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キャッシュ・プライズに戸惑う [ブータン]

今週は「キャッシュ・プライズ(賞金)」という言葉を3回も耳にした。週に3回は極端かもしれないが、「金一封」がインセンティブとして付与されるのはこの国では当たり前のことである。外国人の僕らから見ると非常に違和感のある習慣である。

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【その1】最初に戸惑ったのは、5月に開催される建設業界セミナーでの発表に賞金が付くと聞いたこと。これはブータンの建設技術をエンジニアリング専攻の学生に知ってもらおうと建設開発公社(CDCL)が主催して開催するもので、日本でいえば、ちょっと例えがおかしいけど土木学会の全国大会のようなものだと思う。僕からすれば学会で発表して、それでブラッシュアップされた論考を論文の形で掲載できればそれで研究業績としてはカウントされるから、賞金なんてなくても書く人はいるということになるが、ここの国では自分の履歴書にそれが書けるかどうかではなく、1位を獲ったのか、2位だったのか、3位だったのかが問題となるらしい。研究業績に順位を付けるという発想がよくわからない。

僕もこのセミナーでの発表枠にレジスターしたところである。しかも、事前提出論文は日本のコンサルタントの方との共同執筆という形式をとった。共同執筆者にとっては、ご本人が英語がおできにならない部分を僕が補って英語の文献を作れるというメリットがあり、僕には言うまでもなく、履歴書の研究目録に書ける項目を増やせるというメリットがある。当日の発表は、共同執筆者不在の中、僕がやることになるが、僕自身が不慣れなテーマであるので、専門的なことを訊かれてどこまで応答できるかはわからない。賞金なんてどうでもよくて、参加して存在感を示すことに意義があると思っている。

でも、主催者からすると、この国で、アカデミックな訓練を受けて、民間の建設会社で働いているようなエンジニアはそれほど多くないので、キャッシュ・プライズでもインセンティブに付けないと、2日間のセミナーに必要なだけのペーパーが集まらないという事態を招くのは容易に想像できてしまう。それがキャッシュ・プライズの理由だとしたら、まあ理解できないわけではない。

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【その2】次に耳にしたのは、新聞でも報じられている、「ブータン企業家大賞2016」の授賞式の会場。これは4月25日の世界知的財産の日の記念式典に併せて、経済省中小零細企業局が発表したものだ。

イノベーションと創造性を促すために
Promoting innovation and creativity
Kuensel、2017年4月26日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/promoting-innovation-and-creativity/

 女性企業家賞:Yoezer Lhamo(ブムタンで1991年から乳製品加工業を営む)
 BDBL農村企業家賞:Lhundup(チュメでお香の製造を営む)
 零細企業家賞:Lama Dorji(ティンプーのラマ・ベーカリーのオーナー)
 中小企業家賞:Norbu Tenzin(ティンプーで伝統的手すき製紙業を経営)

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