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マラリア危険地帯のファブ施設だからこそ [ブータン]

2025年までにマラリア撲滅を
Bhutan targets to eliminate malaria by 2025
Kinley Dem記者、BBS、2023年2月26日(日)
http://www.bbs.bt/news/?p=182254
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【ほとんど抄訳【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】】
ブータンは、2025年までにマラリアを撲滅することを目標としている。これは、2018年と2020年の2つのターゲットを逃した後の改訂目標となっている。保健大臣によると、特に COVID-19 の大流行時に南部での国境をまたいだ問題が、この国の状況達成の妨げになっているという。ブータンは昨年9件のマラリア患者を記録したが、同省はそれら感染者がコミュニティ由来だったかどうかを見極めている。

マラリアの撲滅は、マラリアの完全な根絶を意味するものではない。保健大臣によると、マラリア撲滅のステータスは、その国で地域住民の症例が一切報告されない場合に達成されたと見なされる。つまり、国がマラリア撲滅ステータスを達成しても、輸入マラリア症例が存在する可能性はある。

同大臣によると、保健当局がすべてのマラリア患者を調査し、接触者追跡調査やその他の調査を行っているという。また、同省は、目標達成のための対策を強化するとともに、インドとの連携も強化したと報告している。

「マラリアは南部で流行しているため、国境をまたぐ話し合いも行いました。また、マラリアには国境をまたぐ問題がたくさんあります。マラリア撲滅のために、私たちは政府機関と良好なパートナーシップを築いています。ですから、マラリア撲滅のためには、これらの活動を両国で強化する必要があるのです。」

国民の意識啓発と予防は、マラリア撲滅のための重要な方策の一つだ。しかし、大臣によると、国民のコンプライアンス違反が主な課題となっているという。

「もし、人々が私たちの言うことに従ってくれるなら、私たちは非常に早く達成できるでしょう。私たちは、水を溜めないようにと言いますが、人々は水を溜め、長袖を着る必要があるのですが、誰も聞き入れません。症状が出たら報告しなければならないのに、みんな来てくれない。私たちは情報を提供するために最善を尽くしていますが、同時に、人々も従わなければなりません。」

大臣は、マラリア撲滅のためには、誰もが個々の責任を負うことが重要であると付け加えた。マラリア撲滅を達成するには、3年間連続で地域のマラリア感染者数が報告されることが必要である。

ブータンでは、2021年のマラリア患者数はわずか23人と激減している。保健年次調書(Annual Health Bulletin )によると、そのうちコミュニティ内から報告されたのは9件だった。.

いつかこの記事書こうと思っていて、気付いてみたら初出から2カ月以上が経過してしまった。鮮度が低い報道ではあるが、記事自体は単に本題に向けた導入と割り切って、本日はこの記事に絡めて別の話を取り上げたい。

現在、7月中旬からブータンで開催される「世界ファブラボ会議2023」(以下、FAB23)の前半イベントである「Fab Bhutan Challenge」への参加募集が大詰めを迎えている。これは、ブータン国内にあるファブラボ5つがホストし、各々の地域が直面する課題の中から1つを取り上げ、それを、外国から来られるファブラボの代表の方々と地域のメンバーが一緒になって、課題解決策のプロトタイピングに取り組むというイベントである。

日本人の存在感はあまり大きくなくて、FAB23の開催期間(7月16日~28日)をまるまるブータンで滞在できる人など日本人では少ないだろうから、今のところ僕が見ている限りでは、欧米人で「ブータン行きたい」と意思表明している人の方が圧倒的に多い。

僕がいるファブラボCSTも、このFab Bhutan Challengeをホストしろとティンプーのスーパーファブラボから半強制的に要請され、ファブシティ財団から課されるタイムスケジュールをぶつぶつ言いながらなんとかこなし、4月19日に世界中のファブラボ関係者に向けて、「我々の地域の課題はこれです」というチャレンジピッチを行った。それを受けて、外国人からのチャレンジ参加の募集受付が行われていて、その締切は確か今週末だったと思う。同時に、今月からは、ブータン人へもチャレンジ参加の募集が始まっている。


さて、このチャレンジピッチの動画を見て、「なんで南部の課題が「アルミ缶アップサイクリングによる障害児自助具の試作」なの?」と疑問に思われた方もかなり多いと思う。それって南部プンツォリン地域特有の課題だとは僕自身も思っていない。前述のように、Fab Bhutan Challengeにはファブシティ財団の若者たちから結構な「宿題」や「作業指示」が課せられ、それをクリアするのが大変だったのだが、その中の1つに、「3月15日までに課題を具体的に1つに絞り込め」というのがあった。それを言われたのは3月8日である。しかも、その挑戦課題の絞り込みにあたり、「地域のステークホルダーの巻き込みに関して、調整が終わっているもの」という条件まで課せられていた。

作業に充てられる時間が少ない中、僕たちファブラボCSTでは、内部で検討して、既に行動着手済だった2つの課題を掛け合わせて、1つの挑戦課題として化粧直しして、チャレンジピッチにかけることにした。他のファブラボも同じような検討プロセスを辿った筈だ。うちが一番作業が速かったぐらいで、他のファブラボは平気で作業期限を破ってきた。ふだん我々に作業指示ばかり出してくるスーパーファブラボも、平気で作業期限を破っていた。

どこもそんな感じでチャレンジピッチに臨んでいる。なので、こんなラインナップになっている。

でも、FAB23の主催者である米国のファブファンデーションやブータンのDHI・スーパーファブラボの準備作業がもっと早くからスタートして、我々のような地方のファブラボにもう少し検討にかけられる時間を与えてもらっていれば、別の挑戦課題を立てることだってできたかもしれない。

3月8日になって、いきなり「1週間以内に挑戦課題を絞り込め」と指示されても現場は困るが、実は、それ以前にうちのファブラボとCSTの関係者数名でブレストを行っていて、「南部特有の挑戦課題」ということで、次の7つをリストアップしていた。

「獣害対策(ゾウの侵入)」「濃霧」「水不足」「僧院のデジタル化」「廃棄物管理」「デング熱・マラリア対策」「土砂災害」

そして、急に言われても調整に時間がなさすぎるので、かろうじて行動を起こしていた「廃棄物管理」だけでも動かそうとしたのが、今回のチャレンジピッチにつながっている。

本来なら取り組めた筈の挑戦課題が、主催者のショートノーティスによってふいになり、せっかく外国から経験豊富なデジタルもの作り愛好家が集まるこの機会に、何もできないのは大変残念なことである。それならFab Bhutan Challengeの枠組みによらずに外国のファブラボ関係者をプンツォリンに招けばいいじゃないかと思われるかもしれないが、主催者はFab Bhutan Challenge以外での外国人参加者の地方への移動を推奨していない。(モンスーンの季節でもあるから、わからぬでもないが。)

ただ、引用の記事にあるマラリアに限らず、この地域ではデング媒介蚊も棲息している。ファブラボCSTの主要利用者であるCSTの学生の中にも、発症者はいるし、僕自身も1月に最初の高熱を出した際は、デングではないかと一時は疑われた。

デング・マラリア対策でファブラボでできることも実はある。問題なのは、できることが知られていないことなのだ。残念ながら、プンツォリン周辺で、デング・マラリア対策でどの機関がどのような役割を果たしているのか、僕自身把握できていないし、CSTは元々工科大学なので、デング・マラリア媒介蚊対策のような生物学・社会学的ソリューションに対してあまりちゃんとしたアンテナが張れていない。

そのあたりがファブラボの課題だと思う。
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