SSブログ

病院施設になった戦略研究機関 [ブータン]

プンツォリン、RIGSS構内に病院施設新設
Phuentshogling gets additional hospital established at RIGSS
Sonam Penjor記者(プンツォリン)、BBS、2022年3月2日(水)、
http://www.bbs.bt/news/?p=166297
RIGGS-becomes-hospital.jpg
【抄訳】
プンツォリンに新たな病院が追加される。国王の勅命により、王立ガバナンス戦略研修所(RIGSS)が母子保健病院に改装され、昨日から操業を開始したからだ。100人近い母子が様々なサービスを受けるために外来を訪れた。COVID-19感染増加を受けた暫定措置として位置付けられている。

RIGSSビルには南部COVID-19タスクフォース事務所が入所し、関係者だけが立入りしている。しかし、母子保健サービス機能がここで提供されることになり、女性や子どもが待合室でくつろぐ姿が見られるようになった。

mothe-n-child-pling.jpg

プンツォリンの陽性者増加を受け、母子保健病院は住民だけでなく、医療従事者にとっても大きな福音となった。「ウィルス感染者が多い中、病院を訪れるのはリスクが高いです。ここだったらとても便利。雰囲気もとてもいいです。この病院には休息スペースも十分設けられていて、ソーシャルディスタンスも十分確保できます」とケザン・デマさん。

「病院に行くと、長い列に並ばないといけません。ここならそれをしなくて済みます。その上、休憩するための十分なスペースがあります。テレビも見れます。本を読みたい人のための役に立ちそうな本もいっぱいあります。周りにはきれいな花が沢山咲いています。病院の周りの雰囲気もとてもいいです」というのはへマンタさん。

「この病院を私たちにプレゼントして下さった王様には感謝の気持ちでいっぱいです。病院はとても清潔で、誰にとっても便利です」とダワ・ノルブさん。

pling-Riggs-side.jpg

プンツォリン病院もまた、ここから歯科治療と眼科治療のサービスを行う計画である。ここは医療サービスが行われている駐車場に続く第三地区となる。プンツォリンには現在約2万人が暮らしているが、医療サービスを拡充することで、住民生活をより楽にしてくれるものと期待される。

RIGSSというのは、ティンプーから国道を使ってプンツォリンに向かった場合、リンチェンディンの入管局チェックポストを通過して最後の下り坂を下り、プンツォリンの市街地に入る入りっぱなの左手にあるちょっと大きなビルである。「王立ガバナンス戦略研修所」と訳したが、ここは高級官僚向けリーダーシップ研修や若手官僚向けリーダーシップ研修などを1カ月単位ぐらいで実施していて、様々な省庁から参加した同期の研修受講者の間では、組織を越えた強い人間関係が形成されるらしい。

このリーダーシップ研修には、セッション毎に結構な大物が講師として呼ばれる。少し前のJICAの所長がここに講師として食い込めないかと相当ロビイングを行った。その一環として様々なメディアに寄稿したりもしたが、それでも実現させられなかった。国連機関や世界銀行の所長は講師として呼ばれた実績が近年あるだけに、日本人としては忸怩たるものがある。

ここは研究部門も持っているのだが、あえて「研修所」と呼ばせていただいた。一度見学に行ったことがあるが、リーダーシップ研修が行われている期間であっても結構がらんとしていて、施設には余裕がある印象だった。図書館もあったが、設置間もない時期だったのか蔵書数は少なめで、研究員の長期駐在者はそれほどいなかった。

それで今回の報道である。RIGSSの施設には十分余裕があるため、プンツォリン病院の母子保健専門の別館として使用するのはありだと思う。暫定措置と報じられているが、何年かは続くのだろう。

気になったのは、それでRIGSSの機能は依然としてプンツォリンに残るのかどうかという点だった。それについては報道では何も言われていないが、RIGSSのFacebookページを見ると、「RIGSSが母子保健病院になった」と書かれており、少なくともRIGSSの機能は今後も残るのだろうなと想像はできる。但し、合宿型のリーダーシップ研修がプンツォリンで今行える状況ではないので、ちょっと前の報道だと、内地の「グリーン(安全)」エリアで行われているそうだが。


RIGSSは米国でいえば戦略国際問題研究所(CSIS)やブルッキングス研究所、シンガポールで言えばリー・クアンユー公共政策大学院のような立ち位置であろう。

最近JICAが全世界的に展開しようとしている「JICAチェア(日本研究講座設立支援事業)」をブータンに持ってくるとしたら、RIGSSが受け皿として最適なのではないかと僕は思っている。僕がプンツォリンに引越しさせてもらって、なおかつRIGSSに日本研究者がいてくれる状況があるのであれば、特定の時代の日本史についてはオタク級に語れる人間としては、意気投合できるのではないかと期待したくなるところだ。同様に、プンツォリンやチュカあたりで「日本の経験」に基づく何らかの事業を行う場合、RIGSSに日本研究者がいるなら彼(彼女)を巻き込んで共同研究者に仕立てるというのもありなんじゃないかと思う。

以上は、あくまでJICAチェアがRIGSSにできると想定しての僕の勝手な妄想である。

nice!(8)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 8

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント