SSブログ

留学生には日本でこれをやってきてほしい! [ブータン]


今年も日本の留学生支援無償資金協力で、何人かのブータン人公務員が日本の大学院での留学に出発するようだ。壮行会がJICAの事務所で開かれたことが、9月1日のBBSのニュースで報じられていた。

昔と変わっていなければ、農業系は東京大学、政治経済系は新潟の国際大学と京都の立命館大学、工学系は名古屋大学に留学予定なのだろう。どうしても新潟(浦佐)は僕にとっては心理的には遠いので、わざわざ出向いて行って親交を深めるというわけにはなかなかいかないのだけれど、新潟には昔お世話になった方もいらっしゃるので、いつかは訪問してみたいとは思っている。越後妻有大地の芸術祭にかこつけたりしてね…。

帰国したら、僕の生活の拠点はたぶん岐阜になる。あるいは、東京と岐阜との往復生活かもしれない。そんな事情もあって、名古屋大学と田無に試験農場を持っている東京大学の留学生には特にお近づきになりたい。できるだけの生活支援はしてあげたいと思っている。立命館大学も、昔非常勤講師で通ったことがある大学院なので、機会があれば交流してきたい。

でも、今日はそんな抱負を述べるためにこの記事を書いているわけではない。

せっかく日本に行くのだから、大学の近くにあるファブ施設とお近づきになって、その可能性を体感してきて欲しい―――それが僕の本日のメッセージである。

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、人を介した開発協力はコストが増した。特に、短期の渡航は割高になった。ブータンでも短期の出張者へのビザ発給はなかなか認められなくなっているし、ブータン政府の観光政策の変更によって、民間の協力での短期渡航も割高になった。

同様に、JICAのこれまでの技術研修員受入事業の主力となっていた短期研修も、日本側の受入体制の懸案からずっと凍結されていて、ブータンからの短期研修員の受入が再開されたのは、つい先月末のことである。

そんな中で、2年間の長期滞在となるJICA留学生の制度は、コロナ禍であってもなんとか制度運用が続けられてきている。相対的に、JICA留学生支援制度は価値が高まったと言えるし、あまりに短期研修にシフトし過ぎて深い人的交流が図れなかった過去20年近い研修制度から、より深い交流が期待できる長期研修に揺り戻しが起き、受入大学や受入地域と派遣元国とのパイプの強化につながるに違いない。

だから、2年もいるんだから、大学での勉強もさることながら、地域の人々との交流も行い、母国で同じようなことをやっている人々とのパイプ役にもなっていって欲しいと思うのである。

で、その場合の切り口の1つが、地域にあるファブ施設だと思っている。

別にファブラボじゃなくてもいい、ファブスペースとか、カフェとか、何でもいいんだけれど、自分の留学先の大学の学内、あるいは近所にあるものづくり施設とのコネクションを作り、ついでにすこしばかりものづくり体験もして、それで留学を終えて欲しい。で、帰国した後は、ブータン国内にすでに6つもあるファブラボのどこかとつながりを持ち、日本のものづくり愛好家とブータンの若いものづくり愛好家の橋渡しをしていって欲しい―――そういう期待を僕はしている。

こんな期待を表明しているんだから、冒頭で述べた3つの大学への留学生には、そういう視点から地域に彼らを紹介するような取組みを率先してやるつもりだし、そういう受入先をこれから開拓していくつもりだ。

ところで、この留学生支援制度については、もう1つ気になっていることがある。

それは、対象が公務員に限定されていることである。当然、留学を終えて母国に戻ったら元の省庁や政府機関に復職するのだろうけれど、そうすると、元々この国に存在する大学で研究やって論文も書いている王立ブータン大学(RUB)の研究者との接点がほとんどない。

同じ工学系なのに、JICAの留学生支援制度で日本に留学した公務員と、CSTやJNECの教職員が交流しているという話は、CSTにいても聞いたことがない。CSTにいると、外国の大学との共同研究というので聞こえてくるのはほとんどが欧州の大学で、日本の大学との共同研究はとんと聞かない。ここのパイプをもっと強化するのに、帰国留学生同窓会とか、JICA事務所とか、何かできないのだろうか。なんか歯がゆい。

nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント