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『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』 [読書日記]

カカ・ムラド~ナカムラのおじさん

カカ・ムラド~ナカムラのおじさん

  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2020/12/02
  • メディア: 単行本
内容紹介
2019 年12 月4日、中村哲医師は支援先のアフガニスタンで、銃で撃たれて亡くなりました。この本は、中村さんに助けてもらったことを後世に語り継ぐために、アフガニスタンで出版された2冊の絵本、『カカ・ムラド ~ナカムラのおじさん』と『カカ・ムラドと魔法の小箱』に解説を加えてまとめたものです。『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』は、中村さんがアフガニスタンで行ってきたこと、事実をもとに描かれた創作です。『カカ・ムラドと魔法の小箱』は、作者のイメージする中村さんが登場するファンタジーです。診療所を建てて病気を治したり、日照りが続いて乾いてしまった土地に水をひいて緑に変えたり――。中村哲さんの志を受け取ったアフガニスタンの人々の思い、またアフガニスタンに寄せられた日本からの思い、2つの思いがひとつの形になった1冊です。

中村先生が銃撃に遭った―――1年前の12月4日の一報は、どこでどのように聞いたか、僕はよく覚えている。9.11(2001年)、3.11(2011年)と僕らの記憶に深く刻まれた日はあるが、国際協力に携わる多くの人々にとって、12.4(2019年)もかなりの衝撃を覚え、記憶に刻まれる1日となった。

あれから1年。このタイミングに合わせるように、1冊の絵本が世に出た。中村先生のアフガニスタンの人々に知ってもらおうと、元々が現地のダーリ語で、アフガン人の作家によって描かれた2冊の絵本だったが、今回それが合冊になり、邦訳付きで日本で出版された。中村先生のご功績をアフガン人に知ってもらおうと描かれた作品である。一般のアフガン人に本を読む習慣があるのかないのかは定かではないが、アフガン人目線で、アフガン人に理解してもらえるような作品にはなっていると思う。

アフガニスタンに暮らす人々の健康や安全を、これほど考えてくれていた外国人がいたということを、そして、アフガニスタンという国にとって、どれだけ大切な人を、自分たちは失ってしまったのかということを、蛮行に手を染めてしまった人々も含め、かの国の人々には覚えていてもらいたいものだ。

そして、小学生でも読めるこの絵本を手に取り、「一隅を照らす」中村先生の生き方を継いでいってくれる若い人々が、日本からも出てきて欲しいとオジサンは期待したい。

いや、他人事のように言ってちゃいけないね。本書を読むと、この乾燥地に水路を引っ張ってくるための土木工事の進め方について、中村先生が勉強を始められたのは、先生が56歳の時だったのだそうだ。オレ、その時の先生とほとんど同い年ではないか。

最近のオジサンはリタイヤモードに入りつつあり、いかに後輩たちに活躍してもらうかばかりを考えている。言い方は美しいが、要すれば後輩たちへの仕事の丸投げだ。しかし、本書を読んでいたら、僕もまだ老け込む歳であってはならないのだと喝を入れられたような気がした。

中村先生のようにはなれないかもしれないが、僕は僕なりに、自分ができることをやって、一隅を照らすことに取り組んでいきたいと思った。

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