『中日ドラゴンズ論』 [読書日記]
＊最初にお断りですが、この記事は予約投稿機能を使って書いています。既に日本シリーズ第3戦の結果は出ていると思いますが、海外出張の移動中だったので、少しの時間を利用して書きました。
元ドラゴンズのエース左腕・今中の近著がようやく我が家の周辺の書店にも入荷するようになった。
既報の通り、この週末から月曜日にかけて、仕事の上では大きなヤマがあった。海外に住んでいらっしゃる方とかお忙しい方との調整があったので、メールを相当多用したのだが、それを無視されたり返事が来なかったりといったケースがあまりにも多く、とても心臓に悪い仕事だった。ハシゴ外しもされた。お陰で批判が全部僕に集中するという経験もした。自分が企画段階から主導した仕事ではなかったため、これまでの経緯も勝手もわからず、こんな形で仕事するのは納得がいかないとも思った。最低限の体裁は整ったものの、屈辱感と怒りでいっぱいだった。
帰宅途中、ダメもとで入った書店で本書を見つけた時は、気分転換のためにすぐに読んでしまおうと思った。実際面白かった。ドラゴンズが優勝争いに絡み始めた8月頃に企画が持ち上がったのであろう。なんと9月の試合の幾つかを引き合いに出している分析があり、よくこれだけ短期間で出版に持ち込んだものだなと感心させられる。それはひとえに今中の文章力の賜物だと思う。最近、僕はある方が口述されたものを文章に起こして出版物にするという仕事に関わったことがあるが、それはそれは手間がかかる作業だった。だから、今中の説得力ある分析と文章が、編集の手間がさほどかからないぐらいに優れたものだったのではないかと想像がつく。さすが、ドラフト1位指名されてプロ選手になっていなかったら進学していたと言われていた逸材だけのことはある。
ここ数年、僕が引っ掛かっていたことが1つある。それは「落合さんはいつまでドラゴンズの監督を務めて下さるのだろうか」ということだ。
落合監督が嫌いなのではない。むしろ、いつまでも続けていただけるのであれば強いドラゴンズの監督でいて欲しいとすら切望している。しかし、監督就任7年でリーグ優勝3回、日本シリーズ4回、あとのシーズンも2位か3位という安定感は、これまでの歴代の中日監督の中でも群を抜いており、もはや球界の至宝だとすら思っている。そのうちに、「落合が他の球団の監督になったらどうなのか」とかいう話も持ち上がって来るだろう。いずれ、立浪あたりが中日監督になるのだろうと誰もが思っている。
でもファンとして心配なのは、落合が抜けたらドラゴンズは弱くなりはしないかということである。はっきり言ってものすごく不安だ。テリー伊藤あたりが著書で落合絶賛していると、なおのこと「ポスト落合期」のドラゴンズに不安を禁じ得ない。落合が在籍した球団はドラゴンズだけではないのだ。
今中の近著がいいのは、落合が監督だからドラゴンズは強いというのではなく、ドラゴンズにはドラゴンズの伝統があり、根っこの部分は落合どころか、星野、高木、山田といった歴代の監督によって、そして選手から選手へと受け継がれてきているのだと主張している点である。僕ら古くからの中日ファンにとっては、心の安寧をもたらす良書に仕上がっていると思う。
しかも、僕らが常々感じている今のドラゴンズの物足りない点も、率直に指摘されている。若手の野手には奮起してもらいたいし、特に、大阪桐蔭で今中の後輩にもあたる平田がドラフト1位指名された当時の落合監督の期待感からすれば、今中が平田に愛のムチを入れているのも心情としてはすごくよくわかる。
ナゴヤドームの観客動員が年々減っているというのも、落合監督の野球が面白くないからだという人はプロ野球OBだけではなく草の根の野球評論家の間ではよく耳にする意見だが、僕はそれは違うと思っていた。ファンとしてはチームが買ってくれたらやっぱり嬉しい。でも、ナゴヤドームについては無機質な空気を感じてしまう。客足が遠のく原因は、むしろナゴヤドームの方にあるような気がするのである。僕はボルチモアのカムデンヤードに万年弱小球団オリオールズの試合を何度も観に行ったことがあるが、米国のボールパークはいるだけで結構楽しい。今中は本書の中で、監督やチームとしての集客努力ではなく、むしろナゴヤドームの集客努力の必要性について指摘している。その通りだと思う。
「落合博満論」は聞けば聞くほど不安になる。でも「中日ドラゴンズ論」は聞けば聞くほど安心感が湧いてくる。ドラゴンズファンは是非読んで欲しいし、他球団のファンの方々にも、本書を読んで、自分のご贔屓の球団とドラゴンズのどこがどう違うのかを比べてみて欲しいと思う。
- 作者: 今中 慎二
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2010/10/26
