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オンラインセミナーで得られるもの [仕事の小ネタ]

首都ロックダウン入りから2週間、特に、自分の仕事が佳境を迎えた1週目をやり過ごした後、文書作成と時々のオンライン会議以外にやることがなくなった僕は、いつもよりも多めにオンラインセミナー(ウェビナー)を覗いてみるようにし始めた。

手始めに覗いてみたのは、僕の宿泊しているホテルのオーナーが発表者をされた、米国ハーバード大学ケネディスクールの南アジア同窓会でのご発表だった。週末だったし、仕事がひと山越えてちょっとグダグダしようと思っていたが、ロックダウンの期間中1日三食食事をご一緒しているので、食卓の話題に出るかもしれないと思って急遽聴講することにした。先週末のことだ。

ケネディスクールの南アジア同窓会といったら、大半がインド人なので、発表の後の質疑応答も極めて活発で、90分の枠のうち、発表は30分以内。残りの60分は意見交換に費やされた。僕自身はケネディスクールの卒業生でもないので、質疑応答に割り込むことは遠慮して、もっぱら発表内容と議論の内容のキャッチアップに努めた。実際、①コロナ禍での各国の幸福度指数は低下していないという研究結果が出てきている話(みんなが影響を受けたので比較して自分だけ不幸とか思うこともないという解釈か)、②所得水準が上がっても幸福度は変わらないという「イースタリンの逆説」の最新の研究成果が2020年に出ている話等、僕も知らなかった最近の研究からの引用が多くて、勉強になった。

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今週に入ってからもいくつかのウェビナーに出た。日本で主催された日本語でのウェビナーはひとまず置いておくとして、今週第4回が行われた、学校教員向けのTinkercad導入研修"Teaching with Tinkercad"の第2シーズンも、毎回新たな発見があって、米国との時差の関係もあって当地では早朝の聴講になってしまうが、出て損はないウェビナーだと思う。

Tinkercadは日本語で書かれた教本がそれほどなくて、僕はほとんど、Tinkercadに付属しているラーニングツールとYouTubeに沢山上がっている英語のチュートリアルだけを参考にして、去年1月以降その利用法を独習してきた。"Teaching with Tinkercad"も、第2シーズンの1回目はTinkercadのクラスルーム機能で、僕はウェビナーを受講する前から自分で利用していたものだが、その後はTinkercadからFusion 360への連携とか、3Dデザイン作成機能の他にTinkercadに備わっている「Code Block」という機能の使い方とか、毎回新たな学びがある。


第4回となった今回は、課題解決型学習(PBL)でのTinkercadの活用という話で、取り上げられたケースは、SDGsも組み合わせた問題探求(米国の小中学校でSDGsが取り上げられていること自体もちょっとした驚きだった)や、3Dデザインと電子回路(Circuit)、Code BlockというTinkercadの3機能をすべて動員して、10~12歳ぐらいの子どもたちにソリューションを考えさせる事例だった。

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このウェビナーを受講している間、寝ぼけながらも、当面の自分自身の当地での活動について、閃くものもあった。この日のウェビナーと直接関連することではないが、今忙殺されている文書作成作業がヤマを越える2月には、それを試行的に実践してみようかと思っている。

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でも、そういう学びの多いウェビナーばかりでないのも事実だ。もっと最近聴講した2時間のウェビナーは、途中でつまらなくなって90分で退室してしまった。ブータンを訪れたこともない数名のパネリストの、「ブータンはユニークで憧れの国」的な発言が序盤に続き、スライドなどの共有もなく、仲間うちの「飲み会」トークを延々と聴かされた感じ。緊張感がなく、そんなのは内輪でやれと途中からイライラしてきた。

モデレーターの問いかけに対してチャットボックスに質問がまったく入らないというのも、いかにブータン人が発言をなかなかしない人たちだとわかっていても、かなり異例だ。「桜」で聴講していた僕も、さすがにいたたまれなくなって何か発言しようかと思ったりもしたが、僕はこのビジネスセミナーのターゲット視聴者とはいえないので、やめておいた。

いろいろ教訓のあるウェビナーだった。

1つめは、URLを公開にして、さらに事前登録制を取らないと、「荒らし」の格好の餌食になるということ。ウェビナーが「荒らし」に遭遇するケースを、初めて見た気がする。ああ、「荒らし」はこういうことをしてウェビナーを妨害するというのがわかったのが今回の収穫だった。

2つめは、画面遷移や画面共有といった刺激もない状態で、延々と1時間以上のトークが続くのは集中力が続かないということ。特に、僕は英語のネイティブじゃないので、視覚的な刺激もない英語のトークを30分以上展開されると、絶対に眠くなる。

3つめは、インタラクティブではない情報の一方通行となるウェビナーは、そもそも60分程度に留めておくべきだということ。これはケネディスクールOBである僕の滞在ホテルのオーナーがしみじみ仰っていたが、Zoomの無料アカウントが40分までというのには意味があって、このタイミングでいったん休憩を入れた方がいいとのこと。前述の発表も30分で切っていたし、30~40分あたりで、人の集中力が切れるポイントがあるのだろう。

そして4つめは、ブータン人をしゃべらせる工夫だ。放っておくと本当にしゃべらない。チャットボックスに質問を残せと何度リマインドしても、誰もピッチしない。何を思って聴いているのかわからないことがある。だから、不特定多数の視聴者に向かって、「何か質問ありませんか」とリマインドするだけでは、空振りに終わることが多い。

とはいえ、指名すればそれなりのいい発言はしてくれる。要はモデレーターの腕の見せ所なのだ。それでも不特定多数に向かって質問を呼びかけないといけないのであれば、少なくとも「桜」は予め数名用意しておくような工夫も必要かもしれない。「桜」とは言わなくても、不特定多数の一般視聴者とは別に、コアな視聴者を確保しておいて、その人たちには何かしら質問や発言をせねばという一種の責任感を予め背負わせておくことだろう。

対面のセミナーで偉い人がマイクを持ったりしたら、下々の人は絶対にしゃべらない。オンラインであれば、チャットボックスを使って質問や発言ができるから、偉い人のマイクパフォーマンスは少し制御できるだろう。主催者側で「こいつにはポイントを突いた発言をさせよう」と、予め振り付けておく仕掛けは、検討が必要だろう。

いずれにしても、ブータン人視聴者が前のめりで視聴するような仕掛けは、考えても考えすぎることはない。別にブータン人に限らず、コロナ時代になってから数々のウェビナーに出ているうちに、僕らは目が肥えてきている。つまらなければ退室やチャットボックスへのノーレスで無言の批判を示すし、面白ければチャットボックスどころか、挙手して発言機会を求めることだってあるかもしれない。要すればモデレータ―の力量、というかそもそもの主催者のウェビナー運営能力の見せどころである。

スポンサーにだって、責任がないとは言えない。スポンサーなんだから、企画の成功にはそれなりのコミットをして、モデレーターを事前に振り付けて実のあるウェビナーに仕上げてくれたら嬉しい。モデレータ―に全部任せるようなやり方は、絶対避けた方がいい。

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