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ブログ更新を滞らせている理由 [ご挨拶]

久しぶりのブログ更新です。2月3日以来ですね。

Sanchaiはブログ更新を辞めたのではないかと思われるかもしれないので、今このタイミングでアップしておきます。

最大の理由は、旅をずっとしていたことです。

最後に更新した2月3日から旅に出て、いったんは9日にティンプーに戻りましたが、今度は18日からインドに行き、デリー、グワハティを経由して、東部サムドゥップジョンカルからブータン再入国し、今はタシガンにいます。そうすると9日から18日朝まではティンプーにいたことになるのですが、この間も休みなく働いていて、夜も外食が続いたので、ブログ更新が最も後回しになりました。

もう1つの理由は、この間、後任への引継ぎ資料をずっと作っていたことです。3年間も駐在していると、申し送り事項がたまるたまる。空いている時間を見つけてはシコシコ書き続け、昨日脱稿した時点でなんと付属資料抜きで130頁強の超大作になっていました。

明日以降、多分月末までは旅先で時間を見つけて別の作業をやっています。この作業についてはいずれ成果を公開するのでお楽しみに!

ということで、あと数日、更新はいたしませんのでお許し下さい。




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共通テーマ:日記・雑感

『図書室の海』 [読書日記]

図書室の海 (新潮文庫)

図書室の海 (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/06/26
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。

恩田陸、2作目。『夜のピクニック』の前日譚が含まれているというだけで読んだ。主人公の2人については名前も同じだが、あとの登場人物の名前が違っていたし、ちょっと設定も変えられていた。目当てがそれだけだったので、余計に気になったのだが、こういう、前日譚から登場人物の名前を変えたり設定を変えたりしたのにはどういった理由があるのだろうか?

それはともかくとして、この短編を最初から一つ一つ読んでいって、気付いたことがある。読みやすい。基本ホラー作品が並んでいるので、読み進めていくうちに何が何だかよくわからなくなるのだが、少なくとも文章を目で追っていく上では、非常にテンポよく読める印象だった。

それが何か気付いたのは、中盤の「ピクニックの準備」の後、「国境の南」を読んでいた時だった(遅いよ)。そういう視点で他の作家の作品を読んだことがないから自信がないが、多分、1つ1つの文が短く区切られているからだと思う。単文が2行に及ぶことがほとんどない。また、その割に比喩などをするときには3つほどの短い単文を並べて、テンポよくかつインパクトも出している。

恐るべし―――。これは非常に勉強になった。文章は小刻みに区切っていかないといけない。

但し、僕は自分の読書遍歴を振り返っても、ホラー作品にはほとんど縁がない。従って、こういう作品の味わい方については少し悩んでしまう。『夜のピクニック』からホラー作品に入ると、戸惑うことだろう。『夜のピクニック』っぽい、高校が舞台の作品もあるが、途中からやっぱりホラーになってしまう。これについていけてない自分がいる。表題にもなっている「図書室の海」なんて、最初の凪状態からの展開の急に、戸惑ってしまった。

オジサンが読むにはかなりしんどい―――。

ただ、1編が30頁程度だから、毎晩の睡眠導入用の読書には結構向いてる。本書は読了までに1週間かかっているが、一気に読めなかったのは途中で寝落ちした夜が何度かあったから。それやっちゃうと数ページ戻ってもう一度読み直す手戻りも起きる。

恩田作品、今後もそんなに読むとは思えない。『蜂蜜と遠雷』ぐらいでとどめておこうと思う。
タグ:恩田陸
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『ネパールのキノコとキノコ栽培』 [ネパール]

nepal.jpg渡辺和夫
ネパールのキノコとキノコ栽培
2018年10月1日、青山ライフ出版
http://aoyamalife.co.jp/review/nepal.html


内容紹介
林業試験場でキノコ栽培に関わってきた著者が、ネパールのキノコの栽培について様々実験を繰り返した結果をまとめた集大成

今、ブータンにJICAの草の根技術協力プロジェクトの専門家として来られている著者の渡辺さんから、「ご参考に」ということでご寄贈いただいた。渡辺さんは、ブータンに関わられる前、2008年から2013年初頭まで、足掛け5年間ネパールにシニア海外ボランティア(今は青年海外協力隊と制度が統一され、「JICA海外協力隊」に名称が変わったらしい)として派遣されていた。配属先はネパール農業研究評議会(NARC)というところで、キノコだけでなく、水産養殖とか、農業水産業関連の統一研究機関らしい。

いつもお目にかかると、キノコのことを熱く語られる方である。本書は、そんな渡辺さんの熱量が伝わってくるような1冊である。しかも、日本の試験場で長年務められてきた経験と培われた技術をそのまま移転しようという姿勢ではなく、ネパールの野生キノコの事情を自らの足で歩いて調べられ、その多様性に感動すら受けておられる。国が変わればやり方も随分変わる。ネパールのキノコ農家の栽培方法を見て回り、なるほど理にかなったやり方だと敬意も払っておられる。読んでいてキノコに対する「愛」が感じられる。

養蚕を調べていた僕に辛うじてわかるのは、種菌生産の質ができるキノコの質をかなりの部分決めてしまうということや、病害虫対策や雑菌が入り込まないような栽培環境の整備の必要性といったことだった。インドでカイコを飼うための蚕皿に牛糞を塗る習慣を変えるのに、日本の養蚕の専門家が大変なご苦労をされたという20年前のお話を聞いて知っていただけに、キノコ栽培においても、牛糞を使用しているところから習慣を変えさせることの難しさなどは何となく想像はできる。

通算4年間のご活動であったが、それをこのような形で書籍にされるのは素晴らしいことで、僕らにとっても参考になる。何よりも大事なのは、記述の対象に対して注ぐ「愛情」であると強く感じた。外国で暮らすと「なんでこの国はこうなんだ」と苛立ちを覚えることも多いのだが、その苛立ちをまともに文章にしてしまったら、読者にとっては不快な読み物にしかならない。いろいろな苦労はあるにせよ、一貫して温かい目で見守り、「この人たちがそう行動するのはどうしてなのか」と彼らの立場になって考えてみて、そして落としどころがどこなにかを考えることが必要だと改めて痛感させられる。

渡辺さんも、ネパールでの4年間の後、ブータンの草の根技術協力で3年間はブータンに関わっておられる。4年間滞在されたネパールと違い、ブータンはシャトル型で行ったり来たりがあるため、その中で野生キノコを求めて野山を歩かれるというのは、年齢的なところもあって難しいかもしれない。また、農業の多くの分野をカバーするNARCと違い、ブータンはキノコはキノコの専門研究機関になっていて、トータルでの農業経営の中でキノコ栽培を捉えるということが難しい組織建てになっているようにも思う。

そうした制約はあるにせよ、ブータンを卒業されるあかつきには、是非本書の続編としてブータンのキノコとキノコ栽培への言及のある著書を出されることを楽しみにしたい。
タグ:JICA 渡辺和夫
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