- メディア: 新書
元ドラゴンズのエース左腕・今中の近著がようやく我が家の周辺の書店にも入荷するようになった。
既報の通り、この週末から月曜日にかけて、仕事の上では大きなヤマがあった。海外に住んでいらっしゃる方とかお忙しい方との調整があったので、メールを相当多用したのだが、それを無視されたり返事が来なかったりといったケースがあまりにも多く、とても心臓に悪い仕事だった。ハシゴ外しもされた。お陰で批判が全部僕に集中するという経験もした。自分が企画段階から主導した仕事ではなかったため、これまでの経緯も勝手もわからず、こんな形で仕事するのは納得がいかないとも思った。最低限の体裁は整ったものの、屈辱感と怒りでいっぱいだった。
帰宅途中、ダメもとで入った書店で本書を見つけた時は、気分転換のためにすぐに読んでしまおうと思った。実際面白かった。ドラゴンズが優勝争いに絡み始めた8月頃に企画が持ち上がったのであろう。なんと9月の試合の幾つかを引き合いに出している分析があり、よくこれだけ短期間で出版に持ち込んだものだなと感心させられる。それはひとえに今中の文章力の賜物だと思う。最近、僕はある方が口述されたものを文章に起こして出版物にするという仕事に関わったことがあるが、それはそれは手間がかかる作業だった。だから、今中の説得力ある分析と文章が、編集の手間がさほどかからないぐらいに優れたものだったのではないかと想像がつく。さすが、ドラフト1位指名されてプロ選手になっていなかったら進学していたと言われていた逸材だけのことはある。
ここ数年、僕が引っ掛かっていたことが1つある。それは「落合さんはいつまでドラゴンズの監督を務めて下さるのだろうか」ということだ。
落合監督が嫌いなのではない。むしろ、いつまでも続けていただけるのであれば強いドラゴンズの監督でいて欲しいとすら切望している。しかし、監督就任7年でリーグ優勝3回、日本シリーズ4回、あとのシーズンも2位か3位という安定感は、これまでの歴代の中日監督の中でも群を抜いており、もはや球界の至宝だとすら思っている。そのうちに、「落合が他の球団の監督になったらどうなのか」とかいう話も持ち上がって来るだろう。いずれ、立浪あたりが中日監督になるのだろうと誰もが思っている。
でもファンとして心配なのは、落合が抜けたらドラゴンズは弱くなりはしないかということである。はっきり言ってものすごく不安だ。テリー伊藤あたりが著書で落合絶賛していると、なおのこと「ポスト落合期」のドラゴンズに不安を禁じ得ない。落合が在籍した球団はドラゴンズだけではないのだ。
今中の近著がいいのは、落合が監督だからドラゴンズは強いというのではなく、ドラゴンズにはドラゴンズの伝統があり、根っこの部分は落合どころか、星野、高木、山田といった歴代の監督によって、そして選手から選手へと受け継がれてきているのだと主張している点である。僕ら古くからの中日ファンにとっては、心の安寧をもたらす良書に仕上がっていると思う。
しかも、僕らが常々感じている今のドラゴンズの物足りない点も、率直に指摘されている。若手の野手には奮起してもらいたいし、特に、大阪桐蔭で今中の後輩にもあたる平田がドラフト1位指名された当時の落合監督の期待感からすれば、今中が平田に愛のムチを入れているのも心情としてはすごくよくわかる。
ナゴヤドームの観客動員が年々減っているというのも、落合監督の野球が面白くないからだという人はプロ野球OBだけではなく草の根の野球評論家の間ではよく耳にする意見だが、僕はそれは違うと思っていた。ファンとしてはチームが買ってくれたらやっぱり嬉しい。でも、ナゴヤドームについては無機質な空気を感じてしまう。客足が遠のく原因は、むしろナゴヤドームの方にあるような気がするのである。僕はボルチモアのカムデンヤードに万年弱小球団オリオールズの試合を何度も観に行ったことがあるが、米国のボールパークはいるだけで結構楽しい。今中は本書の中で、監督やチームとしての集客努力ではなく、むしろナゴヤドームの集客努力の必要性について指摘している。その通りだと思う。
「落合博満論」は聞けば聞くほど不安になる。でも「中日ドラゴンズ論」は聞けば聞くほど安心感が湧いてくる。ドラゴンズファンは是非読んで欲しいし、他球団のファンの方々にも、本書を読んで、自分のご贔屓の球団とドラゴンズのどこがどう違うのかを比べてみて欲しいと思う。
タグ：ドラゴンズ
ぼくも野球はドラゴンズというほどではないけど、応援しろと言われたらドラゴンズかカープです。昔の中日球場で高木の妙技を見たのが、忘れられません。職人わざとはああいうのを言うのでしょうね。
いやなことは、忘れましょう。しばらくは、腹が立つでしょうけどね。働き過ぎないよう，適当に手抜きをして下さい。
by 黄門様 (2010-11-03 10:13)