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『8月からの手紙』 [読書日記]

八月からの手紙

八月からの手紙

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/06/30
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
決して忘れない。絶望を、屈辱を、恩義を、希望を。友を、青空の白球を―。1946年東京。戦後復興。娯楽への欲求。「野球(ベースボール)」に衝き動かされた男たち。
先週の「週報」をご覧になった方はご存知かと思うが、僕は4日(土)頃から首の凝りがひどくなり、頭痛に悩まされるようになった。土曜の剣道の稽古を休んで様子を見たが、日曜も劇的には症状改善せず、週明けの6日も月曜期限の仕事があったので朝から出勤はしたが、昼過ぎにギブアップし、かかりつけの医者で薬を処方してもらった。幸いインフルエンザではなかったものの、その日は17時過ぎに帰宅すると布団に直行し、翌7日も少し遅めの出勤となった。このところずっと続いていた5時間睡眠で疲れが溜まっていたのではないかと思う。だから、トータルすると12時間ぐらいは眠った。それでも首の凝りが完全に取れたとは思えないが、少し楽にはなったような気がする。1日近くPCの画面を全く見なかったのも良かったかもしれない。

さて、そんな病床での息抜きに読み始めたのがこの1冊だった。どうも病気で寝込んでもただ単に寝ているというのでは気が済まない性格なもので、高校3年の今頃、インフルエンザで4日間も寝込んだ際にも吉川英治の『宮本武蔵』を寝ながら読破した。(僕は同級生よりも先に進路が決まっていたので、受験には影響なかったが、その時期はクラスメートの方が大学受験本番を迎えており、教室が閑散としていた。今さら授業を頑張るという気にはとうていなれず、それで4日も休めたのである。)その後も、寝込むたびに何かしら本を枕元に置くようになった。寝ながら読むと途中で眠ってしまうのはよくあることで、睡眠誘発効果は確かに期待していた。

だから、集中して一気に読んだわけではなく、かつ寝込んだのは一晩だけで、翌日にはちゃんと出勤したので、読了には足かけ3日を要したが、とにかく読み切った。

面白かった。おそらく、主人公の日系人・矢尾健太郎というのは架空の人物だと思われるが、それ以外では日勢の人物を多く登場させ、終戦直後に発足して1年足らずで崩壊してしまったプロ野球の日本リーグと、終戦までは白人のメジャーリーグ、黒人のニグロリーグと明確に分かれていた米国の野球が、ジャッキー・ロビンソンのメジャー入りを契機に黒人選手がメジャーに進出していったという史実をうまく絡ませて、壮大な物語に仕上げられている。日本リーグやニグロリーグのことは僕は全然知らなかったし、戦前戦後に米国本土で日系人がどのような仕打ちを受けたのか、本書を読んでその一端に触れることができたような気がする。史実とフィクションをうまく融合した、いいお話だと思う。

ディテールの部分では突っ込みどころが結構ある。1試合全打席で場外ホームランを打てるような打者など想像もつかないし、そんな強打者を、肩を壊してブランクも相当にある下手投げの投手が針の穴をも通すようなコントロールと変化球で手玉に取り、そこから友情が生まれるなんて…堂場瞬一の野球作品ではよくありそうな設定だが、つべこべ言わずにストーリーを読んで素直に感動しろと言わんばかりの迫力だった。

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