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『起業家ナース』 [読書日記]

起業家ナース

起業家ナース

  • 作者: 大石 茂美
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2023/02/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

内容紹介
何かを始めるのに遅過ぎることはない!介護士が笑顔で働ける施設をつくりたい――51歳、ベテラン看護師の遅咲き起業物語
【コミセン図書室】
先々週末にコミセン図書室に行って、性懲りもなく3冊も借りてしまったものだから、返却期限までに読まなきゃと、すき間時間を利用した読書が続いている。本書も、なんとなく借りずに帰るのは淋しいからというようなはっきりしない理由で借りてしまったので、なんでこんな本を読んでいるのかと訊かれても、積極的な理由はない。適度な薄さだったし、表紙のイラストを見てたらちょっと元気をもらえそうだった。このイラストの看護師さんと目が合ってしまったとしか言いようがない。

これも、前回ご紹介した畠山織恵『ピンヒールで車椅子を押す』と同じビジネス書だ。しかもこの2人の著者はいずれも関西人で、起業もしておられて、ちゃんとした自社のウェブサイトも持っておられる。分野は障害者福祉と看護介護とで違いもあるけれど、多分本を出された動機はいずれも起業とともに行われる事業広報の一環だという印象。いわば、「名刺代わりの1冊」というやつだ。

苦労しながら今に至るという体験談は、読んでいて面白い。本書の著者も、51歳で介護事業所を事業継承するまでは、わりとあっち行ったりこっち行ったりというのが続いた。勤め先の先々での苦労やそこを辞めて次のステップを踏み出すまで考え方といったものは、読んでて参考になるし、お話の中に引き込まれていく感覚があった。

ただ、その介護事業所をM&Aで事業継承する話は、いきなり唐突に出てきて、誰がどのような経緯でこの話を著者に持って行ったのか、著者がどのような判断でこの事業所を継承することにしたのか、全然わからなくて、著者のご経歴の中でも、その部分だけは謎が多くてあまり共感できなかった。売り手の挙動を見ていれば訳あり物件なのは明らかなのに、それでもあえて購入する判断がよくできたと思う。しかも、事業継承後事業所に乗り込んでからの苦労話も、結局のところ、スタッフは著者の経営方針に対して賛同して一緒に歩んでくれるようになったのかどうかがわからない。スタッフの心をどうつかんだのか、事業所の黒字転換の話は書かれているが、スタッフの支持をどう受けたのかの記述が薄めで、ここもあまり共感できなかったポイントである。

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