プンツォリンはどうなってる? [ブータン]
プンツォリン住民、緩和を心待ちにする
P/Ling residents wait for relaxation
Rajesh Rai記者(プンツォリン)、Kuensel、2022年2月2日(水)、
https://kuenselonline.com/p-ling-residents-wait-for-relaxation/
【要約】
1)プンツォリン市民が今日からだと待ち望んでいたロックダウンの緩和は、市中感染者の増加を受けて実現困難となっている。昨日だけで、138人の新規陽性者が確認され、うち90人は市中感染、45人はその濃厚接触者、残る3人はインドからの持ち込みだった。
2)1月末に向けて、多くの市民が緩和を期待していたが、南部COVID-19タスクフォースは1月30日、ロックダウンを今日まで延長することを決めた。この決定は、1月30日時点での現地状況を勘案して現地タスクフォースが独自判断で緩和を決めても良いとの政府アナウンスを受けたものだった。このため、今日の追加緩和の発表が待たれたのだが、市中感染者の増加を受けて、それも困難となった。タスクフォースによると、1月21日以降、市中感染者の数は減少しはじめていたが、1月28日に19症例が確認されて以降、急増に転じたという。
3)保健省発表の全国状況アップデートによると、プンツォリン市内だけでh、290件の陽性者が市中で確認されている。
4)市民の間ではプレッシャーとフラストレーションが高まっている。民間被用者の1人は、プンツォリンでは1月中旬から市中感染者が出ているのに、マス・スクリーニングが行われていないと批判する。政府がティンプーに注力し過ぎているからだと述べる。政府はプンツォリンその他の南部地域を危険地帯と指定しているが、感染爆発が起きたのはワンデュポダンではないかと指摘する。別の住民は、市民は金銭的にも精神的にも最善の努力は尽くしているが、プンツォリン以外の地を外から見ているのとプンツォリン市内で自分たちが経験していることとは大きく違い、努力も限界に近付いていると述べる。
5)別の住民は、今こそウィルスといかに共生するかを学ぶ時だと述べる。「これは終わりのない物語です。政府はウイルスとの共存も選択肢だと捉えられる途を模索するべきだ。」日雇い賃金労働者と小規模ビジネスが最も損害を被っていると彼は指摘する。
6)市内繁華街の店主は、1月30日以降、お店はローテーション制で開店を許されており、以前は7店舗の開店が許されていたが、今はたったの2店舗だという。これでは2店舗に人が集中してしまうので、開店店舗数を増やして来店客を分散させた方がいい、宅配制度も有効な選択肢だと主張する。
7)中には、100%安全だと確認されるまで緩和は危険だと主張する市民も。あと1、2週間はかかると見込む。
8)市内でロックダウンを詳細に観察してきた市民は、ロックダウン解除にはマス・スクリーニングが必須だと述べる。各世帯から1人、食料品店に最も頻繁に行く家族がPCR検査を受けるべきだと主張する。
9)タスクフォースのメンバーによると、今のところ、トールサ地区の仮設住宅とアモチュ河岸地域においてクラスター検査が行われただけだという。仮設住宅地域は自己隔離環境下にあるため、感染拡大のホットスポットとなっている。1月31日には26人、昨日は29人の新規感染が確認され、トールサ地区の陽性者は、合計80人超にも及んでいる。
1月9日に「プンツォリン、72時間のロックダウン」という記事をブログでご紹介して、他人事のように僕もプンツォリンの感染拡大状況を見ていたのだが、1月中旬以降は足元のティンプーでも感染者がチラホラ出てきて、その後ロックダウンになってしまった。自分たちの身を守りながら、なんとか首都ロックダウンを耐え忍ぶことに僕自身の関心が移ってしまっていたから、プンツォリンの状況を追っていなかったのだが、たまにはプンツォリンの状況もアップデートした方がいいかと思い、本日はこの記事を取り上げた。
感染爆発の震源地は少し前まではプナカやワンディポダンと言われ、直近にはゲレフと言われた。そして今はティンプーでもチラホラと陽性者が出ている。その間、プンツォリンも結構な数の陽性者が確認されていたのだが、もうプンツォリンは陽性者が出て当たり前というような感じで扱われるようになってきている印象だった。
ティンプーでは、昨日(3日)から行動制限が緩和され、通行許可証(movement pass)を携行しなくても、同じゾーンの中なら徒歩ないし自転車で動き回れるようになった。お陰で久々の自由な外出と食材買出しができた。でも、この発表が首相府から出された2日夜以降、市中感染者を先週来出していないパロでは、「なんでパロはロックダウンの緩和措置が適用されないのか」との不満の声が高まったと聞く(パロの行動制限は、3日に緩和が発表された)。だから、プンツォリン市民がロックダウンの緩和措置を待ち望む気持ちはわからないでもない。
ただ、感染者数が三桁に及ぶような状況で、ロックダウンが解除できるかといったらやはり難しい。プンツォリン市民のストレスは理解できるが、ティンプーの1日当たりの新規感染者の数の割に行動制限がなかなか解除されないストレスもかなり大きい。「声の大きい」人も大勢住んでいるから、政府のシフトがどうしても首都に手厚くなってしまう。
だからといって、プンツォリンを放っておいていいわけでもないと思う。何度もブログでは述べているように、プンツォリン市民が市民生活に望みを持てなくなることは絶対にあってはならない。とはいっても自分の肩幅でできることも多くはないのだが、学生とともにCSTのキャンパス内に拠点を移すことができたあかつきには、コロナ後の「Build Back Better」をプンツォリンにインストールできるよう、学生とともにアイデア出しができたらと思っている。
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