『老後の資金がありません』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)
「老後は安泰」のはずだったのに! 後藤篤子は悩んでいた。娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費…しっかり蓄えた老後資金はみるみる激減し、夫婦そろって失職。家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか?ふりかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。
あまりにもタイムリーな読書。数カ月前から僕の読友がFacebookで薦めはじめ、いつかは読もうと思っていたら、近所のコミセン図書室で偶然見つけてすぐ借りることができた。「老後の資金不足2000万円」という例の金融庁審議会報告書のおかげで、本書にも余計な注目が集まっていたに違いないこの時期、まさか借りられるとは思っていなかった。
垣谷作品も5作目ともなると、なんとなくパターンが見えてきていて、序盤から中盤にかけて主人公を奈落の底に陥れる様々な出来事が起こり、そこで明確にターニングポイントになる出来事が起こり、そこから終盤に向けた展開は、「V字回復」と表現したくなるような劇的なもので、何もかもがプラスに働いていくようになる。そういうポイントが作品の中観にかならずある。そこに至るまではこれでもかこれでもかという不利な出来事の連続で、読み進めるのもつらくなるが、ターニングポイントをクリアした瞬間がわかると、あとの展開はワクワクしながらページをめくり続けられる。
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