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これは便利なプラットフォーム [ブータン]

なんとなくの予感はあったのですが、今月に入ってからも大切なお客様をお迎えしたり、自分自身が重要な会議で発表したりする日程が続きました。新聞も適当に斜め読みすることが多く、ゆっくり考察してブログを書くというのが全然できていませんでした。今日は祭日なので、取りあえずは1つぐらいアップしておこうと思い、PCに向かっています。これから2週間ほどは、もうちょっと頻度を上げられたらと思っています。

スタートアップ・ウイークエンド始まる
Startup Weekend begins in Phuentsholing
Kuensel、2017年10月28日、Rajesh Rai記者(プンツォリン)
http://www.kuenselonline.com/startup-weekend-begins-in-phuentsholing/

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スタートアップ・ウイークエンド、規模拡大へ
Startup Weekend to get bigger
Kuensel、2017年10月31日、Rajesh Rai記者(プンツォリン)
http://www.kuenselonline.com/startup-weekend-to-get-bigger/

2017-10-31 Kuensel.jpg

【ポイント】
10月27日(金)から29日(日)まで、南部プンツォリンにある王立ブータン大学科学技術カレッジ(CST)で、「スタートアップ・ウィークエンド」というイベントが開催された。これは、国内各カレッジの学生や一般の起業家が参加し、自分のアイデアをピッチするもの。最も優れた起業アイデアの上位3点までが表彰の対象となる。主催はティンプー・テックパーク、テックスターズ社、情報通信省IT通信局(DITT)、国連開発計画(UNDP)。

約80点ものアイデアがピッチされ、うち16点が最終ステージに進み、プレゼンやデモ等が行われた。結果第1位に選ばれたのは、ナムゲル・ドルジ君のグループが発表した「bundle.bt」。ティンプーとプンツォリンの間を結ぶクーリエサービスで、専用アプリを使ったプラットフォームビジネス。小包を送りたい人と車で移動する人がユーザー登録し、マッチングできれば、移動する人はbundle.btのデポセンターに行き、先に送付希望者がそこに預けた小包を引き取り、これを目的地のデポセンターまで搬送する。ナムゲル・ドルジ君は、アマゾンがブータン国内への配送を行っておらず、書籍がインド側のジャイガオンにまでしか届かないことを知り、このギャップを埋めたいと思ってこのサービスを思いついた。

第2位は、ペマ・シンゲ君のグループが考案した、「スマート・ミルク・クリーム分離機(SMCS)」。牛乳からバターを分離する装置で、同種の装置は既に存在するが、ペマ・シンゲ君のグループは、これをより操作しやすいものに改良したという。

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今から4年前に、平野敦士カール、アンドレイ・ハギウ著『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社、2010年)という本を紹介した。それ以来忘れていた言葉だったが、先月初旬、たまたま読んだ週刊エコノミストに横山和輝「プラットフォームとしての「楽市楽座」」というコラムを見つけ、それをヒントに構成を考え、英文のペーパーを1本書いた。

横山によると、プラットフォーム・ビジネスの特徴は次の4つだという。
①サービスを提供する「供給側」は独占状態、
②サービスを利用する「需要側」は異なるタイプの利用者が混在、
③利用者のタイプごとに供給側が利用料を設定できる、
④それぞれのタイプの利用者が増えることで互いの利用者の満足度が増える。
―――bundle.btって、まさにこのプラットフォーム・ビジネスだ。

因みに、先に紹介した平野敦士カール他著『プラットフォーム戦略』にもプラットフォームの定義があったが、これもおおむねこの4項目に合致する表現で書かれている。

これをbundle.btに当てはめてみると、①利用者はbundle.btが供給するスマホアプリをダウンロードする。②利用者には託送依頼人と託送受取人、それに搬送を担当する車の所有者の3タイプがある。③アプリを供給するbundle.btは、託送依頼人または受取人から手数料を徴収し、車の所有者からは手数料は徴収しない。④依頼人、受取人、車の所有者、それぞれの利用者が増えなければ、利用者の満足度は上がらない。

可能性としては、かなり儲かるビジネスになるかもしれない。いいところに目をつけたなと感心する。

実際、ティンプーで手に入らないものはプンツォリンに行って、インド側のジャイガオンで購入しているとはよく聞く話だし、この区間は交通量も多い。うまく行けば、パロやプナカあたりまではサービス拡大できる可能性があると思う。

第2位になった分離機は、仕様がわからないのでなんともいえないが、割とこの国によくある従来型の機器にちょっと工夫を施しましたというタイプのものなのかなと想像はする。カスタマイゼーションがイノベーションじゃないというつもりはないが、ユーザーフレンドリーでなかったものをユーザーフレンドリーにしたと言っても、どこをどうしたのかよくわからない。「クリーム」と記事には書かれていたが、ブータンには生クリームがないらしいので、ここで生クリームでも作れる機械を考案したら、少なくとも在留邦人のスイーツ派には受けるのではないかと思う。

それにしてもよくわからないのは、この記事、単にアイデアをピッチしただけなのか、実際にアイデアを形にした試作品のプレゼンまでやった応募者がいたのか、という点だ。漠然としたアイデアや問題意識をピッチだけじゃなく、ある程度までは作品を仕上げた上で、広く提案を募るようなオープンなプロセスなら会場で何らかのイノベーションが起こりそうで面白いが、単に応募しました入選(または落選)しましたというだけなら、ちょっとね。できれば、本当にアイデアをビジネスとして立ち上げて欲しい。選ばれなかった残りのアイデアも、どんなものが合ったのかを見られると面白いのだが。

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