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それでもごみは無くならない [ブータン]

外国人がブムタンの清掃活動に参加
Group of foreigners join Bhutanese youth group to clean Bumthang town
Kipchu記者(ブムタン)、BBS、2022年9月2日(金)
http://www.bbs.bt/news/?p=174247
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【要約】
廃棄物はグローバルな問題で、対策にはグローバルな参加が必要。炭素吸収国でありながらも、ブータンは廃棄物問題では課題を残す。毎年各地で定期的に清掃キャンペーンは行われるが、問題は再び頭をもたげる。この国をきれいに保つことをブータン人に動機づけようと、外国人のグループが、ブータンとその自然への愛情に突き動かされ、この水曜日にチャムカルタウンの清掃活動に参加した。

ブムタンに数日滞在している7人の外国人観光客が、ジャカル僧院からチャムカル通りまでの区間のごみを拾った。彼らは欧州及び英国からの来訪者で、中にはブータンで働いている人もいる。「若い世代の人々に、自分の国がいかに美しく、だからきれいに保ってゆかねばならないか、動機づけたいというのが第一の目的。この国の市民一人一人が自分の国をきれいに保つことが必要だと知るべきだ」(ドイツ人参加者)。

「ごみを捨てる行為はやめて、自分たちが持つ美しさを世界に示そう。炭素吸収国であることは既に世界に示した。次はごみを拾う国だというのを示そう」(DeSuung技能プログラムのスイス人トレーナー)他。

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「Bhutanese TikTokers」を名乗るブータン人若者12人が通りの清掃を支援。彼らはティンプー、プナカ、ワンデュポダン、パロで同様の活動を行ってきた。しかし、廃棄物管理の啓発を行おうとしても、協力を得られないこともあるという。「人々に協力を呼びかけても、清掃は自分の仕事じゃない、市当局の仕事でしょと言われる。清掃活動のために納税しているのだから、市がすべて行うべきだという人も。僕はそれが市の仕事だと言うのは正しくない、すべての市民の仕事だと思う」(Bhutanese TikTokers創設者)。

地元のボランティアも参加。このイベントは短期間で、しかも小規模で終わったが、そのメッセージは明確で大きいものだった。グローバルな使命のために、人々が一緒になることだった。

何年か前の僕自身を見ているような報道内容でした。読みながらあの当時のことを思い出した。

ほぼ毎週、土曜日の朝に特定地域のごみ拾いをやった。仲間も募った。日本人が中心だったが、たまに外国人も参加してくれた。当然ブータン人もいた。「いい取組だ」と言われた。でも、ブータン人は来なくなった。同じ職場の同僚であっても、来なくなった。最初から来なかった人の方が多かったけど。それで月曜朝には一緒に仕事してるんだから、やや人間不信にもなった。

それでも自己満足でやってんだから、まあ我慢はする。でも、僕らのごみ拾いを横目で見ながら歩いているブータン人から、「おい、ここにも落ちてるぞ」と指さされるのは悲しかった。そして、ほぼ毎週やったけど、ごみの量は減らなかった。

僕の黒歴史である。なので、二度目の赴任にあたって、「ごみを拾う」という活動は絶対やらないと心に誓い、こちらに来ている。もちろん、ごみを減らす努力、捨てない努力は個人的にしているけれど。

自分自身の経験上、得られた教訓はこんなところだろう。

①捨てる側の人をなんとかしないと、ごみは減らない。特に、ポイ捨ての主要構成ごみである、①ドマやモモの小袋、②ビール缶、瓶、③パックジュース、④スナック菓子の袋などは、売り方自体の見直しが必要だし、子どもの買い食い(立ち食い)を助長するような親の小遣いの渡し方とかお店の売り方とか、抜本的に見直さないとダメ。

②外国人にごみ拾いをさせてても、何の罪悪感もない。「外国人の私たちもやっているんだから、あなたたち地元民もちゃんとやりましょう」という外国人の論理は説得力がない。

③でも彼らはごみ拾いをやらないわけではない。年1回のイベントなら参加者もいて、終わったら集合写真を撮り、「やってます」感はアピールされる。でも、毎週とかになると続かない。イベントごとは好きだけど、続けることは難しい。

だから、ごみはさんざん捨てさせておいて、たまに清掃キャンペーンをやって、集合写真を撮り、インセンティブにパックジュースやミネラルウォーターが配布され、それが新たなごみの始まりになる―――というのが、今のこの国には最も合ったビジネスモデルなのだと思うことにしている。

だから、このBBSの報道はデジャブでしかなく、しかも案の定、外国人観光客にごみ拾いをさせることの罪悪感など感じられないし、捨てる側の行動・意識変容の必要性には何ら言及していないし、清掃活動に参加した外国人は数年前の僕と同じことを言っている。報じ方の順番も、外国人⇒主催したブータン人外部者⇒地元民となっていて、地元民のオーナーシップの弱さが感じられる。

この外国人観光客には、是非またブムタンを訪れてみて欲しい。また、ブータン駐在しているスイス人トレーナーには、1週間後にまたチャムカルを訪ねてみて欲しい。

さて、では僕はもうごみ問題について何にもやらないのかというとそういうわけではない。拾う方に焦点を当てるアプローチは取らないが、ごみを減らすアプローチをいくつか示すのが今の僕が、所属するファブラボの装備機械を利用して、できることかなと思っている。

1つめは、ビスケットやシリアルのパッケージの厚紙やボール紙の再利用。

2つめは、ヨーグルトやカップ麺のプラスチック容器をハックした新たな利用法の提示。

3つめは、アルミ缶の再利用。

4つめは、プラスチックごみの再利用。

PETボトルを3Dプリント用のフィラメントに加工する仕組みはCSTの4年生が卒業製作で考えているようだ。それじゃPLAやABSフィラメントを使った使用済みサポート材や3Dプリント失敗作品の再利用はどう考えるのかとその学生に訊いたら、絶句していた。学生も考え切れていない領域があるようだし、僕の任期も残り1年あるかないかなので、上記のうち、できるものからどんどん取り組んでいけたらと思う。
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