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『東京湾景』 [吉田修一]

東京湾景 (新潮文庫)

東京湾景 (新潮文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
「愛してないから、こんなに自由になれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。品川埠頭の倉庫街で暮らし働く亮介が、携帯サイトの「涼子」と初めて出会った25歳の誕生日。嘘と隠し事で仕掛けあう互いのゲームの目論見は、突然に押し寄せた愛おしさにかき消え、二人は運命の恋に翻弄される。東京湾岸を恋人たちの聖地に変えた、最高にリアルでせつないラブストーリー。
押し寄せる淋しさと愛おしさ。渇いた心を潤いで満たす奇跡のラブストーリー―――。

文庫本のタスキにあったこんなキャッチコピーに惹かれて、思わず借りてしまった吉田修一の長編。11月中に読んだ吉田作品はこれで3冊目だ。11月は、『横道世之介』の文庫化や、新刊『路』の発売などが続き、吉田修一に対するメディア注目度が少し高かった。

今月読んだ2冊目の『ひなた』もそうだし、『東京湾景』もそうだが、吉田作品はどうも、一筋縄ではいかない男と女の関係というのが描かれている作品が多いという印象で、容易に他人に薦めにくいところがある。今目の前にいる女性が、出会い系サイトで知り合った年下の彼氏のアパートに、週末の度に入り浸っているとか、見た目すごく仲がよさそうなご夫婦なのに、夫は同性に体を売った過去があり、妻は昔付き合っていた別の男と、今も誘われたら断れない関係にあるとか。

20代や30代の読者が読むならいいんだけど、自分自身が読むのには、抵抗感も相当に強い。今どきの男と女ってこんな感じなのかと思うと、日本はちょっと行き過ぎちゃった感じが否めない。そして、こういうのが「奇跡のラブストーリー」と美化されてしまう。ちょっとした怖さを感じる。

かく言う私は40代後半です。出会い系サイトに登録して出会った男性と関係を深めていくような娘を持ってしまった父親の気持ちをどうしても考えてしまう。いくら美化したって、出会い系サイトじゃないか。

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