『チーム』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)今週末、長男と連れ立って久し振りの市民マラソンを走る予定である。といっても種目は3kmで、当日エントリー可能な神奈川県の月例マラソンであるが。長男にとってはぎりぎり走ったことがある距離らしい。僕も走れないことはない距離だと思うが、少なくともここ数年は走ったことがない。それなりのチャレンジである。そして、中1の長男とは、この月例マラソンをきっかけとして、これからも時々一緒に走れたらと思っている。
箱根駅伝出場を逃がした大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツといわれる駅伝で、いわば“敗者の寄せ集め”の選抜メンバーは、何のために襷をつなぐのか。東京~箱根間往復217.9kmの勝負の行方は―選手たちの葛藤と激走を描ききったスポーツ小説の金字塔。巻末に、中村秀昭(TBSスポーツアナウンサー)との対談を収録。
気合いを入れるために、箱根駅伝を舞台とした小説を一気読みした。
同じ箱根駅伝を題材として扱った小説としては三浦しをん『風が強く吹いている』があり、よく比較されるが、三浦作品は面白さという点では軍配が上がるが、実現可能性としては堂場作品の方があるかもしれないと思えるストーリーだ。五区の山登りの適役がすんなり見つかるというのはあり得る話ではないかもしれない。実際、今年の箱根駅伝の五区では、学連選抜の選手は区間最下位に沈んでいる。この最も長くタフな区間に配置できる人材がいるのかどうかは、今の箱根駅伝でいい勝負をするには必要不可欠な要素である。しかも、学連選抜はチーム編成が決まってから五区や六区を任せられる選手をその中から選び、それから山登り、山下りの準備が始まるのである。箱根の予選会や1万メートル記録会のタイムの良い順に16人選ぶと、特徴が重なる選手が出てくる。山登りや山下りのスペシャリストを発掘すること自体が至難の業だ。
また、これだけエントリーした選手が故障でブレーキを起こす割にそれでも優勝戦線に絡めるという展開もそうそうある話ではないと思う。それでも、予選会で落選したチームの最もタイムの良かった選手を集めたら、ひょっとしたらシード校よりもいいチームができるかもしれないという気は確かにする。但し、それはチームとして纏まることができたらという前提条件付きの話だ。学連選抜は、箱根の予選会が終わってから選手が選抜されるので、準備期間は2ヵ月しかなく、千葉での2泊3日の合宿を除くと全体練習は2日しかない。全員が顔を合わせるのが都合5日しかない寄せ集めチームに一体感が生まれるかどうかはかなり大きな賭けになるだろう。
ドラマチックでいい作品だとは思う。でも、残念なことに、この学連選抜という制度自体、3年後の第90回大会から廃止になる可能性が高いと言われているらしい。
なお、この記事を書くにあたって、隔週刊誌『Number』の2011年1月27日号(下記)の記事「関東学連選抜-つないだ、白い襷の重み。」も参考にさせていただいた。
Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2011年 1/27号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/01/13
- メディア: 雑誌
2011-01-27 06:00
nice!(6)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0