『剣道上達BOOK』 [読書日記]
内容(「MARC」データベースより)あまりちゃんと紹介していないけれど、週1回の剣道の稽古、離任の日まで逆算しつつ、できるだけ出たいと思っている日々である。なにしろ暑いデリーのこと、減量にはもってこいのエクササイズである。面を外した後、髪や顎から汗が滴り落ちるなんて経験、ここ数年久しくしたことがなかった。6月末までにあと4kgは搾り落とさないといけない今の自分にとって、剣道の稽古は大切なペースメーカーである。1回の稽古で1kgは体重が落ちる。でも、水分補給をやり過ぎると、余計に体重が増えるので要注意だ。ビールなんかだとさらにアブナイ。
基本技、打突のテクニックから攻めのバリエーション、相手とのかけひきまで、試合に勝つ剣道をビジュアルに解説。段級審査のポイントも収録する。
それに合わせて普段の運動を組み立てている。朝のウォーキングも、両手首に重りを巻いて上半身強化を意識しているし、時々ジョグも入れる。1回トータル5km、連続して走るなら2~3kmは続けていけるところまで体力は回復している。剣道の稽古も参加するようになってから1年近くが経つが、ここに来てようやく米国時代の感覚で地稽古ができるところまで体力が戻って来たと感じる。インド駐在生活開始前の3年7ヵ月のつらかった生活をようやく払拭できるところまで来たのではないかと思う。
本書は米国駐在員生活を終えて帰国した2003年10月に購入している。当時は剣道やる気満々で帰国したので、こういうカラー写真が満載の解説書は新鮮で衝動買いしてしまった。以前も書いたが、昔の剣道の教本と比べて最近のはカラー写真やDVDが豊富で、とてもわかりやすく書かれるようになってきた。
写真が増えてわかりやすくなったからだろうが、本書を読んで、胴打ちの仕方が僕らが中学高校とやってきたのとちょっと違っていたのが印象的だった。元立ちの胴の打たせ方まで書いてあるのも驚きだ。よほどのことがないと試合で胴は狙わないが、普段の地稽古などで相手の動きを見ていて手元が上がる癖があるような場合に、相手に面を意識させておいて胴を狙って上手く当たった時はやはり嬉しい。
こういう教本は1回読んでおしまいという性格のものではない。文庫ほどではないにせよ、持ち歩いて時々読み返してみるのがいい。稽古を続けていけば上手く技が繰り出せない壁みたいなものは度々経験する。そういう時にどうしたらいいのか、僕はウォーキングしながら思索を巡らせているのだが、こういう教本も時として参考になることが多い。
目下の僕の課題は2つある。
1)明らかに出ばな小手を狙っている相手に対していかに一本を取るか。思い付くのは小手相打ちにしてそこから面を繰り出すというもので、そのために小手面の連続技を上手く出せるように稽古で意識している。
2)相手に小手を意識させておいて、小手打ちをフェイントにして面で一本を取る方法。地稽古全体の中での駆け引きの話になってくるので、この技がというものではないが、小手か面かどちらかわからない初動から一気に踏み込んで面を打つというのを意識している。
いずれも踏み込み重視の技なので、最近ようやく膝の調子が良くなってきたのがとても大きい。
本書に戻るが、解説書としてはこれでいいと思うが、剣道は解説書を読めば上手くなるものではない。書かれた内容をどれだけ稽古で反復して自分の体に覚えさせるかが大事である。本書にこう書かれていたからここではこう動こうとか、そんなことを地稽古や試合の時に考えている余裕などない。
本書を購入した当時は子供がまだ小さくて自分1人だけで週末道場に稽古に行くのも憚られ、しかも仕事で疲れて剣道どころじゃなくなってしまった。だから何度も読み返すようなことは当時はできなかったのだが、ここに来てもう一度読み返そうと思うようになった。
当時と今とは状況が違う。子供達は大きくなっている。東京で待ち受けている仕事がどれだけ忙しいのかは今はわからないが、週1、2回は稽古に通える「のりしろ」ぐらいは作っておきたいと思う。3月末の一時帰国の際、僕は自宅から最も近くで週1回だけ稽古をやっている同好会の稽古を見学させてもらった。2003年に米国から帰った時も一度だけ参加したことがあるのだが、米国時代に相当稽古を積んで自信満々で帰って来たのにその自信を木端微塵に打ち砕かれてしまうぐらい巧い先生がいらっしゃった。そういうところで稽古をやるのだから、それなりの覚悟を持ってインドにいる間に準備はしておきたいと思っている。
―――ところで閑話休題。
3月末の一時帰国の際、少しの間だが故郷に里帰りした。父が僕が高校時代に使っていた防具を大切に保管しておいてくれたのがわかった。今春中学に入学したうちの長男は、残念ながら吹奏楽部に入部したらしい。中学に剣道部がなかったそうでして…。それはそれで、僕が社会人1年目のボーナスで買ったテナーサックスを再活用してくれそうで期待もしているのだが、僕の帰国と合わせて一緒に剣道の稽古を始めてくれないかなという期待は今も捨てていない。剣道の道具は世代を超えて受け継がれるのです。僕が使用している竹刀の鍔は父が昔使っていたものだし。高校入学時に父が買ってくれた防具も、何らかの形で生きればと思わずにはいられない。
コメント 0