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『日曜日のアニメが待ち遠しい』 [読書日記]

水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす

水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす

  • 作者: トリスタン ブルネ
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2015/08/03
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
1970年代末、フランスの子どもたちはみんな日本アニメに夢中になった―。激しいバッシングや創造的な誤解を巻き起こしながらもアニメやマンガはやがて彼らの人生や世界観に大きな影響を与えるまでになった。日本のサブカルチャーはなぜフランスの若者をこれほど熱狂させるこことになったのか。自身の経験を踏まえてフランス人オタク第一世代の著者が解き明かす。

半年ほど前に発刊されて書評でよく取り上げられていた1冊。なんだかこのところブログでサブカルを取りあげた本をよく紹介している気がしないでもないが、この本も悪くはない。

フランスでなんで日本のマンガやアニメが受けるのか、この現象はなかなか理解できない。フランスのオタク第一世代の著者がこうしてアカデミックな観点から1970年代以降の年代記をまとめてくれたおかげで、かなり詳しくその経緯を理解することができた。

面白かったのは、フランスの子どもたちがハマった最初の日本アニメが『UFOロボ・グレンダイザー』だったという点。僕たちは『マジンガーZ』世代なので、『グレンダイザー』における兜光児の位置付けが結構微妙で、最終回までちゃんと見た記憶がない。ただ、コックピットのメカニックだけはカッコ良すぎて、よく自分たちで描いたりしていた。(小6の頃の作品なので、僕らはそこでメカニックの落書きで練習を重ね、その成果が中学時代のスーパーカーの落書きにつながっていったのである。)なんで『マジンガーZ』じゃなかったんだろうか。その疑問は本書でご確認下さい。

1978年夏の水曜日の午後に『グレンダイザー』に遭遇した著者たちは、続けて放映された『キャンディ・キャンディ』、『キャプテン・ハーロック』などでがっちりとハートをつかまれた。通っていた学校で話題にすることはなかったものの、家庭の兄弟の間では情報がシェアされていく。途中オタクを中断する期間はあったものの、やがて復帰すると、著者は『北斗の拳』の原作マンガの仏語翻訳を手がけたりされて、日本のアニメ・オタク文化研究の第一人者のフランス人となっていった。

僕らは日本のアニメを普通に見て育ったからあまり気にしていなかったけど、日本のアニメの登場人物の国際性とか、悪人側にもドラマがあり、悪事を働く事情があることを描いていたりするというのは、外国人から見ると驚きらしい。『サイボーグ009』や『マッハGo!Go!Go!』、『新造人間キャシャーン』あたりを見ていると、これはどこの話かわからなくなるし、『機動戦士ガンダム』のホワイトベースのクルーたちは、そもそも国籍自体が不明だ。また、日本サンライズ系のアニメは、敵方にも人気キャラが生まれるケースが多い。『ガンダム』のシャア以前にも、『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキン、『闘将ダイモス』のリヒテル提督といった美形敵キャラがいた。

欲を言うともう少し口絵挿入があると良かったかもしれない。本当にオタクなのかと想像していたが結構内容はアカデミックなトーンで書かれているので、どのアニメがフランスでヒットしたのかを知りたければ、多少の飛ばし読みをしても許されるだろう。

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