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『日本人-ユニークさの源泉』 [仕事の小ネタ]

日本人―ユニークさの源泉

日本人―ユニークさの源泉

  • 出版社/メーカー: サイマル出版会
  • 発売日: 2021/04/24
  • メディア: 単行本
内容紹介
なぜ日本人は誤解されるか―――。日本の異質性を学際的に追求し、グループ社会・日本の魅力とジレンマに脚光を浴びせた豪州新鋭知日派の野心的日本擁護論。ついに探りあてた日本の本質。
【購入】
これは、僕が1980年代前半に学生だった頃に購入した、今はなきサイマル出版会から出た本だ。初版は1977年に出ているが、僕が購入したのは1983年の新版である。今となっては購入の経緯はわからないが、当時僕は大学2年生で、著者が当時経済学部教授を務められていた上智大学に通っていたので、購買部に平積みにされていたのを購入したんだろう。

大学卒業後、僕は大学時代に購入した書籍を全部岐阜の実家に引き揚げ、そこで30年以上蔵書として眠らせていたが、母に言われてここ2年前から蔵書の断捨離をコツコツ進めてきた。当時の蔵書を見渡してみると、サイマル出版会の本がかなり目立つ。国際関係論とか日本人論とかの扱いが多い出版社だから、当時は勢いがあった。

多くの蔵書は、断捨離の過程で処分してしまったのだが、クラーク先生のこの本は、処分する前に一度読み返しておこうと思い、捨てずに再び東京に持ち帰って自宅の書棚に立てかけた。日本研究や日本人論の名著はキープしておいて、当時やっていた仕事の参考にしようと考えていたのだが、その部署での在籍はわずか1年、しかも最後の4カ月は上司からパワハラまがいのマイクロマネジメントを受けて心身ともに疲れ果てていたので、趣味の読書でまで仕事絡みのことをしたいとなかなか思えなかった。

それから1年が経過して今読もうと思ったのは、本書の処分についての判断を今したかったからである。

そして、結論は、この本はエドウィン・ライシャワー『ザ・ジャパニーズ』文庫版とともに、次の任国に携行することにした。

原書刊行から45年も経過しているため、著者がユニークさの源泉として求めた日本人の集団主義については、いささか今の状況とは合わなくなってきているような気もする。こういう本を読んで90年代に社会人になった僕らは、群れるのを良しとしない「新人類」と呼ばれた世代であるが、その僕らから見ていても、今の若い人たちの方がもっと集団主義とは表現しづらくなってきているように思う。それっぽい名残は、TBSテレビ日曜劇場『半沢直樹』や『下町ロケット』といったシリーズで感じることがあるが、それらが高視聴率を得たのは、それらに対するノスタルジーもあるような気がする。

佐藤栄作や田中角栄、三木武夫といった歴代総理が出てきて当時の政治が論じられているあたり、議論の古さはどうしても感じざるを得ないのだが、なんで日本が戦後1970年頃まで急速に経済発展を遂げることができたのかという、開発途上国で駐在していて時々現地の方との議論になるのはこの当時までの日本のサクセスストーリーであることが多いから、会話のネタ本としては依然として有用だ。ライシャワーの著書の方も近々読み直して再確認するつもりではいるが、それとの比較においても、クラーク先生の本で扱われているようなテーマの方が確実に相手が知りたいことだと言えよう。

そういう使い方をしばらくは行ってみるので、今回曖昧にしか理解できなかったことも、いずれ精読してどんどんつぶしていきたい。ということで、本書は段ボール箱行き。来週はこのパッキングを終え、任国に向けて荷物を発送する予定だ。(経由地インドがコロナ感染爆発でとんでもない状況になっているので、すんなり飛べるかどうか雲行きが怪しくなってきたが…)


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