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『黒田官兵衛』 [読書日記]

黒田官兵衛: 智謀の戦国軍師 (平凡社新書)

黒田官兵衛: 智謀の戦国軍師 (平凡社新書)

  • 作者: 小和田 哲男
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2013/11/19
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
官兵衛なしに、戦国時代を終えられただろうか―。戦っては「孫子の兵法」をみごとなまでに実践し、剣を交えぬ「謀」においても卓越した成果を残した官兵衛。自らの主君であり、天下人である秀吉にさえ恐れられた戦国随一の知性は、いかにして誕生し、その能力を発揮したのか。中国大返し、賎ヶ岳、石垣原など、数々のエピソードとともに綴る。トップに立てる力を持ちながら、補佐役に徹した“智謀の軍師”の生涯。

大河ドラマ『軍師官兵衛』の放送が終了しても、まだ気持ちが切り替わらないでおります。黒田官兵衛の生涯を振り返れば当たり前のことなのだが、最後の最後に「九州の関ヶ原」とも呼ばれる石垣原の合戦があり、黒田如水の夢だった九州統一が思いの他早かった関ヶ原の決着のために頓挫して、そしてすぐに最終回を迎えた。例年の大河ドラマは、クライマックスがもっと早く、9月か10月頃に設定されていて、11月以降のストーリーは残り火のような感じで興味を失っていくことが多かったが、『軍師官兵衛』は土壇場に第二のクライマックスが用意されているので、最後の最後まで楽しみに見ることができたのである。

その余韻が冷めやらぬうちに新年を迎えたので、すぐに切り替えて今年の大河ドラマ『花燃ゆ』に入っていけないのだ。タイトルが『草燃ゆる』と似ているのもさることながら、僕はそもそも井上真央さんがあまり好きではないので。朝ドラでも、『てっぱん』と『カーネーション』はちゃんと見ていたのに、『おひさま』だけはどうもダメだった。

まあそんなことはともかく、年末近所の市立図書館に行った際、たまたま歴史書コーナーを物色していて手軽な新書サイズの官兵衛ものを発見したので、冬休みの読書として借りてみることにしたのが本日ご紹介の本。

著者は大河ドラマの時代考証を担当されている方で、本書の出版年を考えれば、大河ドラマ放送開始前に官兵衛の生涯を包括的に描いた解説本でも出しておけば売れるだろうという出版社の思惑が透けて見えるようだ。従って、書かれている内容も大河ドラマにかなり忠実で、読むだけで大河ドラマの総集編を見ているような錯覚を覚える。

ただ、歴史的には解釈が割れる出来事も幾つかあった筈で、ましてや後世の人にとっては都合の悪いような事情は伏せられた二次史料をベースに書かれているので、この本を鵜呑みにするわけにもいかないと思う。渡邉大門氏が批判していた二次史料依存をこの本は犯している。

また、こうしておさらいをしてみて気付いたのだが、ドラマの前半に登場した人々が後半に登場した人々とうまくつながっていない脚本の不誠実さも垣間見えた気もする。例えば、陣内孝則さんが演じた宇喜多直家が秀吉に「くれぐれも」と言って後見を託した宇喜多秀家は、ドラマ後半の朝鮮出兵から突然登場してきており、唐突感があったし、官兵衛が小寺政職から託された嫡子とか、有岡城幽閉中に官兵衛の面倒を陰ながら見た城兵の息子も官兵衛は預かったことになっているが、その後のドラマではこうした子ども達はどこかに行ってしまった。

人の記憶など虚ろいやすいものだから、前半と後半がつながっていなくても面白ければ構わんだろうと思われているかもしれないが、見ている人は見ている。

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