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ブータン第二の人工衛星 [ブータン]

ブータン第二人工衛星、年末までに打上げへ
Bhutan’s second satellite will be in space by the end of this year
Phub Gyem記者、BBS、2021年8月5日(木)、
http://www.bbs.bt/news/?p=155069
2nd-satellite.jpg
【抄訳】
ブータン初の人工衛星の寿命は昨年11月に切れた。しかし、ブータンの宇宙工学エンジニアのチームは、我が国の夢を依然抱き続けている。今年年末までに、ブータンは人工衛星を宇宙に打ち上げる。開発チームでは我が国初人工衛星の第二号を開発中である。これはインドとの共同プロジェクトで、エンジニアは、インド・バンガロールにあるインド宇宙研究機関(ISRO)と協力しています。現在、チームは国内で衛星のコンポーネントの1つを開発中である。

4人のエンジニアからなる開発チームは、現在、その最初の試作品の製作に取り組んでいる。情報技術通信局の宇宙エンジニア、キラン・クマール・プラダンさんによると、30㎤の衛星の重量は約15kgだという。これは、2018年6月に打ち上げられた国内初の衛星BHUTAN-1よりも大きい。BHUTAN-1は、重量1kgで10㎤の立方体小型衛星(CubeSat)だった。

それは地上から約500km上空の宇宙に発射される。同氏によると、CubeSatは24時間で地球を15周する。少なくとも1日に2〜3回ブータン上空を移動する。衛星は地球の表面の画像を撮影し、毎日地球を周回する無線通信を可能にする。「現在、RUBの5つの大学が携帯ラジオを持っています。ですから、私たちの衛星が軌道に乗れば、彼らに私たちの衛星との通信相互接続を試みてもらいます。 CSTは大学の1つであり、シェラブツェにもそのような携帯無線機があります。衛星がない場合、相互に通信することはできません。衛星がブータン上空を飛行しているとき、彼らは約10分間互いに通信する機会を得ます。」

ISROは、リモートセンシングのために地球の画像を撮影するカメラを備えた衛星の主要コンポーネントを開発中。キラン氏によると、「主要な搭載実験観測機器は光学カメラです。衛星がブータン各地の上空を移動しながら撮影していき、私たちはその画像をダウンロードします。農業、林業、土地利用マッピングなど、さまざまな分野で活用できるようになるでしょう。現在、これらの画像をどのように活用するかについて、当局と話し合っています」と述べた。

第二試作機が完成した後、チームは9月末または10月初旬にISROに戻り、最終的な打上げのために衛星を組立てテストを開始する。
(後半へ続く)
「今後は、環境試験も行う必要があります。これにより、開発した搭載機器がロケット発射環境と宇宙環境に耐えられるかどうか試験します。これら2つの環境は非常に過酷で、電子部品は通常、そのような環境で機能を維持することは困難です。そのため、搭載機器を一連の試験にかけたいのですが、残念ながら、これらの試験を行うのに必要な施設は、現時点ではブータンでは利用できません」とキラン氏は付け加えた。

すべての超小型衛星の場合と同様、我が国2番目の衛星の寿命も約6か月から1年になると予想されている。BHUTAN-1の場合、CubeSatは設計寿命を超え、2年以上地球を周回した。

開発チームでは、2つの衛星プロジェクトから教訓を得て、2、3年で完全に国内で小型衛星を開発できるとみている。彼らは、そのために国はより多くの宇宙技術者を必要としていると言います。キラン氏と彼のチームは、若い心が科学と宇宙技術に情熱を注ぎ続けるなら、チャンスは広大で無限だと信じている。

2年ぶりにブータンに来てみると、前回自分がいた頃に見聞したお話がその後どうなったのか、うやむやになっているケースと、工程通り進んでいると思われるケースと、どちらも目にする。割合としては前者の方が多くて、何かの研修をやって華々しいグループ写真がメディアを飾ったのに、何年か後にも同じような研修が行われていてニュースになっていたり、できるだろうと思っていた人類学博士課程の話がどこかに行ってしまっていたりする。

それらと比較すると、数は少ないけれど、超小型人工衛星の開発のように、比較的報道通りに物事が進んでいると感じさせられるものもある。あくまで感覚的なものでエビデンスがあるわけでもないが、後者のケースは、対外的に工程管理上の説明責任が求められるような場合が多いと感じる。外国の大学や研究機関と何らかの取極めがなされているか、あるいはそもそもの工程管理自体を、外国の機関が行っているのではないかと思われる。

ともあれ、超小型人工衛星の開発プロジェクトは、3年ぶりに目にしたメディアの報道でも、ほぼ報道内容通りに事は進んでいると感じさせるものであった。

僕が最初に取り上げたのは「ブータン初の人工衛星」(2016年10月)で、この時は日本の九州工業大学のBIRDS-2プロジェクトに参加する3人のブータン人若手エンジニアを、留学出発前にフィーチャーした記事だった。僕のブログでは紹介していないけれど、その後九州工大にはもう1人ブータン人エンジニアが翌年留学に出発している。そして続くブログ記事は「ブータン初の人工衛星(その後)」(2018年2月)で、上記報道でも言及あったブータン初の人工衛星「BHUTAN-1」の打上げ準備について取り上げた。そして、そのBHUTAN-1は、同年6月にこれも計画通りに打ち上げられている。

これら一連の過去記事で唯一ブラックボックスだったのは、最初の記事で言及されていた「(留学生は帰国後)情報通信省傘下に設立予定の宇宙開発センターに籍を置く」という部分と、「地上ステーションの設置」の部分だった。2018年頃、留学から戻って来たエンジニアが、帰国後どこに籍を置いて仕事するのか、帰国後も継続して研究開発に当たれるラボは本当に作られるのか、僕は気になって調べてみたことがある。その時点での情報としては、「研究開発センターを情報通信省内に置くというような動きは、現時点ではない」ということだった。

しかし、2年ぶりにブータンに来てみて、上記BBSの報道でも紹介されていたキラン君と、先々週とある集まりでたまたま再会する機会があった。それで、今どこで仕事しているのかと訊いてみたところ、今情報通信省内に小さなラボがあり、そこに在籍して、今も人工衛星研究開発と関わっているとのことだった。

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