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ゴカレ博士のソーシャルワーク [S.D.Gokhale]

Gokhale1.jpgConstance Barlow & David Este Eds.
Experiments and Experiences
in Social Work Practice: Dr. S. D. Gokhale

October 2004, Ameya Inspiring Books


今から2年ほど前、僕はこのブログで「ゴカレ博士の贈り物1」と題して1冊の本の紹介をしたことがある。上で紹介したのがそれで、内容としては、インド・プネのNGO-CASPの代表であるS.D.ゴカレ博士の講話集である。

CASPは、カナダ・カルガリー大学ソーシャルワーク学部の教授からの依頼で、学生インターンの受入れを毎年行なっている。そのインターン実習生に対して、ゴカレ博士はソーシャルワークのインドでの実践について語る。カルガリー大学の先生は、その講話の中身の含蓄の深さに感銘を受け、博士の口述を文章に落とし込んでソーシャルワーカーを志す者が踏まえるべきポイントについてまとめてみてはどうかと博士に提案したそうだ。

ゴカレ博士は、僕がインド駐在時代にお世話になった中で最も敬愛するインド人の1人である。ついでに言うと、奥様にもご馳走になった。殆ど押しかけのような恰好でプネのCASPのオフィスを訪ねて初めて博士に会った時、僕はこの本を博士からいただいた。そして一度読んでみた。1つ1つの逸話が非常に示唆に富むもので、これまた僕のインド駐在時代に印象に残ったインド本ベスト3に挙げてもいいような逸品だと思った。頁数も123頁と手頃で、僕は「できることなら全文翻訳して日本の読者の方々にも知ってもらいたい」と当時のブログにも書いている。しかし、それを始める決心がつかないまま、それから既に2年が経過してしまった。

年明けから、僕はこのブログについて、プチ・リフォームができないかと考えていた。きっかけは昨年後半からインド・ネタが激減して、その一方で読んだ本を紹介する記事ばかりがやたらと増えてしまったことにある。ある程度はやむを得ないものだとの認識は僕にもあるが、焦る気持ちは否定できない。また、読んだ本を紹介するにも、小説のような一種の息抜きや寄り道のような読書について取り上げることは、僕のブログの趣旨に合わないような気がしていた。その一方で、インドの新聞・雑誌の記事からネタを拾ってくるケースが減ったということは、最近の僕が英文翻訳の練習も疎かにしているという証でもある。

そんなことを考えつつ、ふと思いついたのが、毎週特定の曜日には特定のジャンルの記事を書くという方式である。例えば、毎週日曜日はインドの新聞・雑誌から気になった記事を紹介することにしたりすることなのだが、ついでに、この際だから2年前からペンディングになっていたゴカレ博士のソーシャルワーク論の翻訳作業について、毎週1章ずつコツコツ進めて適宜ブログに掲載していき、英語の勉強をしようということを思い付いた。

本書はゴカレ博士の口述が40篇、それに編者の2名による序論と結論があり、毎週1篇ずつ取り上げると約1年がかりの作業となる。1年後には僕が初めて手掛けた書籍翻訳が出来上がっているという寸法だ。

例えばこんな感じで書いていこうかと思っている。これを毎週月曜日の連載記事にするつもりだ。

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はしがき

CASPは、プネ大学より、調査研究と研修を実施する機関として現在認知されている。しかし、こうした認知を受ける以前から、私たちはインド国内だけではなく、海外からも大学生を受け入れ、フィールドワークの実習機会を提供してきた。学生を送り込んでくるそうした大学の1つに、カナダのカルガリー大学がある。学生たちはインドのフィールドで活動する経験を楽しみ、我々もそうした外部の学生とチームを組んで一緒にフィールドワークを行なうのを楽しんだ。しかし、私は彼らからレクチャーを受けるような時間を設けることが難しく、学生が暇をしている時には彼らと会う時間を常に見つけ、彼らに質問を投げかけていった。そしてフィールドでは私は自分の経験について語るのは幸せな時間であった。私は学生達から、こうした口述は面白いだけでなく、かなり輝かしいものでもあると聞かされた。

学生達を監督していたコンスタンス・バーロウ博士が、やがて学生と私の間で行なわれていた交流の内容について初めて耳にすることになった。そしてこのバーロウ博士こそが、私に、こうした口述は文章にまとめるべきで、それはいろいろな国々でソーシャルワークを実践している人々に向けた教材・ガイドブックとして利用することができると提案したのである。

彼女の要請と説得により、私もそうすることに同意した。私はだらしがない人間なので、自分が試みた様々な実験や得た経験を、私の職場の同僚であるアンジャリ・ラジェに口述で改めて伝えることにした。アンジャリは飲み込みが早く、目新しいアイデアに対して非常に寛容だった。彼女は辛抱強く私の話に耳を傾け、確認が必要な時だけ質問をしてきた。そして私の口述を文章に落としていったのである。私はアンジャリの功績に感謝するとともに、彼女の支援自体にも敬意を表したいと思う。

原稿を受け取ると、私はそれを編集してくれる人が必要となった。コンスタンス・バーロウ博士とデーブ・エステー博士がその仕事を引き受けてくれた。原稿を本書にまとめ上げるにあたり、貴重なアイデアと提案をしてくれた2人に深く感謝申し上げる。

また、アメヤ出版のウルハース・ラトカール氏にもこの場を借りて感謝申し上げたい。本書の出版は、ラトカール氏の協力なしには実現しなかっただろう。

S.D.ゴカレ
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toshi

コメントありがとうございました。
by toshi (2011-01-15 09:18) 

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