五段合格 [ご挨拶]
来年4月には五段受験資格が発生しますが、今の僕の剣道では、多分合格自体が相当難しいと思っています。特に、今年は6月頃から仕事が忙しくて、8月には無理がたたって体調を崩し、10月以降も休日出勤や休日イベント参加が多くて稽古が休みがちになりました。そんな中で、ご指導下さっている先生方から、「我慢が足りない、攻めがない」と言われ続けており、一時は何が何だかわからなくなってしまったこともあります。
昨年大晦日のブログで、僕はこんな弱音を吐いていました。会社の剣道部の11月の稽古会で、直後に四段審査を受験する同僚の実技審査の模擬審査を全員でやってみた際、僕の攻めがほとんど効いておらず、逆に相手に面を引き出されて応じ技でポイントを取られることの繰り返し。いつも指導に来て下さるH先生の言葉もなかなか頭に入らず、パニックに陥りました。何をやってもうまくいかず、何をやればいいのかがまったくわからず、どん底の状態を味わいました。今すぐ五段受験したら絶対実技で不合格だろうと思いましたが、幸い五段審査の権利発生は今年4月だったので、これだけ落ちたら調子はいずれ上向いてくるだろうと前向きにとらえていました。
新年になり、道場の先生方も五段審査を意識したご指導に変わっていきました。地稽古をお願いしても気付いたところでは稽古をやめてチェックをして下さるようになりました。そこで言われたのは、「今の状態だったら五段は微妙」というメッセージでした。
浮上のきっかけをつかんだと思ったのは、1月の会社の稽古会でした。いつものH先生が休まれ、K先生が攻めを意識した指導をして下さいました。これが僕には非常にシンプルでわかりやすかった。その直後に市の剣道連盟が開いて下さった四段五段講習会でもそれを意識して立会いに臨んだところ、これもまずまずの感触でした。但し、ここでも新たなことを教わりましたし、また「気剣体一致」の「気」が十分出ていないとの指摘も受けました。
一方、体勢についても見直しました。11月に行われた自分の試合の写真を見て、まだ前のめりになっている自分の姿勢は十分改善されていないのに気づきました。1月末に行われた官公庁剣道連盟主催の月例稽古会で、元立ちをされていた先生の姿勢を参考にし、竹刀を持つ左拳の位置を少し下げ、体重を意識的に左足に乗せる構えを意識するようになりました。
そうするうちに、少しずつ自分の剣道も変わっていった気がします。打ち急がず、じっくり攻めること、左足に体重を乗せて、右足は相手に向かっていくことが、少しずつですができるようになってきました。ただ、ピークが3月中旬に来てしまった感があり、このタイミングで昇段審査があったら、まあなんとか行けるだろうと思っていました。
それからの3週間は、思ったように稽古機会を設けることができませんでした。1つには異動に伴う送別会等の宴会が続き、ひどい時は7日間連続という時もありました。これに追い打ちをかけたのが花粉症です。僕はスギ花粉のアレルギーはさほどでもないのですが、3月中旬頃から飛散を始めるイヌシデの花粉が苦手で、まさにこのイヌシデの大木が自宅の向かいの神社に生えているポジションは最悪と言えます。毎年悩まされているこの花粉症ですが、くしゃみと鼻水が止まらなくなるという症状が今年は例年よりもひどく、たまりかねて医者に行き、薬を処方してもらったのが審査の2週間前。お陰で4月に入って最初の道場稽古を欠席せざるをえなくなりました。
そこからは、先ずは最初の1週は10日のハーフマラソン出場に向けた走り込みに充て、次の1週間は五段審査の準備に充てました。審査当日までにできた稽古は4回。かなり急ピッチの仕上げでした。いろいろなところにあざを作り、膝もずっと違和感がある状態でした。
《審査会場。場所は東京武道館(綾瀬)》
そして当日―――。
寝違えたのか左の首が痛くて首を曲げられない状態に陥りました。まったく、50代の体調は急変しやすいと苦笑いです。幸い、竹刀を振るのに支障はなさそうだったので、予定通り審査に臨みました。
ほぼ同年代の2人と行う実技審査では、お二人とも先に立ち合いを一度行われたので、それを観察して、どのように攻めるか頭の中で考えました。お二人とも自分よりも背が低いので、胴は捨てて、面から攻めるしかないと考えていました。
一人目は、初太刀で面がきれいに入りました。自分から攻めて、先々の先で繰り出した面は会心の一本でした。その後も攻め続け、相打ちでも、抜かれても、とにかく「これがオレの剣」だと開き直り、打ち切ることに徹しました。
二人目は女性剣士でした。身長差があり過ぎること、1回目の立ち合いでどうも今日は小手がイマイチだと感じていたことなどから、2回目の立ち合いでは面のバリエーションだけで見せようと心がけました。初太刀で面がきれいに決まった後は、攻めて攻めての刺し面、大きい面、小手面二段打ちなどが思い通りに決まりました。
立ち合いを終えた段階で、これは合格しただろうと確信していました。僕のいたグループでは、25人の受験者のうち、実技審査で合格したのは4名のみという結果でした。上背があるというのはありがたいことだと思います。
その後の形審査はまったく問題ありませんでした。これも、市の剣連主催の日本剣道形講習会に2年通っていたので、体がちゃんと覚えており、直前に点検のために仕太刀、打太刀それぞれ1回やってみて、十分いけると思っていました。ただ、折角実技をクリアした4名のうち、1名は形審査で不合格となってしまいました。
もう1つ、学科試験というのもありますが、事前に問題が発表され、それについて事前に作文して、当日はそれを提出するだけだったので、よほどのことがない限り、学科で落とされることはないと思います。
こうして、僕の五段受験は見事一発合格という形で終わりました。4年間これに向けて稽古に取り組んできただけに、海外赴任直前のこのタイミングで、権利発生とほぼ同時に受験して、一発で結果が出たというのは、とてもありがたいことです。
「還暦までに六段」というのが僕の長年言い続けている夢です。52歳で五段合格を果たした今、順調なら57歳で六段受験できるので、ここ数カ月の間に先生方から教わり、少しずつ取り入れてきたことを、確実にものにして自分の欠点を矯正していく努力を、海外駐在員生活中も心がけていきたいです。
これまでご指導を下さった諸先生方、稽古の相手を務めて下さった多くの剣友の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
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