ったフォークギターをこちらに持って来ていて、暇を見つけては練習にいそしんでいる。

練習しているのは1970年代フォーク。バンバンやNSP、風などのナンバーである。ありていに言ってしまえばFコードで挫折した中学時代のリベンジ。従って、1976年から80年代頭にかけて聴いていて、自分で弾けるようになりたいと思っていた曲を練習している。どこかで披露する予定があるわけではない。こんな時代の曲を知っている人は当地ではそんなに多くないだろうし。強いて言えば頭の体操。左手指を動かすことで、少しは脳の老化を食い止められたらいいと思う。自分がブータンを離れる日までに、ギターは誰かに売っていくつもり。

それで、自分が練習中の曲が生まれた時代と作品の背景を少し知っておこうと思い、本書を読んでみることにした。

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国際アーカイブズの日を祝う [ブータン]

国際アーカイブズの日を祝う
International archives day observed
Kuensel、2018年6月15日、Rinchen Zangmo記者
http://www.kuenselonline.com/international-archives-day-observed/

2018-6-15 Kuensel.jpg

【ポイント】
14日、国立図書館・アーカイブ館(NLAB)において、「国際アーカイブズの日」を祝う記念式典が開催された。「国際アーカイブズの日」は6月9日であるが、ブータンでは記念式典は14日まで延期にせざるを得なかった。またこの日は、国立図書館の設立50周年を祝う式典でもあった。

アーカイブ化の取組みの歴史は2007年に始まったばかりだが、アーカイブ館で蒐集した最古の資料として、1645年にシャブドゥンが発布した法令が収蔵されている。

式典に主賓として出席したダワ・ゲルツェン内務相は、この日、統合図書館管理システム「コーハ(Koha)」のローンチングも行った。コーハはそれまでの図書館管理システム「アレフ」に代わるもので、既に今年2月から運用がスタートしている。ゾンカ語フォントでの蔵書検索が可能だという。

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首都ゴミ問題への最近の取組み [ブータン]

市、効率的なゴミ収集を開始
Thromde begins efficient waste collection in Thimphu
Kuensel、2018年6月9日、Karma Cheki記者
http://www.kuenselonline.com/thromde-begins-efficient-waste-collection-in-thimphu/

【ポイント】
ティンプー市は、ゴミ収集車の運行スケジュールの信頼性向上、オフィス時間外でのゴミ回収、合同モニタリングを通じて、市中でのゴミ廃棄の削減に向けて動き出すことになった。

ゴミ収集車は、民間収集業者に18台あるが、スペアパーツが入手困難であることから、全ての車両がスケジュール通りに運行できる状態にない。スケジュール通りに回収に来ないことが市内でのゴミ廃棄につながっていると見た市は、市で所有する24台の収集車をバックアップに充て、民間業者の収集車に遅れが生じた時には市の収集車が出動できるようにするという。

また、市内オラカ、チャンザムト地区は、住民人口が多いため、朝9時前にゴミ収集を行うことが難しい。この2地区にモティタンを加えた3地区は、ゴミの不法投棄が特に目立つ地域であることから、日中のゴミ収集ではなく、住民がオフィスから帰宅する夕方以降にゴミ収集を行うよう、運行スケジュールを変更する。

また、市と民間収集業者は共同で、最低週1回、ゴミ投棄の実態を調査する。ゴミ問題に関する住民の声を聴き、また逆に住民に不法投棄の罰則規定の周知や、ゴミ分別の徹底について普及を図る。2012年の廃棄防止・廃棄物管理規則によれば、罰金は100ニュルタム(ポイ捨て、立ち小便、ドマを吐くことなど)から最高2万ニュルタム(禁止地域への不法投棄など)にまで及ぶ。

市はさらに、次期五カ年計画で、ドロップオフステーションの開設も予定。

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タグ:ティンプー
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『小さな企業が生き残る』 [仕事の小ネタ]

小さな企業が生き残る

小さな企業が生き残る

  • 作者: 金谷 勉
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2017/12/15
  • メディア: 単行本
内容紹介
5年で売り上げを12倍に増やした例も!
苦境に陥った中小企業を再生させてきたデザイン会社の社長が“生き残り”ノウハウを伝授する。
優れた技術を持ちながら、メーカーの海外移転や後継者不足などの影響で危機に瀕している中小企業は少なくない。今、オリジナル商品とそれを実現するデザインの力によって復活する中小企業が注目されている。仕掛けているのは、デザイン会社を経営する金谷勉氏。金谷氏が手がけた成功事例を通して、中小企業が生き残るための方法を解説する。

