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ティンプーのゴミ問題(その1) [ブータン]

7月下旬になり、ティンプーのゴミ問題に関連する記事が度々紙面を賑わすようになってきた。多分そのきっかけは、7月21日に実施合意書の署名が行われたJICAの草の根技術協力事業だろう。報道のされ方はそれぞれ視点が異なるが、ゴミ問題という括りでまとめて1つの記事としてご紹介してみたいと思う。

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メメラカ処分場は、満杯の今もゴミ廃棄場として稼働中
Filled up Memelakha still used for garbage disposal
BBS、2017年7月31日、Samten Dolkar通信員(ティンプー)
http://www.bbs.bt/news/?p=77323

2017-7-31 BBS.jpg

【ポイント】
15年前にその容量をオーバーしたティンプーのメメラカ処分場は今もゴミ廃棄場として使用されている。処分場は1994年に建設され、8年分のゴミの廃棄場として使用されることになっていた。

毎日、ここにはトラック18台、「ドライ」「ウェット」合わせて約51トンのゴミが運ばれてくる。ティンプー市役所によれば、これは新しい処分場の建設に適した用地が不足しているからだという。

この処分場に対する圧力は、昨年、セルビタンの処分場が閉鎖されて以降、より大きくなった。市内の全ての場所から回収されたゴミは全てメメルカ処分場に廃棄されるようになっている。

「もし地滑りでもあると、処分場のすぐ下を走っている国道に大きなリスクをもたらすかもしれません。その上、将来的に廃棄物の中からより多くの液体が出てくるようになると、地下水を汚染する可能性があります」――こう述べるのは、ティンプー市役所の環境事務官であるプブ・ツェリン氏だ。

メメルカ処分場での問題点を最小化するため、市では処分場の用地面積を拡大し、地下水汚染を避けるため、浸出する水を集めて貯蔵するタンクの建設を行った。民間企業であるグリーン・ロード社は、処分場の廃棄プラスチックを道路建設に利用している。処分場のさらなる拡張に向けた調査も現在進められている。

一方、原料回収施設がティンプー南部のガベロンチュに建設中。ここではプラスチックやペットボトルと乾燥廃棄物を分別し、リサイクルに付す施設が作られる予定。

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ティンプー市、増えるゴミの問題に取り組む
Thimphu grapples with mounting waste
Kuensel、2017年7月27日、Dechen Tshomo記者
http://www.kuenselonline.com/thimphu-grapples-with-mounting-waste/

【ポイント】
メメラカ処分場に搬入されるゴミは1日約51トン。これは、2015年7月にセルビタンの堆肥製造所が閉鎖されてから膨れ上がったもので、1994年にメメラカ処分場ができた当初の搬入量が1日8トンだったことと比較すると6倍にも増えている。このため、10年持つことを想定して整備された処分場は、既に13年前にその許容量をオーバーし、今日に至っている。

現在、ここでは上部に「ドライ(乾燥ゴミ)」、下部に「ウェット(生ごみ)」を投棄している。しかし、雨期になると上部にトラックが上っていくことが難しいため、下部のピットに投棄することを市は認めている。結局家庭で「ドライ」「ウェット」を分別しても、処分場での投棄が同じピットで行われる結果となっている、ティンプー市長は、新たな堆肥製造所かバイオガスプラントができるまでは、メメラカ処分場の投棄の実態をモニタリングするのは難しいとしている。しかし、堆肥やバイオガスを生産する新たなプラントの建設計画は今のところない。

市長によれば、現在、市は、堆肥化の速度を速めるか、メメラカにバイオガスプラントを建設するか、いずれかの技術の導入を検討しているとのこと。メメラカは生ごみ処分には向いている立地。市職員を今年初め、インドのプネとアーメダバードに派遣するとともに、処分場運営に必要な資金をインドから支援を得ている。

一方、乾燥ゴミのうち、リサイクル可能なゴミは、回収業務を受注するグリーナー・ウェイ社が現在建設中のガビロンチュの中継所で分別される。この中継所は7月中に完成する予定だったが、一部機材の搬入の遅れにより、9月に完成が持ち越しとなっている。これができるとリサイクル不可能な乾燥ゴミは乾燥ゴミ全体の10~15%にまで圧縮され、これと生ごみがメメラカに搬入される仕組みができる。

グリーナー・ウェイがティンプー中部および南部のゴミ回収を市から受注して以降、家庭でのゴミ分別が進み、堆肥製造所に持ち込まれる生ごみの量が増えた。外注以前の生ごみは1カ月当たりトラック5台分だったが、グリーナー・ウェイ社とクリーン・シティ社が回収を請け負うようになって、その量はトラック100台分にまで増えた。2008年に作られたセルビタンの堆肥製造所の処理能力は1日25トン。トラック100台分もの生ごみを処理する能力はない。セルビタンには処理前の生ごみが積み上がり、新たな処分場のような様相を呈してきた。放たれる悪臭のために住民から苦情が寄せられ、このため市は両社に対し、生ごみはセルビタンではなくメメラカに持ち込むよう指示。残されたセルビタンの生ごみを全て堆肥化するのに7カ月以上を要した。

市はセルビタンの土地を職業訓練校(TTI)に提供する予定。1カ月トラック5台分の処理能力でも5人の要員配置が必要だった堆肥製造所を続けることは、「資源の無駄」だと市長は述べている。

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この2つの記事はメメラカ処分場の現状と、その原因となった生ごみ処分、乾燥ゴミリサイクルの現状について把握するにはとてもありがたい記事である。クエンセルに至っては、同日付の社説でもこの問題を取り上げ、問題から目を逸らさず、ちゃんと向き合って行動で示せと主張している(”Dealing with our waste"、7月27日)。口ばっかりじゃなく行動をと呼びかけるが、その社説も口ばっかりで具体的な方法論を示していないのだが(苦笑)。

どうせなら、僕が以前主張した大型焼却炉の可能性も直視して欲しいと思う。それくらいのことまで踏み込んで主張したら、クエンセルの社説もなかなかだと思う。

なにせ新たな処分場を造成するような土地など潤沢にあるわけじゃないのだから、今の処分場のキャパでも運用できるよう、3Rを究極的に実施していくしかないのである。

ここまで書いて随分スペースを取ったので、ゴミに関する別の課題は次の記事で紹介することにする。

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松川佑依子

ティンプー
by 松川佑依子 (2019-07-13 19:07) 

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