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『図書室の海』 [読書日記]

図書室の海 (新潮文庫)

図書室の海 (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/06/26
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。

恩田陸、2作目。『夜のピクニック』の前日譚が含まれているというだけで読んだ。主人公の2人については名前も同じだが、あとの登場人物の名前が違っていたし、ちょっと設定も変えられていた。目当てがそれだけだったので、余計に気になったのだが、こういう、前日譚から登場人物の名前を変えたり設定を変えたりしたのにはどういった理由があるのだろうか?

それはともかくとして、この短編を最初から一つ一つ読んでいって、気付いたことがある。読みやすい。基本ホラー作品が並んでいるので、読み進めていくうちに何が何だかよくわからなくなるのだが、少なくとも文章を目で追っていく上では、非常にテンポよく読める印象だった。

それが何か気付いたのは、中盤の「ピクニックの準備」の後、「国境の南」を読んでいた時だった(遅いよ)。そういう視点で他の作家の作品を読んだことがないから自信がないが、多分、1つ1つの文が短く区切られているからだと思う。単文が2行に及ぶことがほとんどない。また、その割に比喩などをするときには3つほどの短い単文を並べて、テンポよくかつインパクトも出している。

恐るべし―――。これは非常に勉強になった。文章は小刻みに区切っていかないといけない。

但し、僕は自分の読書遍歴を振り返っても、ホラー作品にはほとんど縁がない。従って、こういう作品の味わい方については少し悩んでしまう。『夜のピクニック』からホラー作品に入ると、戸惑うことだろう。『夜のピクニック』っぽい、高校が舞台の作品もあるが、途中からやっぱりホラーになってしまう。これについていけてない自分がいる。表題にもなっている「図書室の海」なんて、最初の凪状態からの展開の急に、戸惑ってしまった。

オジサンが読むにはかなりしんどい―――。

ただ、1編が30頁程度だから、毎晩の睡眠導入用の読書には結構向いてる。本書は読了までに1週間かかっているが、一気に読めなかったのは途中で寝落ちした夜が何度かあったから。それやっちゃうと数ページ戻ってもう一度読み直す手戻りも起きる。

恩田作品、今後もそんなに読むとは思えない。『蜂蜜と遠雷』ぐらいでとどめておこうと思う。
タグ:恩田陸
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