トウガラシ危機？ [ブータン]
新鮮かつ安全な唐辛子、日曜日に野菜市場へ
Fresh, safe chillies to hit CFM on Sunday
Kuensel、2016年12月3日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/fresh-safe-chillies-to-hit-cfm-on-sunday/
【ポイント】
政府は、品薄状態に陥っている唐辛子の価格を安定化させるため、毎週20トン超の唐辛子をインド・コルカタから輸入することを決めた。その第１陣は、12月4日（日）にチャーター便でパロ空港に到着。ティンプー市場には同日中に並ぶ予定。これにより、キロ400ニュルタム以上で取引されていた唐辛子の価格は50ニュルタム以下にまで下がることが期待される。
この唐辛子価格の高騰は、農業食料規制庁（BAFRA）の行ったインド産野菜のテストで、ファラカタ産唐辛子で基準値を超える残留農薬が検出されたことに端を発する。BAFRAは今年に入ってから、カリフラワーや豆類、唐辛子等の残留農薬のテストを行い、基準値を上回る野菜については輸入を禁止する措置を取っている。
12月から2月までの3カ月間で、ブータンで消費される唐辛子は約1,527トン。年間輸入高2,291トンの3分の2が、この3カ月間で消費される。これを国内生産で賄うとすると、ブータンでは1エーカー当たり平均1.98トンの唐辛子の生産が行われているため、少なくとも771エーカーの農地での作付が必要となる計算。
政府は当面、毎週20トン前後の緊急輸入を続ける。国内産の唐辛子が市場に出回るのは、来年2月上旬になる見込み。
ブータン人にとって、唐辛子（チリ）は食事に欠かせない必須アイテムである。「チリのない人生なんてあり得ない（No chilli, no life）」というフレーズを、違う人から何度か聞かされたことがある。多くの方がご存知だと思うが、ブータン料理といったら唐辛子をふんだんに使った激辛のラインナップになる。僕はお陰で何度かお腹の調子を崩したこともあり、こんなに唐辛子を使わなくてもいいのに…とブータン料理を恨めしく思ったりもしてきた。
ただ、エゼやエマダツィといったカプサイシンたっぷりの食事を取れば、体がほてってくるのも間違いない。特に冬場の朝方の最低気温が零度を下回るのが当たり前の季節になると、こんな食べ物でも取って体を中から温めるというのもありかと思えてくる。もっとも、自炊生活を送っている僕が自ら唐辛子をガンガン使った料理を自分で作っているわけではないが。
そんな季節に、なんと唐辛子が品薄状態に陥り、店頭取引価格がキロ200ニュルタムにも達するという高騰を見せているという。直接のきっかけは、BAFRAが行ったインド・ファラカタ産唐辛子の禁輸措置で、これ自体は今年の春頃から度々紙面を賑わせてきていたものだが、ここに来てブータンの国内需要が高まる時期を迎え、問題が深刻化したということのようである。
農業大臣は、これは季節変動要因によるもので、今は輸入超過に一時的になってしまうが、年間を通じてみると、ブータンは唐辛子の純輸出国なのだと強調されていた。
でも、本当にそうだろうか。僕は9年前の10月にブータンを訪れたことがあるが、その時に農村で見かけた光景は、各民家のトタン屋根が、日干しにされた唐辛子で真っ赤に彩られた様子だった。黄金色に実った稲田に真っ赤な民家の屋根のコントラストが印象的で、僕は今年10月、同じ民家を写真におさめようと思ってパロにまで出かけたが、日干しの唐辛子の数が明らかに減っていた。勿論、それはたまたま偶然だっただけなのかもしれないが。
ひょっとしたら、唐辛子の作付面積って、減ってきているんじゃないか―――。この記事を読んで、そんなことを感じた。まあ、あまりどぎつい辛さの食べ物は控えた方が体にもいいとは思いますが、そういう方向にはならないようで。
さて、余談ながら、こういう唐辛子なしの人生など無意味だと嘯くブータン人には受け入られるのか、この時期になって近所のゼネラルストア（雑貨屋さん）で、チリ・バタークッキーなるスナックを発見した。これもインド・バンガロール製である。ひと口かじるとちょっと変わった味のクッキーだが、これが食べ終わる頃には口の中に辛さが広がる。冬場のスナックには良いかも。
唐辛子緊急輸入の記事は、その後もたびたびクエンセルで取り上げられているが、ちょっと古いが代表的なものとして、12月3日付けトップ記事をご紹介することにした。
Fresh, safe chillies to hit CFM on Sunday
