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変わらない公共図書館 [ブータン]

ティンプー唯一の公共図書館には要注目
Thimphu’s only public library needs attention
Chhimi Dema記者、KuenselS、2023年1月19日(水)
https://kuenselonline.com/thimphus-only-public-library-needs-attention/
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【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】
 ティンプーで唯一の公立図書館は、チュバチュにある伝統的な平屋建ての建物の中で、残念な状態で残っている。1989年に設立されたジグミ・ドルジ・ワンチュク公立図書館(JDWPL)は、開館以来ほとんど変化がない。
 本棚には、図書館を訪れ、読むことに喜びを見出した多くの読者が、ページを丸めてしまった本が所狭しと並んでいる。イーニッド・ブライトンの「フェイマス・ファイブ」シリーズや、JKローリングの「ハリー・ポッター」シリーズの次回作を借りようと、楽しみに待つ若い来館者の姿が絶えない場所だ。図書館に新刊はない。2015年以前の本しかない。2015年以降に出版された本は、チュバチュにある公立図書館の分館である王立ブータン大学に所蔵している。
 図書館の会員によると、図書館は発展させる必要性があるという。「このスペースで、いろいろなことができるはず。配置を変えたり、コーヒーショップを作ったり、魅力的な場所にすることができるハズなのです。このような場所を復活させることは重要です」。しかし、この会員は、図書館は多くの点で若い頃と変わっていないと述べる。「20年前に来たときと何も変わっていない。」
 記録によると、図書館には若い読者と年配の読者のために7万冊の蔵書がある。約4,000人が会員だが、活動しているのは約2,000人だけだ。図書館の運営は司書2名と契約スタッフのみだ。
 前述の会員によると、「図書館を支援したいと思っても、どうしたらいいかわからない人たち(旧会員や親)がいる」という。
 図書館が街で閉店していく書店の代わりとして機能しているという人もいる。
 また、「図書館が寂しいものになった」と言う会員もいる。「私たちが小さかった頃は、本がたくさんあって、とても大きく感じたものです。今は、同じような本ばかりで、気が滅入ります。」
 市役所の職員は、JDWPLの発展は、スペースと予算の確保によると述べる。スペースも予算も確保できないから、変化が起きないのだと指摘する。この関係者によると、今後の技術進歩に伴い、既存の図書館にICT設備を補完する必要があるとのこと。「市は、図書館を改善する方法を模索し続けている」とのこと。
 図書館の会員であるダムチョさんは、学生時代、この場所は自分にとって天国だったと述懐してくれた。「2週間おきに図書館に行くのが楽しみでした。図書館に愛着を感じています。ここは、子供たちに多くの体験機会を提供することができるのです。本棚の整理、古本の販売、読み聞かせのイベントの企画、作家を招いてのブックトークなど、ボランティアを募ってはどうだろうか?」
 「図書館は、変化と新しい顔を求めています。これからの10年で、図書館に変化が訪れることを期待しています」———ダムチョさんはこう語った。

既視感満載の記事。調べてみたら、同じような記事をクエンセルはちょうど5年前にも扱っていて、僕はそれを引用して「公共図書館の惨状」という記事をブログでも書いている。当時の記事では市がこの場所に5階建ての新たな建物を建設する計画があるとも書かれていた気がするが、そんなものは現時点でも作られる様子はないし、今回の記事でも触れられていない。

こういうメディアに出てきて当事者がインタビューで述べていることには何割かの希望的観測が含まれている。真に受けてこちらがそれに合わせた対応を取ると、後になってハシゴを外される事態に度々陥る。

そう、今回の記事にもある通り、ノルジンラムにあるJDWPL本館は、僕が知る7年の間、ほとんど変わっていない。動画を見る限りでも、2016年夏に初めて訪れた時から、変化らしい変化もない。

変化があったとすれば、むしろ王立ブータン大学(RUB)本部のiGNHaSビルの2階にある別館の様子だろう。僕は昨年4月までこのiGNHaSビルの1階にプロジェクト事務所を間借りして、1人で仕事していたので、別館の利用状況は時々チラ見していた。RUB本部が土日閉鎖で、図書館別館は利用できない。でも、平日の15時を過ぎれば、親の運転する車で、本の借出しや返却に来る子どもはそこそこいた。

RUB本部は常勤の研究員を抱えているわけではないので、RUB本来の目的に基づく蔵書の拡充はあまり行われていないと思う。利用者のほとんどがJDWPLの新刊の借出し狙いだろう。それならいっそのことノルジンラムの本館の蔵書もRUB本部の方に移して、ノルジンラムの方は思い切って集会所にするとか、むしろ新しい本の方を別館から本館に移すとか、僕がプランナーならそうする。

先日ご紹介した冬期ユースエンゲージメント・プログラム(WYEP)を実施していたユースセンターにも図書館機能があって、ユースセンターとJDWPLの役割はかなりの部分でダブっている。JDWPLも彼らなりのユースエンゲージメント・プログラムを冬休みや夏休みに実施している筈だし、図書館会員にはボランティアもいる。ユースセンターほど大規模にはできなくても、本にちょっと絡めたイベントならできないこともなさそうだ。

4月にはここのご近所にファブラボもできることだし、レーザー加工機で栞を作るとか、やれたら面白いんじゃないですかね。機械を常設するわけにはいかないから、あくまで下準備をファブラボでやって仕上げは図書館でやるとか、3Dプリンターを1台だけ臨時で図書館に持ち込むとか、まあそんな活動です。

とはいえ、これはティンプーの公共図書館のお話であって、「自分ならこうする」というのは、あくまでも仮定の話に過ぎない。僕の肩幅でも検討可能な範囲は、プンツォリンでユースセンターやピープルズプロジェクトと一緒に、そういうケースを見せるというところまでだ。
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