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新世代のサルパンチ [インド]

インド人村長、国連会議で輝きを放つ
Indian sarpanch dazzles at UN meet
2011年3月27日
国連第11回情報・貧困世界会議の場で、インドのある村の村長としてジーンズ姿のチャヴィ・ラジャワットが紹介された時、多くの国の閣僚や大使の間では信じられないとの反応が渦巻いた。しかし…
*全文(英文ですが)は下記URLで!
http://news.in.msn.com/national/article.aspx?cp-documentid=5082697
最近始めたフェースブックで久々に連絡を取り合ったインド・カルナル在住の知人が、MSNのインドニュースのURLを紹介していたので、読んでみたら結構面白かったというこの記事。ラジャスタン州の有名観光都市ジャイプールから60kmほど離れた村の村長さん(サルパンチ)の話だが、このサルパンチというのは30歳の女性で、しかもMBAまで持っている才媛である。インド最年少のサルパンチ、かつMBAを持っているインド唯一のサルパンチである彼女、記事を紹介してくれた知人に「Nice!(いいね!)」を1票投じながら、どこかで聞いた話だなと思っていたら、彼女が乗馬をやっている写真を見てようやく思い出した。

彼女、2010年7月に週刊誌『INDIA TODAY』のカバーストーリー「変化をもたらす人-インドのアクションヒーロー(Action Heroes)」で紹介されていた35人のうちの1人、チャヴィ・ラジャワットさんだった。さすがはカルナルの知人。彼自身もインドのニューリーダーとして注目され、活動している1人なのであるが、類は友を呼ぶというか、何らかの接点がこの女性サルパンチともあるのだろう。
*『INDIA TODAY』2010年7月26日号の特集記事のURLは下記の通りです。
 http://indiatoday.intoday.in/site/Issue?issueId=168

因みに、この特集記事の35人の中には、僕が間接的に知っている人(知り合いの知り合いというやつ)が3人含まれており、結構興味深く読ませてもらったので非常に印象に残っているのである。
チャヴィ・ラジャワット(Chavi Rajawat )
実績:自分の村に雨水集水施設を建設した新世代のサルパンチ
ChaviRajawat.jpg 彼女は「マジック」という名の馬に乗り、異彩を放ち、リーバイスのジーンズとリーボックのTシャツを着る。ある時はクリケットの試合で男の子にボールを投げるよう求め、またある時には全国農村雇用保証制度(NREGA)を利用して村の女性が掘っている池の作業の進捗状況を確認する。チャヴィ・ラジャワットが今年2月、30歳でラジャスタン州トンク県ソーダ村サルパンチに選ばれてからというもの、彼女は地元で吹くラリヤ・バヤロの風のように砂漠の中を吹き抜けている。彼女はまた、雨水集水施設を建設し、村人に安全な飲み水を保証しようと取り組んでいるところだ。村の100人以上の女性が押し寄せてもっと多くの賃金を要求しても、彼女は冷静さを失うことはない。村の女性は日給70ルピーには満足できず、100ルピーを求めてくる。これは彼女たちが自分たちの仕事を期限までに終えた時に初めて支払われる金額だ。ラジャワットは女性たちひとりひとりを代わる代わる見つめてこう言う。「もっと掘って下さればもっと多く払いますわ。」仕事を正しくやらせることにこだわり、村人の怒りに立ち向かうことにも、彼女の前任だった50歳のダナ・ラル・パリークの時代の方がよかったと主張するライバルからの批判に向き合うことにも、彼女はもう慣れている。
 軍のバックグランドを持つラジャワットは、アジメールで学校教育を受けた。その後彼女はデリーのレディ・スリーラム・カレッジを卒業し、プネのインド近代経営大学院でMBAを取得した。マハヴィール・チャクラ賞を受賞した彼女の祖父ラグビール・シンの後を追って草の根政治に加わる決意をするまでに、彼女は数社の企業と一緒に働いていた。ソーダ村は一族の先祖の出た村であり、シンはそこで3期にわたりサルパンチを務めた実績があった。このため、何人かの村人が彼女にアプローチし、サルパンチのポストに立候補しないかと働きかけた。その頃サルパンチのポストは女性のために枠が留保されていたのである。
 ラジャワットは先祖の時代から使われている古い邸宅の執務室で週5日働く。父ナレンドラ・シンも拠点をソーダ村に移し、彼女を補佐する。草の根の現実が娘の実業界での経験とは大きくかけ離れているということを父はよく知っているからだ。ラジャワットは、「政府には、私達の利用できる制度が幾つあるのかを教えてくれるようなシステムがない」という現実を嘆く。「村人からも政府からも、情報がなかなか私達に届きません」と彼女は言う。この仕事に就いてまだ7カ月、彼女は今も男性の固定観念と女性からの不信感とに闘いを挑んでいる。それこそが、物事に変化をもたらす村長の仕事だと言える。
こうした若い女性のサルパンチが誕生した経緯が最も興味あるところだったのだが、記事を読むと、要はきっかけは祖父の地盤を引き継いだのだということがわかる。勿論、本人の実力もあるのだろう。NREGAにインセンティブ・メカニズムを組み込んで作業を確実に進める仕組みを作るところなどはなかなか革新的だと思う。

ラジャスタンは州の面積も広いが、興味深い草の根レベルの取組みが非常に多く、インドにいる間に一度でいいから行ってみたかったと今も悔やんでいる。やはり砂漠地帯であることから、NREGAのような公共事業の焦点は飲料水の確保にあるのだなというのが垣間見える記事でもある。

*サルパンチの仕事について昔書いた記事「Sarpanchという英単語」はこちらから!
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2009-08-13
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