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『ファブラボのすべて』 [仕事の小ネタ]

ファブラボのすべて イノベーションが生まれる場所

ファブラボのすべて イノベーションが生まれる場所

  • 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2020/02/18
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
デジタル工作機械を用いて地域でのものづくりを促進させてきた工房、Fab Lab(ファブラボ)。その誕生から約20年の歩みをまとめた決定版。ソーシャル・イノベーションや“ファブシティ”構想など、次の一歩へ進むための土台となる一冊。どうやってラボをつくる?どんなプロジェクトができる?持続可能なラボにするには?ラボ同士のネットワークをどう築く?世界中に広がるファブラボの取り組みの中から、17カ国・27のプロジェクトを紹介。

この本のことは1月頃から出ることが話題になっていた。ただ、自分で購入するには4,950円という価格に抵抗があった。多分、個人で購入するよりも、ファブラボやメイカースペースに1冊とか、大学のゼミで1冊とか、組織の予算を使って公共財的な目的で購入するのが想定されているのだろう。図鑑的な装丁だし。よって、僕も会社の図書室に購入をお願いし、入庫と同時に借りて読ませていただいた。

いろいろな意味で春を迎えるには最高の1冊であった。これから取り組もうとしている仕事のとっかかりとして、先ず読んでおくべき1冊である。その邦訳版がこのタイミングで出てきて、さらにこのタイミングで手元に届いたというのは、なんと幸運なことだろう。

邦訳版には日本人のゲスト3人と監訳者である田中浩也さんによる寄稿が加えられている。この話は後ほどするとして、原書であるMassimo Manichnelli編『Fab Lab: Revolution Field Manual』からの翻訳部分だけを読んでも、ファブラボについて僕らが知りたかったことはたいていが網羅されている。例えば、第2章では利用可能なテクノロジー、ツール、素材など、ファブラボにあるものが列挙されているが、これらがすべて揃ってないとファブラボではないのかというとそうではない。レーザー加工機や3Dプリンタだけで始まるようなラボもあるらしいし、今でも大型CNCウッドルーターが必ず配置されているというわけでもないというのが想像できる(逆に大型CNCが主力のファブラボもあるかもだが)。

ファブラボを施設として捉えるだけでは十分ではないのだなというのも、読みながら思ったところである。解決に取り組みたい課題やテーマに対して、どのようなモノを作りたいか、そのためにはどのような素材を用いて、どのマシンをどう組み合わせて使っていくのがいいのか―――そういうのを考えるのは結局人なので、アイデアを出してそれを形にしていくプロトタイピングの経験を何度も積めるような人材育成が重要なのだと、ある方から言われたアドバイスがようやく腑に落ちた気がした。

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