『ITおじさん』 [読書日記]
内容紹介【Kindle Unlimited】
AI、bot、ブロックチェーン、リモートワーク、DX、多重請負、……。耳にはするけどよくわからないバズワード、わからないままでも押し通すにはコツがいる!IT企業のお仕事あるある満載!珠玉のショートショート・ギャグ・シリーズ!
今、ブータンも首都がロックダウンという状況だし、目の前にKindle Unlimitedでこんなコミックをチラつかせられたら、そりゃあダウンロードしちゃうわな~(苦笑)。しかも1、2巻同時アップ。勢いで2冊ともダウンロードして、夜の読書のお供に、あっという間に読んじゃいました。
率直に言うと、この、陰影を相当用いた劇画調の描き方は苦手だ。著者の作品としては、2年前に『乙女文藝ハッカソン』を読んでご紹介したことがある。主要登場人物が女子大生ばかりだったこともあってか、僕の記憶の中ではそれほど劇画調だったという記憶がなく、『ITおじさん』を読んで同じ著者とは思えないほどの違和感を最初は感じた。でも、念のためもう一度『乙女文藝ハッカソン』を読み直してみたところ、意外と劇画調だったのだと改めて確認する結果となった。
それで、もう1つ確認したことがある。『乙女文藝ハッカソン』に出てきた主人公の寮の同僚にミステリー好きの女子大生「別田さん」が出てくるが、『ITおじさん』第1巻序盤で一応の主人公とおぼしき宇佐美さんが採用した、大学文学部出身の「別田さん」と同一キャラなのではないかと思われる。
そんなことはともかく、作品の中身の話にも入りたいが、著者がnoteに載せているプロフィールによると、製造業企業のSEをやっていた経験があるそうだから、その経験に基づいた「業界あるある」が、面白おかしく描かれている。僕にはわからない世界だが、活字媒体で断片的にかじったDXの現場で、翻弄されるSEってこんな感じなんだろうなと想像はつく。極端なデフォルメに多少の拒否反応を覚えつつ読み進めると、それなりには笑える風刺が織り交ぜられている。DXの難しそうな本を読むよりも、本質をつかむにはわかりやすいかもしれない。
こういうのが、うちの子どもたちがこれから飛び込んでいく世界なんだな―――。
今さら僕が再勉強したからといって飛び込んでいける世界ではない。子どもたちが避けては通れない世界なんだろうと思う。で、そういう大変な世界だということを、少しは理解してやっていたい。
要件定義書がしっかり存在する、クライアント側が思い付きでどんどん機能を付加しようとしたりしない、そしてクライアントも技術にもっと精通している―――そんな環境になっていって欲しいものだ。
本書には、コロナ時代の働き方が垣間見えるシーンもいくつか出てくる。リモートワークやZoom会議、コワーキングスペースなどだ。今や毎日がリモートワーク&在宅勤務状態なわけだが、本書で出てきたZoom会議の使い方も含め、オンラインツールのもっと賢い使い方を自分自身も模索していかなければなと思う。Zoom会議でホストを任されたり、発表者に代わってスライドめくりをやらされたりと、主宰している方や発表者にそれくらい自分でやってくれよと言いたくなることもある自分だが、自分自身のリテラシーもまだまだである。もっと磨いていかないと、若い人たちにはついていけなくなってしまう。
タグ:山田しいた
コメント 0