氷河湖決壊洪水問題解決ハッカソン [ブータン]
ハッカソンで若者が氷河湖決壊洪水対策のアイデア出し
Hackathon engages youth in brainstorming GLOF-resilient measures
Tshering Deki記者、BBS、2023年4月30日(日)
http://www.bbs.bt/news/?p=185149
【ほとんど抄訳【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】】
ブータンはヒンドゥークシ・ヒマラヤ地方に属し、最近の調査では、世界平均を上回る気温上昇を経験していることが判明している。専門家は、これが氷河湖流出洪水(GLOF)や異常気象を引き起こす可能性があると主張する。ブータンの若者たちがGLOFのリスクと闘い、軽減するためのアイデアを出し合うため、Youth for Environmentと呼ばれる若者グループは、若者やさまざまな背景を持つ人々が参加する10日間のハッカソンを実施した。
このイベントには、国内外のさまざまな学校や大学の13歳から22歳の学生40人が参加した。また、ソーシャルメディアのインフルエンサー、環境保護活動家、国際的な専門家なども参加した。
コンペで優勝したTeam Best Hacksは、メディアやモバイルサービスプロバイダーを巻き込み、地球温暖化に関する情報を人々に広めることを提案した。2つ目の戦略は、土嚢やリサイクルボトルを使ったGLOFに強いインフラの構築など、適応的なアプローチに焦点を当てたものであった。
「これらの対策は基本的には有効です。しかし、これらの対策の有効性は、資源の利用可能性、政治的コミットメント、リスク削減努力への地域コミュニティの関与など、いくつかの要因に依存します」——ICIMODのリモートセンシング・地理情報アナリストのフィヌ・シュレスタはこう述べる。
デチェン・ザム・ツェリンは、このイベントを主催した青年グループ「Youth for Environment」のメンバーとして活躍している。彼女は、2020年に環境保全を提唱するグループを結成した。
「これくらいの年齢で、環境の脅威や問題に触れ、地球温暖化について学ぶことができれば、彼らが大人になり、地球温暖化を緩和するために実際に役割を果たせる立場になったとき、全体として非常に刺激的なものになるはずです。若者にとって、国内だけでなく、国外で起きていることを知ることは重要です。そして、今の時代、気候変動は非常に大きな問題なのです。」
大きな流れとして、ヒンドゥークシ地方の気温が、今後70年ほどの間に2~4℃上昇するという研究結果が出ている。これは、ブータンで下流に住む数百万人の人々にとって破滅的な事態となる。さらに、ブータンには2000以上の湖があり、そのうち20以上の湖がGLOFの危険性をはらんでいる。
ハッカソンのようなイベントは、GLOFのような気候に関連した脅威と闘い、地域社会を変える役割を果たす次世代のリーダーを意識し、準備するのに役立つと考えられている。 .
最近、僕の周りではやたらと「ハッカソン」という言葉を耳にするようになった。
報じられているのはすでに起こった出来事なので、現在進行形で今後メディアで取り上げられる可能性のある「〇〇〇ソン」というのもチラホラ聞く。同様のオープンイノベーションイベントは僕たちだって開催する可能性があって、その時に企画立案や当日の運営に協力してくれる経験者が確保できるかどうかはイベントの成否を握る大きなカギとなるので、僕自身も普段からこの種のイベント情報にはアンテナを張るようにしている。
で、今回BBSが報じたハッカソンだが、4月14日から23日までの日程で開催されたらしい。実施母体は記事でも紹介されている青年グループで、アドバイザーとして、国立水文気象センター(NCHM)とカトマンズに本部を置く国際機関「国際総合山岳開発センター(ICIMOD)」が付いているらしい。NCHMといえば、JICAは「ティンプー川・パロ川流域における災害事前準備・対応のための気象観測予報・洪水警報能力強化プロジェクト」というのを実施していた。JICAのHPを見ると、協力期間が2023年3月までとなっていたので、もう既に終了してしまっているのかもしれないが、記事にある青年グループの活動地はパロとティンプーらしいので、何かこのハッカソンに関連して少額の支援でもしてあげられると良かったかもしれない。
僕がいちばん引っかかったのは、BBSの報道に、「国内外のさまざまな学校や大学の13歳から22歳の学生40人が参加」とあった点だ。どうやって募集をかけたのかが謎だったので、この青年グループのFacebookページを調べてみたところ、①Google Formsでオンライン登録を呼びかけ、②ハッカソン自体への参加もオンラインで行われていた、ことがわかった。記事に挿入された写真を見るとどこかの学校のコンピュータラボを使っている様子が窺えるが、オンラインで参加した子とこの学校の生徒で合わせると40人程度にはなるようである。
どのような形であれ、オンラインでハッカソンをやったというのは画期的なことだ。おそらくはこのホストした学校の授業日程に影響が出ない範囲で開催されたのだろうから、10日間丸々使って行われたというより、毎日どこか決められた時間帯、例えば放課後の1時間とかを用いて進められたのだろうと想像する。また、何らかのプロトタイピングを伴うハッカソンというより、この建て付けでやられているのはアイデア出しが中心で、厳密にいえば「アイデアソン」だというのもわかった。
アイデア出しということだから、別に出てきたプロトタイプがイベント終了後に未完成のまま放置されるというハッカソンにありがちな問題には、今回は目くじらを立てる必要はない。少なくとも、参加した若者たちに対する啓発にはつながったと言えるだろうし、それが主催者の目的だったのだろう。
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