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『世界を変えるお金の使い方』 [読書日記]

世界を変えるお金の使い方

世界を変えるお金の使い方

  • 作者: 山本 良一
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2004/12/11
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
100円でミャンマーの子ども5人にポリオワクチン接種。300円でタイとカンボジア国境1m2の地雷を除去。3,000円でイラクの国内避難民キャンプで暮らす家族に越冬用の灯油。10,000円で釧路湿原周辺の森林を625m2買い取り保全。30,000円で100m2の棚田オーナーになり、米づくりに参加。1兆2,000億円で全世界の子どもたちに初等教育を。
2004年末に本書が発売になった頃、僕はこのブログを未だ開設していなかった。本書を買って読んでみて、ミクシィのブックレビューを使って本書の感想を述べたことがあるが、その頃はブログで読書日記を付けていなかったので、既に600冊余を紹介している我がサンチャイ・ブログにおいて、この本については紹介したことがない。

実は、現在開催準備を進めている国際交流協会のフェスティバルで、〇✕方式の国際理解クイズというのを企画しており、そのための問題のネタ探しをやっているところである。「国際理解」といってもそのフェスティバルに出店されている国際協力NGOの活動を、さりげなくクイズの中で紹介できればいい。実際、フェスティバルに出店予定のNGO団体が、わずか2団体に過ぎないけれど、本書の中では紹介されている。

本書は実際に購入して数年は我が家の蔵書として保管してあったのだが、昨年我が家の蔵書を圧縮しようと考え、大量の本をブックオフで売り払った際、この本も処分してしまった。皮肉なことに、手放した途端に本書を読む必要が生じてしまい、今回は仕方ないので近所の図書館で借りてきた。

以下は購入したばかりの頃に僕がミクシィのレビューに投稿した感想である。素性が明らかになりそうなところはぼかしを入れてあるので予めお断りしておく。

開発協力の現場に関わっている者として、僕は常に自分が取り組んでいる世界の貧困という問題を、いかに日本の市民の皆さんに説明したらよいかに強い関心をもって取り組んできた。今の日本で最もリッチなのは、IT長者を除けば60代のシルバー世代。彼らが海外旅行に費やすお金の何割かでもNGOが取り組んでいる途上国の開発事業や多くのNPOが取り組んでいる国内の地域福祉改善事業に振り向けられれば、もっと多くの貧しい人々の脆弱な生活基盤を改善し、行政任せの公共サービスは受益者にニーズによりよく応えられるよう質も改善されるだろう。こうしてNGOやNPO、ODA事業などが寄附者や出資者と目に見える形で繋がれば、当然説明責任も求められるわけで、こうした事業を行なう側の能力強化にもなるだろう。

でも、それが世の中の大きな動きになかなか繋がっていかないのはなぜなのだろうか。僕は、それが、社会変革を指向する人々が、社会的成功者や小金持ちのシルバー世代に対してオルタナティブなお金の使い方の選択肢を示すのに成功していないからだと思う。そうした意味で、本書のような書籍が登場したことは非常に歓迎すべきことだ。

結局、お金の使い道は、そのお金によって消費者がどれだけの満足感を得られるかだと思う。自分が服1着を購入するのを我慢して、カンボジアやアフガニスタンの地雷除去活動に投資することで、多くの子供達が爆発に巻き込まれるリスクを軽減できるとしたら、そちらの方が大きい満足感を得られる人は多いのではないだろうか。

2005年5月に掲載したこのレビューを今読み直してみると、昔の僕が大した文章を書いているのに驚き、また恥ずかしい気もした。その後僕はインドに3年間駐在することになるわけだが、ここで書かれているようなことを意識していたかどうかは覚えていないけれど、日本の企業が行なう民間協力の仲介で実績を作ることはできた。一応有言実行にはなったわけで、ある意味ホッとした。

数日前、僕は実家の両親から1通のメールを受け取った。10月初旬に開催される故郷のお祭りで、町の「国際親善を考える会」がテントを出店するので、そこで売れるフェアトレード商品を紹介してもらえないかという趣旨だった。そのイベントまで残り3週間を切っている状況で、かつ東京に住んでいる僕が岐阜のフェスティバルでアレンジできるようなフェアトレード商品など選択肢が相当限られている。一応、前の会社の先輩が岐阜で代表を務めておられるNGOならひょっとしたらなんとかなるんじゃないかと思い、先輩に問い合わせてみたけれど、案の定ショートノーティスだと言われてしまった。

この「国際親善を考える会」の有志の方々は、なかなか支援者の輪が広がっていかないところに問題意識を持っておられ、フェアトレード商品をテントで販売したら、国際理解の促進に繋がるのではないかと考えたのだという。結局のところ、このフェアトレード商品販売が実現しなかったとしてその他にどのような展示を計画されているのかは教えてもらえなかったが、例えば、自分が毎日喫茶店で飲んでいるコーヒーを1杯我慢すれば、こんな社会問題解決への取組みに使ってもらえるという、負担と便益の明確な繋がりを示せるような事例を幾つか紹介するようなものを模造紙に書いて貼り出すだけでも、会の存在意義はあると思う。

岐阜という土地柄も踏まえ、本書の「岐阜県バージョン」でも作ってみたら、会の活動が来訪者の意識変革・行動変革に繋がっていくのではないかと考える。(お母さん、お答えになってますでしょうか?)
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