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『排出権商人』 [黒木亮]

7月10日(土)は僕の四十ン歳の誕生日であったが、朝からフル稼働で、次男を学校の自転車教室に連れて行って半日費やした後、夕方からは帰国後の剣道初稽古に参加してきた。梅雨前線の影響で大雨が心配された東京地方はこの日は快晴。湿度も低く、前線通過の影響で心地よい風も吹いていた。日なたに出れば暑さは感じるが、自転車教室の会場は深大寺の公園で、なかなか快適だった。剣道の稽古の方も、先月のデリー最後の稽古が空調の止まった体育館の中だったことを思えば全然快適。僕がお世話になることにした道場の床も剣道のための床で、本当に久し振りに膝や足を痛めることを気にせず稽古ができた。

誕生日の最大のプレゼントは、次男が道着・袴姿で剣道の稽古に初めて参加したことだ。小学校1年生から始めれば、どこまで伸びていくのだろうか、とても楽しみだし、少々気が早いが、彼が中学あたりまで続けてくれたら、僕が高校時代に使っていた防具を使って欲しいと期待もしている。

肝心の僕の稽古の方は、床はともかく初めてお手合わせをした先生方に中心をなかなか取らせてもらえず、面が全く入らない散々な出来だった。中心を取る攻防はデリー時代から課題でもあったので、いい先生方にまためぐり合うことができたのではないかと思う。三鷹市で剣連登録すれば、年度末頃には四段を受けてみたらと勧めてはいただいたが、中心の攻防で全く手も足も出ない現状ではまだまだやることも多い。

いずれにせよ剣道に関しては上々の滑り出しと言えるのではないかと思う。誕生日の大きな収穫だ。

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タイトルとは全く関係のない書き出しでごめんなさい。これから読書日記に入ります―――。

排出権商人

排出権商人

  • 作者: 黒木 亮
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
空気が大金に化ける。これが「排出権ビジネス」の実態だ!温室効果ガス削減か、排出権の購入か。温暖化防止の美名の下で生まれた、まったく新しい国際ビジネス。利権に群がるしたたかな商人たちの、ターゲットは日本―。世界11ヵ国に及ぶ徹底した取材で描く、緊迫のリアルフィクション。
本書も近所のコミセン図書室で借りてきた1冊。土曜日が借りていた本の返却予定日だったこともあって、それに間に合わせるように金・土の2日間で一気に読み切った。元々本書を借りた理由というのは、こういうビジネス小説をこのところあまり読んでいないと気付いたからである。僕がこの1、2年の間に読んだ小説のラインナップを振り返ってみれば明らかなのだが、僕はデリー駐在時代、こういったビジネス小説、経済小説を殆ど読んでいない。

そのことに図書室で気付き、当初借りようと思っていた本と黒木亮さんの近著を入れ替えて急遽借りてみることにした。本書にしたのは「排出権」というのがわかりにくくてずっと遠ざけてきたという自覚が僕自身にあるからだ。排出権取引の解説書は世の中に数多くあるけれど、それがどのようなプロセスを踏み、その各段階でどのようなやり取りがステークホルダー間で行なわれるのかを、実際の例を取って紹介しているものから学ぶのであれば黒木作品なんかは丁度良いと思う。あまり頻繁に読んでいるわけでもないが、これまでには『アジアの隼』と『トップ・レフト』ぐらいは読んでいる。元々『アジアの隼』も知人から薦められて読んでみた。その知人の評価は、「国際金融取引について、非常によく知っている」というものだった。

お陰さまで、排出権取引とはこういうものなのだというのが本書を読んでおぼろげながらもわかってきた。それと、さりげなく地球温暖化防止の取組みにおける勝ち組と負け組の色分けについても触れられており、各国が各々の国益を守るために熾烈な駆け引きを行なっている中で、一方的に負担を強いられているのが日本だというのは、これまでそうかなとは思っていたけれど、事実に基づいた意見を明確に突き付けられるとやっぱり悔しい。日本のエコ活動がやり過ぎだと思うところも正直あるからだ。

また、さりげなくではあるが、地球温暖化、地球温暖化というけれど、実際1990年代後半以降地球の大気の気温は上昇はしていないという研究論文の存在にも言及がある。おまけのような感じで挿入されているが、「排出権取引の基礎知識」を執筆時にイメージしていたであろう著者のサービス精神の表れかなとも思った。
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