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『在野研究ビギナーズ』 [仕事の小ネタ]

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2019/09/06
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
「大学に属してませんけど、なにか?」在野の研究者に資格はいらない。卒業後も退職後も、いつだって学問はできる!最強の学者くずれたちによる現役のノウハウが、ここに結集。

重苦しい雰囲気の中、新しい月を迎えましたね。

新型コロナウィルスのお陰で、行動に制限も出てきたし、思いもよらなかった行列に並ばされたり、日常生活に歪みが生じてきた。もっと言えば、この1年間、我慢に我慢を重ね、ひたすら待ち続けた次の展望も、ようやくその一歩が3月から始まると思っていたら、4月からの本格稼働にも制約がかかってきた気がする。多分、新型コロナの影響は勿論あるが、もう1つは、職場で我慢に我慢を重ね、自分の心と体に負担をかけてきたツケが、ここに来て噴出してきたような気がする。僕も定年後の生活設計を考えなきゃいけない立場だから、ここで会社に潰されて放り出されるような事態は絶対に避ける必要がある。

ここ5年ほど、次の展開を考えていろいろな可能性を探ったことがあるが、1つだけはっきりしたことがある。それは、自力で大学の教員ポストを取りに行くには年齢的にかなり難しくなってきたことである。自分が応募できそうなポストは応募してきたが、ことごとく一次審査で落ちてきた。最大のダメージだったのは、自分が既に非常勤で教えている母校の常勤のポストに、一次審査で落とされたことである。そんなことは教員の世界ではよくあることだと、選考委員長だった知り合いの教授に言われたが、その直後に次年度の非常勤のオファーが来た時にはあんぐりで、蹴ろうかとかなり迷った。

僕の場合は、博士号を取っていないのが一次審査をクリアするのに大きなハードルになっていると思う。今、猛烈に書きたいテーマがあり、博論を書かせてくれる大学を探してもみたが、先述の母校は修士の時の指導教官が既に退官されており、今は論文指導できる教員が不在ということでやんわり断られた。他の大学の可能性も考えたが、4月以降の自分の進路からすると国内の大学院ではちょっと不便かもと思ったので、結局博士課程挑戦は見送ることにした。

一方で、今できることとして、昨秋には学会発表を1つやったし、先月要約を送付しておいた6月の国際学会での共同発表も、採用との回答が届いた。3月末までにはペーパーを書く。それがこれから1カ月の大きな仕事だ。職場の本来業務とは全く無関係だけど。そして、新型コロナウィルスのお陰で日本からの渡航に制限をかけられたら、学会自体に出られない。ペーパーは自分で書いても、発表は共同発表者に任せざるを得ないだろうな。

そこで本題―――。

実は自分自身も、このところの学会発表の際、自分の所属先を書く時に毎回一瞬の躊躇を感じていた。確かに所属先はあるものの、その職場では研究らしいことはやらせてもらってない。学会発表のテーマは、むしろ前任地でやってきたことに関するもので、今の職場は僕が前任地でやっていたことにはほとんど関心がないらしい。だから、今の所属先と肩書きを対外的に使うのはあまり意味のないことだと思う。いや、意味がないどころか、はっきり言って使いたくもない。

いわば、僕自身も、大学や研究機関に属さない、「在野研究者」のはしくれだと思っている。研究機関に属していても、やっている仕事が研究プロジェクトだとは限らないし、そこのインフラや研究者ネットワークへのアクセスにも制限がかかっている。何よりも、自分が取り組みたいテーマに予算も時間も付けてもらえないから、もっぱら自分で取組みを前進させるしかないのである。

だから、本書を読んでみて、僕よりもはるかに厳しい立場にありながら、その逆境をはねのけて研究成果の発信に努めておられる在野研究者の体験談やその取られた工夫は、取り組むテーマは違えど非常に参考になるし、勇気付けられる。ほとんどの執筆者が僕よりもはるかに若い方々で、ITを駆使してデータ収集や他の研究者との交流、成果の発信に努めておられる姿は、僕にもまだまだやるべきことがあるよなと強く痛感させられた。勿論、彼らの多くと異なり、僕は既に50代後半なので、これから出せる知にも限界はあるかもしれないが。

余談ながら、この本、結構人気らしく、近所の市立図書館で2カ月以上待ってようやく借りることができた。順番待ちがあると貸出期間の延長ができず、2週間で返却せねばならない。僕の場合はその期限が3月5日だったので、借りて数日で読み切った。すぐにでも返却しようと思っていたら、このコロナウィルス感染の影響で、図書館が3月17日まで休館になってしまい、その間新規貸出も返却受付も行われないことがアナウンスされた。

お陰で、もうしばらく本書は返却を免れることになった。次の順番待ちだった方、ゴメンナサイ。でも、恨むならコロナウィルスを恨んで下さいね。)しばらくは返却も出来ずに手元に置いておく必要があり、それなら、「大学院に進みたい」とほざきながら世の中のことにあまり関心を向けずに動画サイトばっかり見ている愚息に、今後の進路を考えさせるために読めと勧めてみようかとも思っている。

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