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『あの素晴らしい曲をもう一度』 [読書日記]

あの素晴しい曲をもう一度―フォークからJポップまで (新潮新書)

あの素晴しい曲をもう一度―フォークからJポップまで (新潮新書)

  • 作者: 富澤 一誠
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/01
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
誰もが口ずさむ名曲には、意外なドラマや秘話が詰まっている。最初は300枚しかプレスされなかった「帰って来たヨッパライ」、原題は「王手」だった「関白宣言」。軟弱者扱いされた井上陽水、奇異で異質な存在だったユーミン―。フォークからJポップまで、現場で見つめ続けてきた筆者が綴る五十年史。読むだけでメロディーが浮かぶ「名曲ガイド50」付き。

この週末は仕事上スタンバイを強いられる時間帯があったので、待ち時間にちょっと読もうと思い、手ごろな新書のキンドル版をダウンロードすることにした。6月はいろいろ忙しかったのでちょっとお休みしていたのですっかり指の皮が軟らかくなってしまったが、昔買ったフォークギターをこちらに持って来ていて、暇を見つけては練習にいそしんでいる。

練習しているのは1970年代フォーク。バンバンやNSP、風などのナンバーである。ありていに言ってしまえばFコードで挫折した中学時代のリベンジ。従って、1976年から80年代頭にかけて聴いていて、自分で弾けるようになりたいと思っていた曲を練習している。どこかで披露する予定があるわけではない。こんな時代の曲を知っている人は当地ではそんなに多くないだろうし。強いて言えば頭の体操。左手指を動かすことで、少しは脳の老化を食い止められたらいいと思う。自分がブータンを離れる日までに、ギターは誰かに売っていくつもり。

それで、自分が練習中の曲が生まれた時代と作品の背景を少し知っておこうと思い、本書を読んでみることにした。

一般論で言えば、こういう昔を総ざらえしているような本は、その時代に音楽に夢中になった経験があるような、僕らの世代の読者にはありがたい1冊だとは言える。ただ、自分がどんな曲を好むのかによっては、既述に物足りなさを感じることはあるかもしれない。例えば、中学時代の僕はNSPのファンで、「赤い糸の伝説」「弥生つめたい風」「歌は世につれ」「北北東の風」等を聴いていたのだが、ヤマハのポプコン出身のNSPがメジャーになり始めた1976年から77年―――僕の中学1年から2年にかけての本書の記述はさらっとしており、「比較的おとなしい時代」で片付けられてしまっている。

ハイ・ファイ・セット、丸山圭子、イルカ、尾崎亜美、さだまさし、因幡晃等の名前は列挙されている。さだまさしの「雨やどり」には言及されている。でも、1977年7月に起きた井上陽水大麻事件にほとんどの紙面を持っていかれてしまい、気付けば1978年に台頭した世良公則&ツイスト、Char、渡辺真知子、中原理恵、八神純子、原田真二等に話が移ってしまっている。NSPには言及はあるが、「もうひとつビッグになりきれなかった」というので片付けられている。残念!

本のタイトルから、フォーク中心で描かれるのかと期待していたのだが、80年代、90年代の音楽シーンを割とフェアに扱っており、僕のように高校時代後半から関心が洋楽に移っていってしまった人間には、フェアに扱われているのがかえって淡泊に見えてしまったりもする。90年代前半はよくカラオケ行ってたなというのを思い出すところはあったし、90年代後半にはGLAYや華原朋美のベストCDを購入して駐在先の国に持って行って聴いていた時期は確かにあった。それでも僕が最も懐かしさを感じながら読んだのは1970年代の記述であり、できれば70年代だけを詳述した本でもあればもっと読んでみたいと思うようになった。


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