この週末、意識的に「抜く」努力をしていたので、読書に相当な時間をあてた。ブータンネタを期待されている読者の方には申し訳ありませんが、どうしても一回は「息抜き」した方がいいと思った。

何か気軽に読める本をキンドルでダウンロードしようと考えて、ふと出会ったのが本日ご紹介の1冊であった。版元が日経BPということは、少し前にご紹介した渡辺和博『地方発ヒットを生む逆算発想のものづくり』と同じ。従って、著者の論点もすごく似通っていて、「商品はつくって終わりではなく、きちんと売って、買い手に届いて初めて商品となる。いわば商品をデザインするということは単に設計して色や柄を決めるだけではない。それをどう見せて、どういう売り場でどう売ってもらうか。きちんと出口を見据え、企画から流通までを考えて動く、いわゆるコト(技術)・モノ(意匠)・ミチ(販路)の一連を「考動」(考えて動く)していくことがデザインである」というのも、渡辺和博著の論点「逆算で考えろ」というのを別の形で述べているように思える。

本書はアマゾンの読者書評でもなかなかの高評価を得ている。確かに、第1章「倒産・廃業のピンチから、生き残りの「手」を見つけた」に挙げられている4つの事例は、各々非常に示唆に富んでいて、読んでいて引き込まれた。著者の経営するデザイン会社が実際に手がけた中小企業再興のストーリーであり、このケースストーリーだけで紙面の半分を費やしているが、本書の価値もこの前半にあるように思った。そして、ブータンで小規模零細企業を見ている自分にとっても、得られるものが幾つかあった。

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『「完璧なリーダー」は、もういらない。』 [読書日記]

宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。

宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。

  • 作者: 長尾 彰
  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 単行本
出版社からのコメント
本書は、20年にわたり3000回のチームビルディングを支援・促進してきた著者が、「自身とチームで成果を出す」方法を紹介するリーダーの教科書です。
◎完璧なリーダーはいらないこと
◎率先垂範、完璧なリーダーを目指す代わりに、肩の力を抜いて、あなたらしいリーダー像で支援的・促進的に他者と関わること
◎等身大のあなたらしいリーダーシップを活かすことでチームを作ること
この3つを理解し、実行するだけで、誰もがリーダーになることができます。
「リーダーたるもの優秀なければならない」という呪縛に苦しんでいる人にもおすすめです。

この週末、久し振りにフルタイムのオフを取ることができた。疲れがたまってきていたので、ちょっと胸の苦しさを感じていた。土曜日は全く外出せず、一日中家にいた。で何やってたかというと、動画サイトで『宇宙兄弟』を見まくっていた。

動画サイトで見るのは初めて。実はこのテレビアニメ、2012年から2014年にかけて放映されていた頃、最初は朝の放送だったので朝見ていて、2013年1月から放送時間が土曜夕方に変更になった後は、それが道場での剣道稽古前だったため、自宅でスタンバイしていてかなりの部分は見ていた。最終回までは見た記憶がなく、Wikipediaで調べてみたところ、見るのをやめたのはどうやら僕がクソ忙しい部署に異動になった前後だというのがわかった。きっと余裕をなくしていたんだろうな。

今さらなんで『宇宙兄弟』かというと、この多忙な2週間の間に、僕は当地での知人から本書を薦められ、実際に今週になってキンドルで読んでみたというのがある。その方は当地でリーダーとしてのお仕事についておられる方で、急にリーダーと呼ばれるようになって、どうあるべきかを考え、リーダーシップについて書かれた本を幾つか読まれたようである。それで僕にも数冊薦めて下さったのだが、その中の1冊が本書だったという次第。いちばんとっつきやすそうだったから、最初に読んでみることにした。

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『地元経済を創りなおす』 [持続可能な開発]

地元経済を創りなおす――分析・診断・対策 (岩波新書)

地元経済を創りなおす――分析・診断・対策 (岩波新書)

  • 作者: 枝廣 淳子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/02/21
  • メディア: 新書
内容紹介
人口減少、駅前のシャッター通り、あきらめ、……。地元経済の悪循環を断ち切る方策はないのか。現状を可視化し、お金や雇用を外部に依存する割合を減らすための考え方やツール、好循環に転換した事例の数々を示す。次なる金融危機やエネルギー危機、気候変動危機に対する「しなやかに立ち直る力」(レジリエンス)をいま地元から。

