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デリー市バスに乗る [インド]

最初に断っておきたいことがある。僕は小心者である。それが証拠に、赴任して1年が経つ今に至るまで、インドでバスに乗ったことがなかった。以前ネパールに住んでいた時もそうだ。赴任後2年近くが経つまで、バスに乗ったことがなかった。石橋を叩いても当分の間は渡らない――それが僕だ。

それじゃあ何がきっかけでバスに乗れるようになるかというと、第1に地理、第2に言葉である。この2つの条件が揃わないと、僕は異国で勇気を出してバスに乗ろうとはしない。昔米国留学時代は、コスタリカ人の友人と一緒に大学のキャンパスからバスで初めて外に出た。1人では住み慣れた世界から飛び出す勇気がなかったからだ。だったらここでもインド人の知り合いと一緒に乗ればいいではないか。確かにそうだ。でもそうする前に安易な乗り物を覚えてしまった。第1にオフィスの日本人駐在員の自家用車の便乗、第2にオートリキシャーかタクシー、そして第3には自分で自家用車を購入してしまった。オフィスのインド人スタッフと一緒にバスの乗り方を覚える、そんな機会を逸してしまった。

前夜のアーメダバードでの連続爆弾テロ事件のお陰で、僕は日曜日の今日、どうしてもオフィスに行かなければならなくなってしまった。オフィスまでは約5kmある。最近運動不足なので、行きは歩こうと考えた。帰りも歩こうかと思っていた。

ところが、最近のデリーは東京を遥かに上回る蒸し暑さで、水筒片手にこまめに給水はしていたにも関わらず、往路の道すがら頭がクラクラしてきた。オフィスに丁度着く直前から始まった雷雨のお陰で、気温は随分と下がったが、とても復路まで歩こうという気力が涌いてこなかった。こんな時こそチャンス―――。
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僕のオフィスは集中豪雨があるととたんに陸の孤島と化す。近くのマーケットの排水がオフィスビルの前の道路に流れ込み、深い「湖」を形成してしまう。仕事を終えてビルの周辺を見たら、来た時よりも水位が上がっており、スニーカーを濡らさずには渡ることなどできない。これじゃタクシーを呼んでも入って来れない。今日はうちの運転手もお休みだ。オートリキシャーだってここまでは入って来れない。こうなったらもうバスしかない。

それでも慎重を期す僕は、先ずインターネットで路線図と料金を調べた。どちらもデリー市交通公社(DTC)のHPで調べることができる。僕のオフィスの最寄のバス停から、自宅の最寄のバス停までは、どの路線番号のバスでも絶対に行ける筈だと思ってはいたが、念のために路線番号も確認した。

その上でオフィスを出て、湖を突っ切り、最寄のバス停まで歩いた。バスは10分間隔ぐらいで走っている。メモしてあった番号のバスが到着したが、完全停止もしないうちからまた加速を始めたので、躊躇する間もなく飛び乗った。

乗って次は何するのかと戸惑っていたら、バス乗車口近くにいたじいさんが、「カネ、カネ」と呼びかけた。行き先を告げたら、「10ルピー」とすぐに答えが返ってきた(普通のバスだと3ルピー程度の距離なのだが、Express Wayとなっていた路線なのでちょっと高めなのだ。5ルピー硬貨2枚を渡すとチケットを切ってくれた。それでも乗車した後ろの乗車口から降りようと思ってバスの後ろの方でたたずんでいると、同じじいさんから、「前の方へ行け」と指示される。バスはそこそこ空いていたのでできるだけ前の方へと通路を移動した。
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最寄のバス停が近づいてきたので前の降車口から飛び降りた。それでわかったのだが、どうも降りるバス停を1つ間違えたみたい。バス停の名称が違っていたので気付いた。そうすると、実際にはもう1つ先のバス停が、我が家を通り過ぎるような感じにはなってしまうがやっぱり最寄りのバス停なのだとわかった。次回は修正しよう。

そんなわけで、少し経験を積むことができた週末であった。同じ距離をタクシーなら150ルピー、オートリキシャーなら40~50ルピーかかる。それが10ルピーだったのだから、結構得した気分。
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