Kuensel、2016年12月3日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/fresh-safe-chillies-to-hit-cfm-on-sunday/
【ポイント】
政府は、品薄状態に陥っている唐辛子の価格を安定化させるため、毎週20トン超の唐辛子をインド・コルカタから輸入することを決めた。その第１陣は、12月4日（日）にチャーター便でパロ空港に到着。ティンプー市場には同日中に並ぶ予定。これにより、キロ400ニュルタム以上で取引されていた唐辛子の価格は50ニュルタム以下にまで下がることが期待される。
この唐辛子価格の高騰は、農業食料規制庁（BAFRA）の行ったインド産野菜のテストで、ファラカタ産唐辛子で基準値を超える残留農薬が検出されたことに端を発する。BAFRAは今年に入ってから、カリフラワーや豆類、唐辛子等の残留農薬のテストを行い、基準値を上回る野菜については輸入を禁止する措置を取っている。
12月から2月までの3カ月間で、ブータンで消費される唐辛子は約1,527トン。年間輸入高2,291トンの3分の2が、この3カ月間で消費される。これを国内生産で賄うとすると、ブータンでは1エーカー当たり平均1.98トンの唐辛子の生産が行われているため、少なくとも771エーカーの農地での作付が必要となる計算。
政府は当面、毎週20トン前後の緊急輸入を続ける。国内産の唐辛子が市場に出回るのは、来年2月上旬になる見込み。
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ブータン人にとって、唐辛子（チリ）は食事に欠かせない必須アイテムである。「チリのない人生なんてあり得ない（No chilli, no life）」というフレーズを、違う人から何度か聞かされたことがある。多くの方がご存知だと思うが、ブータン料理といったら唐辛子をふんだんに使った激辛のラインナップになる。僕はお陰で何度かお腹の調子を崩したこともあり、こんなに唐辛子を使わなくてもいいのに…とブータン料理を恨めしく思ったりもしてきた。
ただ、エゼやエマダツィといったカプサイシンたっぷりの食事を取れば、体がほてってくるのも間違いない。特に冬場の朝方の最低気温が零度を下回るのが当たり前の季節になると、こんな食べ物でも取って体を中から温めるというのもありかと思えてくる。もっとも、自炊生活を送っている僕が自ら唐辛子をガンガン使った料理を自分で作っているわけではないが。
そんな季節に、なんと唐辛子が品薄状態に陥り、店頭取引価格がキロ200ニュルタムにも達するという高騰を見せているという。直接のきっかけは、BAFRAが行ったインド・ファラカタ産唐辛子の禁輸措置で、これ自体は今年の春頃から度々紙面を賑わせてきていたものだが、ここに来てブータンの国内需要が高まる時期を迎え、問題が深刻化したということのようである。
農業大臣は、これは季節変動要因によるもので、今は輸入超過に一時的になってしまうが、年間を通じてみると、ブータンは唐辛子の純輸出国なのだと強調されていた。
でも、本当にそうだろうか。僕は9年前の10月にブータンを訪れたことがあるが、その時に農村で見かけた光景は、各民家のトタン屋根が、日干しにされた唐辛子で真っ赤に彩られた様子だった。黄金色に実った稲田に真っ赤な民家の屋根のコントラストが印象的で、僕は今年10月、同じ民家を写真におさめようと思ってパロにまで出かけたが、日干しの唐辛子の数が明らかに減っていた。勿論、それはたまたま偶然だっただけなのかもしれないが。
ひょっとしたら、唐辛子の作付面積って、減ってきているんじゃないか―――。この記事を読んで、そんなことを感じた。まあ、あまりどぎつい辛さの食べ物は控えた方が体にもいいとは思いますが、そういう方向にはならないようで。
さて、余談ながら、こういう唐辛子なしの人生など無意味だと嘯くブータン人には受け入られるのか、この時期になって近所のゼネラルストア（雑貨屋さん）で、チリ・バタークッキーなるスナックを発見した。これもインド・バンガロール製である。ひと口かじるとちょっと変わった味のクッキーだが、これが食べ終わる頃には口の中に辛さが広がる。冬場のスナックには良いかも。
唐辛子緊急輸入の記事は、その後もたびたびクエンセルで取り上げられているが、ちょっと古いが代表的なものとして、12月3日付けトップ記事をご紹介することにした。
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