来週、島根県海士町の方がブータンにいらっしゃるらしい。Facebookで友人になっている方の情報では、文部科学省の日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)から予算を取って、「「学校を核とした地域創生」の海外展開モデル事業〜ブータン学校魅力化プロジェクト〜」というのをご検討されているらしい。

海士町がブータンにご関心をお持ちであるというのはかなり前から知っていたので、ブータンで何をなさりたいのかを知るために、年明け以降、意識的に海士町に言及がある本を読み込んできた。今回ご紹介するのもそんな1冊。文科省のお金だから教育の色が付いているのは仕方ないと思うけれど、僕的には枝廣さんが本書で書かれている「漏れバケツ」という、地域からの漏れをいかに減らすかという考えの方がしっくり理解ができる。

ブータンの経済自体がまさに「漏れバケツ」状態だ。外国からの援助の受入や外国企業の誘致、観光の誘致などを行っても、国外の建設業者や建設作業員への支払いや、国外で生産されている部品の代金、国民が国外から購入する物やサービスの代金、さらには外国留学や出稼ぎ労働者として、資源が漏れていく。だから、本書で言われていることをそのままブータンに適用すれば、「いくらお金をブータンに「引っぱってくるか」「落とすか」ではなく、「ブータンからのお金の流出を減らす」こと、つまり、「いったんブータンに入ったお金を、どれだけブータン国内で循環し、滞留させるか」が大切」(p.22の記述を援用)ということになる。本書から学べることは、「いまのブータン経済の穴は大きすぎ、多すぎるのではないか、それを少しでもふさぐ努力をすることで、ブータン経済に残るお金が増え、ブータン経済の活性化やブータンの人々の幸せにつながるのではないか」(p.23の記述を援用)ということである。

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『地方発ヒットを生む逆算発想のものづくり』 [仕事の小ネタ]

地方発ヒットを生む 逆算発想のものづくり

地方発ヒットを生む 逆算発想のものづくり

  • 作者: 渡辺 和博
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2018/03/15
  • メディア: 単行本
内容紹介
ヒットを作って「稼ぐ地方」へ脱皮しよう
地方の活性化にはさまざまなアプローチがありますが、本書はものづくりから地域に儲かるビジネスを持続的に作ることを目的にしています。特に、この先も地域とともに生き、地方をなんとかしたいと活動しているすべての人に向けています。
東京では、地方発の良いモノへの期待が高まっています。実際にこの2~3年だけをみても地域産品を扱う専門店は大規模なものから小規模なものまで増えています。都市部の消費者は地域産品を求めています。
ところがそんな消費者の期待とは裏腹に、地方の作り手に落とし穴があります。消費者の求めるものを調べることも、対応することも自分たちの良さをきちんと伝えることもせず、十年一日のごとく昔ながらのやり方・考え方を変えない事業者にたくさん出会います。

開発途上国で貧困削減に取り組む国際協力の関係者によく見られるのが、特定農産品や特定手工芸品に特化した技術指導である。それらは必要ないとは言わないし、技術知識やスキルアップができ、より良い商品ができれば、売れる可能性は確かに広がるだろうと思う。しかし、意外と盲点となっているのは、それらをどこでどう売るか、誰が買ってくれるのかについての考察である。良いものを作れば売れるという発想が見え隠れする。

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農業機械の地場製作へ [ブータン]

地場製作の農機、農作業を容易に
Local machines make farming easier
Kuensel、2018年6月1日、Tshering Palden記者(パロ)
http://www.kuenselonline.com/local-machines-make-farming-easier/

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【ポイント】
パロの農業機械化センター(AMC)は、政府の第11次五カ年計画期間中に、ジャガイモ掘り機、ヘッジカッター(草刈機?)、カルダモン乾燥機を開発。3500人に対して人材育成研修を施し、さらに農業機械の評価基準の整備を行うことで、目標達成に貢献した。その裏には、日本人専門家による支援があった。

ジャガイモ掘り機(1台5000ニュルタム)は、耕耘機に取り付けて使用することで、パロの収穫時間の短縮に貢献。またカルダモン乾燥機(1台3万ニュルタム)は、カルダモンの品質にも関わる乾燥度合いの均質化の貢献し、既に南部各県で導入されている。

AMCは1983年設立。当初の設立目的は農民に機械サービスを提供することだったが、2016年にその機能は農業機械公社(FMCL)に分離移管され、AMCは現在、技術開発や技術標準化、農民研修実施等に特化。

5月31日に開かれた農業デーには、農業普及員や民間の農機販売会社関係者等、70人以上が参加。

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