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『社会保障大国日本』(実践編) [読書日記]

社会保障大国日本 VER.1.0 PRACTICE

社会保障大国日本 VER.1.0 PRACTICE

  • 作者: 藤田 英明
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス
  • 発売日: 2012/07/04
  • メディア: 単行本
内容紹介
日本は、資本主義が必然的にぶち当たる壁に世界で最も早く直面している。長期にわたる景気後退、少子化、超高齢化、低所得化は、まさにその象徴だ。これらを世界に先駆けて解決していくことが、日本に課せられた使命なのではないだろうか。私たちは今こそ、自らの歴史を自らの手でつくり上げていくという意思を持つ必要があるのだ。「我が国日本を社会保障大国にすることによって、少子高齢化が原因で生じる数多くの世界中の問題を解決すること」をモットーに、筆者は介護や福祉の社会サービス事業の経営や運営、事業の拡大、海外への展開、新業態の開発、フランチャイズシステムの導入、本部機能のイノベーション、新システムの開発などを日々実践している。「社会保障大国日本The Ultimate Social Service from Japan(究極のソーシャルサービスは日本から)」の実現のために、常に想い、考え、行動する介護現場上がりの気鋭の企業家による渾身の提言。
ここ2週間、近所のコミセン図書室で借りていた本は3冊。返却期限の週末に向けて、最後に読み切ったのがこの本だ。取りあえず借りはしたものの、3冊のうち最後に回したその理由は、この表紙にある。著者本人と思しき顔に頭蓋骨を投射し、ちょっと怖いデザインになっている。書店でこの装丁を見たら手に取るのをためらう人はかなりいるのでは?この本は表紙の装丁で相当な損をしていると思う。

しかし、いかつい装丁とタイトルとは裏腹に、内容はものすごく面白い。民家を活用した通所型小規模デイサービスに夜間ケアサービスを組み合わせ、それを介護フランチャイズとして展開するというビジネスモデルを構築し、2004年の創業から、またたく間に店舗数を拡げた社会企業家のお話である。起業に際しての銀行融資の取り付けでの大苦戦から物語ははじまる。十数件金融機関を回ってようやく無担保で400万円の融資承諾を得るところまでが、この事業の成否の分かれ目だったのがよくわかる。埼玉県熊谷市でスタートさせた通所型小規模デイサービスは、わずか数年で熊谷市全体をカバーできるほど店舗数を増やし、著者は熊谷での経験をもとに全国展開へと打って出る。このフランチャイズも急成長し、さらに昨年からは海外展開の検討もはじめて、今は台湾で事業を開始している。

介護の仕事はきつい割に給与水準が低いというので人気があまりないと言われる。しかし、著者はフランチャイズで働く従業員に業界水準を上回る待遇を与え、それでも各店舗で黒字経営させている。結局のところ介護保険からの給付金があって成り立つビジネスモデルなので、社会保障費が急増していく今後も黒字経営が可能かどうかはよくわからない。それでも、既存の枠組みをうまく利用して、ビジネスチャンスを広げた好事例だと思う。確かに、こういうグッドプラクティスは、今後高齢化が進むアジアの国々に対して、日本が自信をもって示すことができる事例であり、海外にビジネスチャンスを広げることができる夢あるモデルだと思う。

ご本人が介護現場での業務に携わるようになったのは1998年だから、そこから起算してもわずか14年、起業からだとわずか8年でここまでの規模の事業を展開する青年実業家である。そのめまぐるしいばかりのストーリーと、その所々で直面する課題、そしてそれをどのように乗り越えていったのかという実践の記録、そういう、著者の歴史の部分は、ものすごく有用。介護という世界を舞台にはしているが、これは新進気鋭の実業家がどのようにして成功を成し遂げてきたのかという視点で、多くの人々に読んでもらいたい。起業の道を目指したいという若い方々は勿論のこと、固定観念に囚われてなかなかイノベーティブなアイデアや行動実践に繋がらない僕らオヤジの世代の読者にも読んでもらいたい。やるからには徹底してやらなければならないし、計画的に経験の幅を広げておくことも必要だし、歴史の勉強も含めて相当幅広い教養も求められるだろう。

少年時代からケンカに明け暮れ、計画的に、ホームレスの世界にも飛び込み、どん底の生活を一度経験している。交渉の緊迫した場面で命を張れる胆力や、成否の分かれ目で一歩を踏み出す決断力は、そうした過去の経験から形成されるところが大きいようだ。このあたりの著者の半生は、いかにも幻冬舎の編集者が好きそうなところだ。「座右の銘」を披露しているところなどはちょっとくどいが、前半のヒストリーの部分を読むだけでも本書は十分価値がある。アジア展開まで視野に入れているスケールの大きさにも好感する。

「実践編」に続き、「理論編」という続編が出るらしい。

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